シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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地元の祭りに行っていたせいで昨日投稿忘れました。なお、ストックはないので明日以降も止まる可能性があります


第百八話「暗躍する者達4」

a.t.s56(皇歴56年)/3/20/14:00 シーランド帝国帝都ロンドニウム ロンドニウム中央研究所

「この世界は面白いな」

 

 シーランド帝国内で主に遺伝子などの化学を研究しているロンドニウム中央研究所には齢30と言う若さにして副所長にまで上り詰めた天才がいる。彼はヒュー・リー・アランデルと言い、幼少期から昆虫や動物が好きで、飼育員になる事を夢に見ていた。しかし、中学生の時に触れた遺伝子分野に興味を持ち、化学者への道を歩み始める事となった。結果、彼は一年中研究所に引き籠る典型的な化学者となりつつも様々な功績をたたき出している。

 そんな彼が今夢中になっているのがこの世界独自の生態系についてである。それはエルフやドワーフなどの亜人だけではなく、ワイバーンやゴブリンなどの魔物も含まれており、クワトイネ公国から提供されたワイバーンの死体の解剖を行ったり、許可を得られたエルフやドワーフ、獣人達から得た毛や汗、皮膚片や血を基に人間との差異を確認している。

 いずれこれらが解析できれば長寿や老化の予防などに繋がると考えており、ほぼ毎日研究所に引き籠って解析を続けている。

 

「できれば生きた実物が欲しいが人権の問題から難しいだろうなぁ……」

 

 研究に熱心になりがちなアランデルとて人間としての常識を多少は持っている。遺伝子研究の為にこれらのサンプルだけではなく実物があればもっと楽に早く進むがそんな事をすれば人権云々と叫ばれる事は確定的である。臣民や国民と階級的差別が常識となり、下の者を見下すシーランド帝国の人間とは言え非人道的行為には忌避感を示している。その為に最低限人間らしい権利が保障されていないと暴動が起きるだろう。そんな物の処理をして貴重な時間を無駄にしたくないとアランデルは諦める。

 

「それにワイバーンやワイバーンロードのサンプルもある。今はこれで満足するべきだろうな」

 

 シーランド帝国がパーパルディア皇国を滅ぼした後に建国されたフィルアデス連邦ではワイバーンやワイバーンロードの運用は小規模なものとなっている。空軍戦力はジェット戦闘機の方が優秀な上に、生物と言う事で食費などの費用が掛かる。態々運用する必要はなく、近いうちに運用も完全に停止する予定である。そして、シーランド帝国を中心とする東方世界でもワイバーンの運用ではなく飛行機などが開発されていくことになり東方からワイバーンが駆逐されるのも遠くない未来に訪れる事になる。

 

「パーパルディア皇国はワイバーンロードの上位種としてワイバーンオーバーロードを開発していたらしいがデータを確認してもシーランド帝国では真似は難しいな」

 

 技術的に見れば地球世界より劣るこの世界だが遺伝子技術に関しては魔法が存在するためかかなりの高水準をたたき出している。特にパーパルディア皇国が国家をあげて完成させたワイバーンオーバーロードはシーランド帝国でも真似する事は難しい。年単位での理解と解析、応用に開発が必要な案件であり、模造品すら作るのは不可能だろう。

 加えて、トーパ王国からもたらされた情報から古の魔法帝国は生物の生成やクローン技術を確立させている可能性が高いと判断している。実際、今もグラメウス大陸に存在する魔王は古の魔法帝国が作り出した生物兵器であると判明している。その強大な力を扱える生物を作り上げる。それがどれだけシーランド帝国に衝撃を与えたのかは言わずもがなだろう。

 もし、シーランド帝国が科学技術をここまで発展させていなければ遺伝子技術に関する研究の予算増額もあり得たかもしれないが現状のシーランド帝国は科学技術やこの世界独自の魔導技術を取り入れる方向に進んでいる為に遺伝子技術に関する関心はそれほど高くはない。

 

「いっそのこと他国を巻き込んでみるか? 神聖ミリシアル帝国やムーなどの列強も古の魔法帝国と戦う時の為に打てる手札は欲しいだろうし……。いや、そもそも国立のうちがそんな事をするわけにはいかないか」

 

 アランデルは様々な事を考えつつもその手は解析に動いている。彼にとっては何かを考えつつも解析を行う事など簡単な事だった。それだけにパソコンを見ながらブツブツ呟くという端から見ると正気を疑いそうになる光景が広がる事になるが。ここが一般人も訪れる場所であれば即座に病院送りにされていたかもしれない。

 

「取り敢えず今は地道に手元の材料の解析を続けていきますか。先ずは平均寿命の増大を目指してみますか」

 

 目標を立てたアランデルは更に解析するスピードを上げていく。こうなればアランデルは集中して周囲の事が分からなくなる。これ以降アランデルは脱水症状で倒れるまで解析を続けた結果、一週間の療養と言う彼にとっては地獄以外の何物でもない状況となる。そんなアランデル達の活躍のおかげもあり、シーランド帝国では遺伝子技術に関する知識と理解が飛躍的に向上していき、やがて平均寿命を10年以上延ばす事に成功する事になる。

 




次から次章に入ります……多分。

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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