シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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閑話・魔王軍征伐編
第二十七話「古の魔王1~襲来~」


a.t.s52(皇歴52年)/12/5/9:13 トーパ王国世界の扉

トーパ王国という国はこの世界の中でも勝ち組と言える国だった。その理由はシーランド帝国との友好関係の構築に成功したからだ。

トーパ王国とシーランド帝国の出会いは意外と拍子抜けするものだった。シーランド帝国は転移後にこの世界の魚介類を調べるために漁業関係者に高値で魚を買い取っていた。値段は普通に売るよりも高く特に前の世界には生息していなかった魚に関しては倍以上の額を支払っていた。その為漁業関係者は挙って漁に精を出しまた未知の魚の美味しい食べ方などを研究(勿論食べられると判断されたもののみ)する事でちょっとした経済特需が生まれていた。そしてその中の漁船の一つがトーパ王国付近までやってきてトーパ王国の漁師と接触したのだ。当初こそ良く分からないことで警戒していた両者だったが気づけば共に漁を行う仲にまで発展しておりそこでトーパ王国の漁師という事が判明したのだ。

両国の漁師は互いの国にこの事を報告。トーパ王国の使者がシーランド帝国にやってきたことで国家交流が行われたのだ。因みに、最初の外交は国交の樹立ではなくお互いの漁を行う上での注意や線引きといったものでそれらが纏まった後に国交樹立はなった。

シーランド帝国との関りはトーパ王国を今まで以上の発展を促した。シーランド帝国との通商にはトーパ王国の港では満足に行えなかった。それを聞いたシーランド帝国は港の拡張、建設を行い周囲のインフラも整備した。結果、トーパ王国の沿岸部はコンクリートとアスファルトの近代的な物へと変貌した。その後、シーランド帝国からやって来る船はそのどれもが巨大で速く、頑丈だった。更にグラメウス大陸とフィルアデス大陸を分け隔てる世界の扉を知るとシーランド帝国の観光業界は大いに食いついた。

 

『古き時代に建設された世界の扉。それは魔物蔓延るグラメウス大陸よりフィルアデス大陸、ひいては世界を守るために作られた。それは今も機能し魔物から世界の平和を守り続けている』

 

このような言葉と共に新世界おすすめの観光スポットとして紹介された。結果、フェン王国の情勢悪化に伴い民間人の渡航が不可能となった現在はトーパ王国に観光客が集中していた。パーパルディア皇国との戦争が開始されてからは本土に戻る者も多くいたがそれでもトーパ王国、特に世界の扉付近には1000以上のシーランド帝国国民や臣民が多くいた。

そんな最近では見慣れた光景になっている現状を傭兵のガイは暇つぶしに見ていた。

 

「平和だねぇ」

「こらこら、街の様子じゃなくてグラメウスの方を監視しろ」

 

ガイの呟きに幼馴染のエルフ騎士、モアが注意する。しかし、ガイはめんどくさそうに答える。

 

「だけどよぉ、魔物はほとんど来ないじゃないか。パーパルディア皇国への奴隷の献上を止めると言ったけど結局攻めてくる様子はないし」

「攻めて来ないのではなく攻めて来れないのだろう」

「お、やっぱり騎士だけあって上の情報は入って来るのか?」

 

ガイは暇つぶしに聞かせてくれとばかりに目で訴えてくる。その様子にモアはため息をつくがやがて観念して話だす。

 

「この都市にも来ているシーランド帝国とやりあっているらしい。上層部から聞いたんだが、パーパルディア皇国は負けているらしい数日前にはパーパルディア皇国の本土に上陸したらしい」

「マジかよ。あれでも列強の一つだぞ?シーランド帝国はそんなに強いのか?」

「詳しくは知らん。ただ、この国に駐留しているシーランド帝国軍を見た事はあるが……、騎士の存在意義を見失いかけたな」

「?どういうことだ?」

「戦い方が根本的に違かったんだ。トーパ王国は騎士による接近戦を主体にしているがシーランド帝国は銃による遠距離戦を主体にしている」

「銃?あんな連射が効かない物を使っているのか?」

 

トーパ王国にも銃は存在するがパーパルディア皇国のものに比べれば連射性は悪かった。ガイはシーランド帝国の意図が読めずに困惑する。

 

「ああ、俺も最初はそう思っていたがシーランド帝国の銃は連射が出来る。一秒間に数十発を放てる物もあるらしい」

「は?なんだそれ、そんなもの存在するわけないじゃん。シーランド帝国は体面を気にする国なのか?」

「いや、本当さ。実際俺もこの目で見てきたからな」

 

モアは思い出す。遠く離れた距離、魔法も届かない距離から銃で的に当てている姿を。連射が出来る銃で的を粉微塵にするすがたを。モアはその様子を見たとき今まで積み上げてきた騎士の矜持が崩れ去っていくのを感じた。それは他に見学していた者もそうでありトーパ王国では銃の重要性を理解しシーランド帝国に対して買えないか交渉するようになった。

そんな幼馴染の様子を感じ取ったガイはシーランド帝国の軍隊を見てみたいと思うようになった。シーランド帝国人に関しては良く見かけるがどういう国かは知らなかった。ガイはこの仕事を終えたらシーランド帝国に行ってみようと心の中で思った。その時はモアやもう一人の幼馴染も誘って。

 

「……な、なぁ。今度「ガイ!あれを見ろ」どうした?……あ、あれは」

 

ガイの言葉を遮りモアはグラメウス大陸の方を凝視する。モアの視線の先、そこには1000を超える魔物、ゴブリンの大軍とそれらを率いるオークにオーガ。そして伝説の魔物、レッドオーガとブルーオーガの姿だった。

 

「つ、通信兵ぇぇぇぇぇっ!!!」

 

モアの叫びとゴブリンの大軍が城壁に殺到するのはほぼ同時であった。

 

 

後に魔王討伐を目的とした『グラメウス大征伐』と呼ばれる大規模軍事遠征、その原因となる魔王侵攻が開始された瞬間だった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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