a.t.s56(皇歴56年)/5/18/23:40 ヒノマワリ王国首都ハルナガ京東部
「敵襲!」
その言葉を放ったのは難民となったヒノマワリ王国の民が完全に寝静まった深夜、暗視ゴーグルを装着したシーランド帝国軍の見張りだった。道沿いにこちらに向かってくる複数の戦車を確認した事で宿舎は慌ただしく動き出す。とは言っても事前に予測され、通達されていた事で混乱はない。全員が決められた通りに動き、迎撃の準備を始める。事前通りではないのは民たちだ。
「ぐ、グラ・バルカス帝国だぁっ!」
「逃げろ! 殺されるぞ!」
「おい! 押すなよ!」
我先にと逃げ出そうとする民たちはシーランド帝国軍の宿舎にまで雪崩れ込みそうな勢いだがそんな彼ら等知らないとばかりにシーランド帝国軍の戦車が砲撃を始める。砲弾は民の頭上を飛び越えていき、一番先頭を走っていたハウンド戦車に衝突、貫通した。機関銃すら口径次第では防げない戦車たちに現代戦車すら破壊することを想定した砲弾を防ぎきる事など不可能であった。
その一撃を皮切りに次々と戦車が砲撃を始める。遥かグラ・バルカス帝国軍のハウンド戦車の射程圏外からの百発百中の砲撃は僅かな期間で全滅にまで追いやる戦果をたたき出した。
「す、すごい……!」
「でも私達がいるのに撃つなんて……」
戦車の砲撃の爆風で頭が吹き飛んだり骨が折れるなどして死亡した人間が多数出るなどしているがそれに対してロブソンは拡声器を以てこう答えた。
『ヒノマワリ王国の国民諸君。我らはムーより君たちの命の保証をしてほしいと言われ、それを受け入れている。だが、今の諸君らは我らの行動を邪魔している。それはつまりグラ・バルカス帝国に協力する敵と同じである。敵に与した者にまで容赦はしない。それが嫌なら大人しく道を開けよ。俺達はお前らに構っている時間はないのだからな』
あまりにも高圧的過ぎる言葉だが実際にロブソンの言う通りであった。グラ・バルカス帝国が仕掛けた事とは言えシーランド帝国軍の動きを阻害し、余計な出費を出している。戦闘が始まれば混乱で手が付けられなくなり防衛すら難しくさせている。詭弁と言われようとも実際にシーランド帝国軍の侵攻を妨害しているのだがら微妙に反論もし辛かった。とは言えそんな事はヒノマワリ王国の国民にとっては関係ない話である。突如として国を追われ、助けを求めて東に向かえば邪魔だと罵られる。今日ほど理不尽と感じる事は一生ないだろう。
『ああ、別に邪魔さえしなければ攻撃はしない。生きて居たいのなら邪魔をするな。以上だ』
それだけ言うと破壊された戦車を盾にするように向かってくる歩兵たちに戦車砲や車載機銃による弾丸の雨を降らせ始める。ヒノマワリ王国の国民たちは少しでも助かろうと体を低くして宿舎の脇をゆっくりと歩み始めるのだった。
「報告! 戦車隊全滅! 歩兵は戦車を盾に前進を試みましたが敵の反撃で壊滅状態にあります!」
「馬鹿な……! 夜襲も通じないというのか!?」
征統府ではシーランド帝国軍への奇襲作戦の失敗を聞いて阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。夜襲ならば少しは損害を与えられるのではないか? そう考えてハルナガ京に駐留する軍勢の半数と全戦車隊を向かわせたが結果はその尽くを失うという最悪の物となった。これによりハルナガ京の防衛は絶望的となりつつあり、今すぐにでも逃げなければ命はないだろう。
「逃げ延びた兵士によると今は動き出す気配はないそうですがそれは就寝の為と思われます。つまり、明日にでも侵攻が再開される可能性が高いです」
「肉壁は、たった一日動きを止めただけか……」
こうなってしまえば彼らの出来る事はない。征統府は直ぐにヒノマワリ王国からの撤退を決定した。重要書類は全て持ち出すか焼却処分し、征統府関係者を優先的にレイフォル州の中心地であるレイフォリアまで送り出す。僅かに残っている歩兵たちは半数が護衛、半数が足止めの為にハルナガ京に残りゲリラ戦を展開する事になった。
とは言えその半数は戦況が戦況ゆえに強制的に選ばれていた。そんな彼らが本気で殿を務める訳がなく、夜明け時点で数は半減していた。
「何としてもレイフォリアまで逃げ切るのだ!」
しかし、そんな征統府の人間に不幸が訪れる。脱出の様子を偶然確認できたシーランド帝国のジェット戦闘機隊が緊急離陸して襲い掛かったのである。既にグラ・バルカス帝国の戦闘機隊は逃げるか壊滅している。対空装備もほぼないうえにそんなもので撃ち落とされる程ジェット戦闘機隊は柔ではない。
結果、ジェット戦闘機隊から放たれるミサイルや機銃掃射により、大半が戦死する事となる。更に、その中でレイフォリアまでたどり着けたものは数名程度しかおらず残りはレイフォリアに逃げる事を諦めたか現地住民によって討ち取られる結果となっていた。
そして、翌日の5月19日。ハルナガ京を制圧したシーランド帝国によってヒノマワリ王国は降伏を決断。王族はムーに送られて統治政策はシーランド帝国軍によって行われる事になる。
5月22日、ハルナガ京で補給と統治体制を整えたシーランド帝国軍は本命であるレイフォル州に向けて進軍を開始した。
グラ・バルカス帝国戦が終わった後の展開に関して(なお、あくまで参考にさせてもらうだけなのでアンケート通りにいくとは限りません)
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そのまま年代飛ばして魔帝戦
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ブログ更新を待ちながら原作準拠
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書籍版重視して発売まで待つ