シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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今気づいたけどこの作品でヘリ出てきてない……
何なら気付くまで存在そのものを忘れていた……


第百十六話「覇王の行進4」

a.t.s56(皇歴56年)/5/16/10:00 ヒノマワリ王国首都ハルナガ京

 ハルナガ京にある基地はバルクルス基地陥落後の前線基地として使用できるに大規模なものとなっている。元々あった貴族街を含む城下町の半数近くが基地の材料確保の為に取り壊され、多くのホームレスを生み出す結果となっていた。

 中にはバルクルス基地のようなグラ・バルカス帝国の基地がない南部からムーへと脱走する者もおり、ヒノマワリ王国が抱えていた深刻な食糧不足は皮肉にも脱走する国民の増加で解消されつつあった。

 しかし、ヒノマワリ王国がグラ・バルカス帝国に降伏した際に提示した国民を飢えさせないという条件はグラ・バルカス帝国の補給断絶に伴い有耶無耶にされてしまっていた。そして、グラ・バルカス帝国は残った食料を軍の備蓄に回しており、国民には提供しておらず、餓死者が出始めていた。第三王女フレイアを中心に、ヒノマワリ王国側はこの状況に抗議を行うが全く相手にされず、両者の関係は急速に冷え始めていた。

 

「バルクルス基地が落ちただと!?」

「はい。逃げ延びた兵が言うにはまともに戦闘する事も出来ずに一方的に攻撃され続けたと……」

 

 そんなヒノマワリ王国の首都ハルナガ京に建設された征統府ではバルクルス基地の陥落を受けて混乱のただなかにあった。彼らとてシーランド帝国の侵攻を防ぎきるとは思っていなかったがまさかここまで早く陥落するとは予想だにしていなかった。これはグラ・バルカス帝国が自分たちより上の存在がどんなものなのかを理解できていなかったが為に起きてしまった差だが、混乱している間にも敵は刻一刻と近づきつつあった。

 

「敵はどれだけの規模なのだ?」

「それも分かりません。偵察を出しても航空機は全て撃ち落とされ、歩兵は帰還する者が皆無です。レーダーに関してもバルクルス基地への攻撃時から全く使えない状況にあります。逃げ延びた兵の中にレーダーに関する情報を持っていた兵がおり、話によるとバルクルス基地でも同じようにレーダーが映らなくなったとの事でして……」

「まさか……。シーランド帝国はレーダー阻害の技術を持っているというのか!?」

「可能性は高いでしょう」

 

 グラ・バルカス帝国では考えられもしなかった電子戦。シーランド帝国による未知の攻撃に全く対処も出来ず、翻弄される事しか出来なかった。

 

「……ここ(征統府)は敵の攻撃に耐えきれるのか?」

「バルクルス基地より脆いのですよ? ヒノマワリ王国の民を人質にすれば敵の攻撃を鈍らせる事も出来るかもしれませんが……」

 

 シーランド帝国が遠い国家の民、それも敵に従属した国民が人質になったところで攻撃を鈍らせるわけがない。グラ・バルカス帝国なら確実に人質諸共ひき殺している。自国民なら別だが、植民地や保護国ですらない、他国の属国の民である。態々助けるという理由がないだろう。

 

「むしろ国民を逃がすべきだろう」

「逃がすのですか?」

「ああ、そうだ。()()()。いくら無関係とは言えそれが10や100ではなく、1000や1万ならどうだ?」

「……街道が埋まりそうですね」

「その通りだ」

 

 あくまで人質にするのではなく、敵の侵攻を鈍らせる肉壁として利用する。これが現状グラ・バルカス帝国が効果的にシーランド帝国の侵攻を遅らせる事の出来る策と言えた。一時的とは言え敵の動きを鈍らせるのだ。自分たちの軍事力では出来ない以上すぐにでも実行するべきと言える。

 

「幸か不幸か、バルクルス基地と言う我らにとっては機密の塊が消えたのだ。ヒノマワリ王国の民がいくら近づこうと問題はない」

「分かりました。直ぐに実行に移します」

「急げよ。俺はうるさい王女を黙らせる。最悪の場合は()()()()()()()()()()。無論、無事にたどり着ければだがな」

 

 意味深な言葉を吐きつつも征統府の人間たちは直ぐに行動に移し始めた。一瞬の遅れが自分たちの死に繋がる現状において間違った行動・対応の遅れは許されない。彼らは自分たちの持つ全ての力を使って行動した結果、翌々日には10万人近いヒノマワリ王国の国民を東へ追いやる事に成功する。シーランド帝国軍がハルナガ京に到着するまで後1日と言うギリギリの所での事であった。

 

 

 

 

 

 

 

a.t.s56(皇歴56年)/5/18/14:00 ヒノマワリ王国首都ハルナガ京東部

 ロブソンは兵たちに僅かな休息を与えた後すぐにハルナガ京に向けて出発した。戦闘らしい戦闘をしていない彼らは移動の疲れこそあれ数を減らす事もなく、士気を高く保ったまま行軍していたが突如としてその行く手をハルナガ京から逃げて来た、いや追い出されてきた民が阻んできた。

 

「な、なんだ!?」

「お願いです。食料を分けてください」

「俺今日で3日間何も食べてないんです」

「俺なんて4日だよ」

「昨日には水もなくなってしまったんです……」

 

 民たちはまさに着の身着のままと言う状況で追い出されてきたようだが全員が異常な程やせ細り、よろよろと歩いていた。そして、シーランド帝国軍を見つけるとまるでゾンビが人間を見つけたかのように群がって来たのだ。

 ムーからの要望でヒノマワリ王国の人間にはなるべく死傷者を出さないと確約している為にシーランド帝国軍は彼らを受け入れていく。もうすぐでハルナガ京に到着するのにこれ以上の行軍は不可能として宿営の準備を始める事となった。

 

「食料と水を受け取ったらこのまま道に沿ってムーに入れ! アルーの町には事前に伝えておくから安心して移動しろ!」

 

 シーランド帝国軍は数日分の食料と水を与えて東に追い払っていく。食料が不足する可能性もあるが提供しなければ暴動が起き、両方に多大な死傷者を出す事になるだろう。それだけは避けたいとしてドンドン食料を開放していく。

 

「司令、大丈夫なのですか? 我々も余裕があるとは言いづらいのですが……」

「パーシヴァル基地にはまだまだ食料がある。制空権を確保している以上空路からの補給も可能だ。問題はないだろう」

 

 既に基地には通信済みであり、追加の食料が明日にでも届く事になっている。今ここで食料を出したところで問題はないとロブソンは判断していた。

 

「それよりもグラ・バルカス帝国の攻撃に注意しろ。これを仕組んだのはあいつららしい。となればこの肉壁を有効的に使って攻撃を仕掛けてくる可能性がある。流石にこの状況で攻撃を受ければひとたまりもないからな」

 

 ロブソンはこの大規模な動きから敵の襲撃を予測し備えさせる。そして、それが正しかったと証明されるのは日が完全に落ちてからとなる。

 

グラ・バルカス帝国戦が終わった後の展開に関して(なお、あくまで参考にさせてもらうだけなのでアンケート通りにいくとは限りません)

  • そのまま年代飛ばして魔帝戦
  • ブログ更新を待ちながら原作準拠
  • 書籍版重視して発売まで待つ
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