シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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昨日と一昨日と家を空けていたせいで投稿が遅れました


第百十五話「覇王の行進3」

a.t.s56(皇歴56年)/5/12/7:25 ヒノマワリ王国 バルクルス基地

 3度のジェット戦闘機隊による爆撃を受けたバルクルス基地はもはや基地としての能力を完全に喪失していた。陸上部隊基地のある星形の要塞は一見すると無事に見えるが内部は武器・弾薬庫を中心に破壊されており、グラ・バルカス帝国が誇る戦車隊は稼働する事もなく全滅している。航空基地に関しても滑走路がクレーターだらけとなっており、戦闘機も戦車と同様に破壊しつくされている。そして、最初の攻撃で喪失した司令部とレーダーサイトを合わせればバルクルス基地は完全に機能不全に陥っている状態となっていた。

 

「全く、やはり俺達の分はないか」

 

 戦車師団を前面に押し出しながらここまで進軍して来たシーランド帝国軍は大した抵抗も受ける事無くバルクルス基地を制圧した。数万人が配備されていたであろうこの基地にはその半数以下しか残っていない。しかも抵抗する意識はなく、茫然と膝をついている者ばかりであった。抵抗する気力のある者は事前に掃討され、逃げようと行動したり投降を選んだ者は既にこの場にはいない。現実を受け止めきれず、行動することが出来なかった兵士だけがこの場に残っていたのだ。

 

「抵抗する者は殺して構わん! どうせ無駄飯を食うだけの連中だ。半数以下まで減ったとしても何の支障もない!」

 

 戦車師団を率いるロブソン少将はそう指示を出しながら崩壊した要塞内部に戦車を用いて突き進んでいく。幾人かを踏みつぶしているが全く気にせずに前進を続けていく。その後を彼の部下たちが同じように進み、戦車が通った後に歩兵師団が追いかけてきて生き残っている敵兵を捕虜としていく。

 

「っ!」

 

 そんな中、一発の砲弾がロブソンが乗る戦車の脇を掠めた。砲弾が飛んできた方を見れば一両の戦車があり、砲門をロブソンの方向へと向けていた。ジェット戦闘機隊による攻撃をかいくぐり、生き残ったうえにこちらへと攻撃をする意思がある者がいた事に獰猛な笑みを浮かべた。

 

「お前ら! 手を出すなよ! これは俺の獲物だ!」

 

 そう言うと戦車の内部に戻り、ハッチを閉めた。そして上部に設けられた小さな覗き口から確認をしながら攻撃の指示を出していく。

 

「どうせなら敵に抵抗させたうえで叩き潰したい。こちらからの砲撃は控えつつ接近するぞ!」

 

 事前の情報からグラ・バルカス帝国の戦車は脆弱であると言われていた。ロブソンの目から見ても戦車同士の戦いを想定していない、若しくは黎明期の試作戦車の如き姿をしている。陸上侵攻用に設計されているシーランド帝国の戦車とまともに相手を出来る様には見えなかった。

 

「お!」

 

 そして、装填を終えたのか瞬時に発砲が行われる。砲弾は砲塔右に着弾するも鈍い音とともに弾かれた。着弾時の音から零距離でも問題ないと確信したロブソンは更なる手加減を始める。

 

「よし! 敵に軽く体当たりをしてやれ! 中の乗員を驚かせてやるぞ!」

 

 その言葉と共に戦車は加速し、左回りでグラ・バルカス帝国のハウンド戦車に接近するとすれ違う様に敵の右側面にこするようにぶつかり合った。鉄がぶつかる事で火花が走り、嫌な音が響き渡る。約50トン近いシーランド帝国の戦車はその重量故に無事であったが15トンほどのハウンド戦車は車体が大きく揺れていた。もう少し衝突の勢いが強ければ横転してしまうのではないかと感じる程に。そして、それが狙いだったロブソンは悔し気に舌打ちする。

 

「ちぃっ! もう少し強くぶつからないと無理か……。だがこれ以上の強さで衝突するのはこちらも凹みそうだし……。仕方ない。体当たりがやめだ!」

 

 3発目の砲撃を難なく回避しつつロブソンは体当たりと言う愚行とも思える攻撃を中止した。その後はグルグルとハウンド戦車の回り始めるが戦闘開始から約10分ほどが経過するとロブソンもこの()()にいい加減飽きてきた。ハウンド戦車は以外にも6発近い命中弾を出しているがその全てが装甲に弾かれ、塗装に傷がつくか小さな凹みが出来た程度の損害だった。

 

「いい加減楽にしてやろう。砲撃手、一撃で吹き飛ばせ」

「了解!」

 

 砲撃手は射撃統制システムのサポートを受けながら一発の砲弾を発射する。走行中にも関わらず放たれたそれはハウンド戦車の真正面を捕らえ、まるで装甲などないと思わせる程簡単に貫き、中にいた乗員を引きちぎっていき、後方から飛び出していった。この間1秒にも満たない一瞬の出来事であり、ハウンド戦車の乗員は何が起こったのかさえ理解する事もなく即死し、ハウンド戦車は数秒遅れで火災・爆発が起こった。

 グラ・バルカス帝国が前世界において最強と自負していたハウンド戦車はバルクルス基地に大量に配備されていた。しかし、ジェット戦闘機隊による攻撃で破壊され、生き残った最後の一両はグラ・バルカス帝国の意地を見せつけたがその結果として帰って来たのが両国における絶対的な戦車の性能による壁であった。まるで狩りをするように手加減され、もてあそばれた末にハウンド戦車はその絶対的な破壊を以て破壊された。

 海上戦力はともかく、陸上戦力では自分たちが勝っているかもしれない。この一戦をもし見せることが出来たのなら淡い期待を抱く愚か者たちの心を砕ききることが出来ただろう。しかし、今回の一戦をグラ・バルカス帝国が知る事は出来ず、亡国への坂道を一気に転がり始めるのだった。

 

グラ・バルカス帝国戦が終わった後の展開に関して(なお、あくまで参考にさせてもらうだけなのでアンケート通りにいくとは限りません)

  • そのまま年代飛ばして魔帝戦
  • ブログ更新を待ちながら原作準拠
  • 書籍版重視して発売まで待つ
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