a.t.s52(皇歴52年)/11/5/12:52 アルタラス王国王都ル・ブリアス
「ターラ14世殿、パーパルディア皇国と戦争になるというのは本当ですか!?」
パーパルディア皇国アルタラス王国出張所から戻ってきたターラ14世を出迎えたのは愛娘ルミエスと婚約したばかりのアーロン・フェニックス・ペンドラゴンだった。彼は大使館にやってきたアルタラス王国の使者の言葉を聞き急いで王城にやってきたのだった。彼の隣には不安そうにしているルミエスもおり父親の言葉を待っている。
「そうだ。我が国はパーパルディア皇国と戦争になる。だが、我が国は確実にパーパルディア皇国には勝てない」
いくら文明圏外国の中では文明圏の国に匹敵する国力を持つアルタラス王国でもその文明圏すら従える列強のパーパルディア皇国に勝てるわけがなかった。パーパルディア皇国が大量配備しているワイバーンロードはこの国にはないうえにワイバーンの数すら劣っている状況なのだ。更に海上戦力、陸上戦力ですら満足に戦えるほど拮抗していない。
戦えば確実に負ける
それがパーパルディア皇国とアルタラス王国の国力差を如実に表していた。それでもターラ14世は戦争する道を選んだ。
「パーパルディア皇国の要求は確認しましたがさすがにあのような暴挙に出るとは……。本当に申し訳ございません」
アーロンはターラ14世に頭を下げる。確実にアルタラス王国への要求はシーランド帝国との交渉決裂が原因であった。アーロンはあの場でもう少し良い方向に交渉できたのではないか?もっと相手に配慮することができたのではないか?そんな考えが頭の中を延々と巡っていた。
そんな彼の肩に手を置くターラ14世。その目はとても穏やかで優しい瞳をしていた。
「婿殿、貴殿は何も悪くはない。そもそもパーパルディア皇国との仲介をした時点でこうなる可能性はあったのだ。婿殿は自分に出来ることをやっただけだ」
「しかし……「もし!」っ!」
「もし、本当に後悔しているのであれば我が娘ルミエスをどうか頼む。そなたはルミエスの婚約者なのだ。ルミエスを幸せにしてくれ」
「お父様……」
ターラ14世の言葉にルミエスは悲しげにうつむく。一瞬見えた目じりには少し涙が溜まっていた。アーロンは自分の無力さを噛みしめながら頷く。
「……分かりました。必ず幸せにします」
「その言葉を聞けて良かった。……さぁ、早く避難しなさい。一週間もしないうちにパーパルディア皇国はやって来るだろう」
「……ターラ14世殿は?」
「私は国王として、まだやることが残っている。それに民を置いて一国の王が逃げる事など出来ないのだよ」
パーパルディア皇国には勝てない。それなのに逃げることなく迎え撃つ。その言葉がどれほど重く自分程度では揺るがすことができないとアーロンは感じ取った。皇族ではあるがその事を笠に着ることもなく外交官として今までやってきた彼には国の王としての責任感は分からなかった。
それでも、ターラ14世の言葉に従う。ルミエスは荷物をまとめるために自室に戻りアーロンも大使館の撤収準備を始める。アルタラス王国が戦争になる理由を考えればこのまま居続けることは出来なかった。大使のビクターをはじめ職員たちは重要な物を中心にまとめ始めていた。アーロンに気付いたビクターが駆け寄って来る。
「アーロン殿、やはり戦争になるか?」
「その様です。それと、ルミエスを含め一部の人間を一緒に避難させてほしいと」
「ターラ14世殿は?」
「……」
「……そうか。分かった。明後日の正午までにシオス王国に停泊中だった貨物船がやって来るそうだ。多少人数や荷物が増えても問題はないだろう」
ビクターはそう言って荷物の整理に戻っていく。アーロンも自分に割り当てられた部屋に行き荷物をまとめる。ルミエスと婚約する事になりアルタラス王国の外交からは外されることとなっていたアーロンの荷物は最小限だった為難なく準備を終えることが出来一人ベッドに座り込む。この世界に来てから怒涛の日々の連続であり彼はこれまでの事を思い返しながら意識を闇に落としていった。
a.t.s52(皇歴52年)/11/4/23:16 シーランド帝国帝都ロンドニウム
「反対だ」
皇太子ウィリアムはきっぱりとそう言った。彼の目の前には困ったような表情をしている一人の女性がいた。
「ですが、フェン王国からの正式な招待状ですよ?いかないわけにはいかないでしょう?」
「だが……」
ウィリアムは彼女、皇太子妃であるグィネヴィア・ロバーツ・ペンドラゴンの言葉に渋る。
実はフェン王国からパーティーの招待状が届いたのである。本来は皇帝に届いたものだが現在ライオネスは療養中でありウィリアムは慣れない皇帝の仕事に忙殺されていた。その為皇太子妃であるグィネヴィアが代わりに出席しようという事になったのだ。……しかし
「パーパルディア皇国とは実質的な戦争状態に入っている。パーパルディア皇国の近くにあるフェン王国に向かうなど自殺行為にも等しい」
「ですが断るというのも外聞が悪いのではないですか?正式な招待状ですしフェン王国は友好関係を築けている国の一つです。断った場合友好関係に亀裂が入る可能性もありますよ?」
「……」
ウィリアムはその言葉に悩む。確かにパーパルディア皇国がフェン王国に攻めてくる可能性は低い。王都アマノキへの攻撃もあったがあれはシーランド帝国のせいであると発覚しているしフェン王国に矛先が向かう可能性は低い。それでも、グィネヴィアを溺愛するウィリアムは許可することが出来なかった。
結局、この日はグィネヴィアがフェン王国に向かう話は却下されたがその翌日にアルタラス王国の一件が入った。これを聞いた宰相は「いくらパーパルディア皇国でもフェン王国まで侵攻する可能性は低いですしここは殿下が叫ばれている各国との友好関係の構築を優先されてみれば?」という進言によりグィネヴィアのフェン王国行が決定することとなる。
しかし、彼は後にこの決定を深く後悔しシーランド帝国の50年後までの方針にも影響を与えるようになるがこの時誰もその事を予想できていなかった。
アルタラス王国
滅亡はほぼ確定したうえにカウントダウンに入っている。シーランド帝国の大使館は撤収しその際にルミエスも避難。シーランド帝国本土ブリテン島に向けて出発した。ターラ14世は国王としてアルタラス王国に残り最後の意地を見せる。
シーランド帝国
パーパルディア皇国の話を聞き戦争準備を着々と完了させつつあるが未だ70%ほど。加えてウィリアムがなれない政務で手早く進まないことも相まっている。その一方でフェン王国の招待状を受けて皇太子妃がフェン王国に向かう事になる。
フェン王国
あれ?原作でこんな事あったっけ?(すっとぼけ)
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了