シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第二十九話「古の魔王3~強襲上陸~」

a.t.s52(皇歴52年)/12/5/14:13 トーパ王国王都ベルンゲン

「トーパ王国国王殿、お困りの様ですね」

 

会議に乱入したヘイグはそのまま国王に近寄る。重臣や衛兵が止めようとするが手で制しある程度の距離で止まる。本来なら無礼と取られても可笑しくない行動だったが今は非常事態であり余計な礼儀をして時間を潰すのがもったいなかった。

 

「単刀直入に言いましょう。我が駐留軍も魔王討伐に力を貸しましょう」

「おお!それは誠か!」

「ええ、勿論です」

 

ヘイグの言葉に国王ラドスは笑みを浮かべる。ラドスも駐留軍の演習などを見てその力と練度を知っている。数も千近くはおり十分魔王軍と戦えると予想した。

しかし、喜ぶ国王とは違い重臣たちは懐疑的あった。いくら何でもシーランド帝国の動きが早すぎた。何か裏があるのでは?と疑うがそれを感じ取ったのかヘイグは話し始める。

 

「……世界の扉には我が国の観光客が大勢います。我らとしては一刻も早く彼らを救出したいのですよ。それに、そこには私の娘達も居ます。親としては無事であってほしいと願っており今すぐにでも助けに行きたいのです」

 

ヘイグの言葉を受けてその場の誰もが納得する。確かにヘイグの表情は真剣だったが瞳の奥には焦りと怒りが燃え盛っておりヘイグの言葉の信憑性を後押ししていた。

国王ラドスはヘイグの言葉に大きくうなずき決断する。

 

「……分かった。トーパ王国としてシーランド帝国に正式に救援要請を行う。加えて貴殿ら駐留軍の国内の軍事通行権を与える。どうか、我が国の民も救ってほしい」

「勿論です。それでは失礼します」

 

ヘイグがそう言って出ていこうとした時衛兵が血相を変えて入ってきた。

 

「大変です!王都南部に大量の海魔が現れました!更に赤竜に乗った魔王ノスグーラがいます!」

「な、なんだと!?」

「魔王ノスグーラは海魔に乗せた魔物を次々と陸上に上げています!このままでは王都まで侵略を受けます!」

 

魔王ノスグーラの名を聞き国王ラドス以下重臣たちの顔は真っ青になった。城塞都市トルメスに向けて軍を送ったばかりで今の王都にまともな軍勢は存在しなかった。しかし、それはあくまでトーパ王国のみの話である。

 

「国王陛下、強襲上陸部隊は我らで対応します。よろしいですね?」

「も、勿論だ。今の我らに戦える戦力は無いに等しい」

 

ヘイグは国王ラドスの許可を得てすぐに迎撃態勢に移るように無線で伝える。元々すぐに動けるように準備はされていたためトーパ王国駐留軍凡そ1000名は当初の目的地であるトルメス、ではなく王都南部へと進軍を開始した。

 

 

 

 

魔王ノスグーラにとって封印される前に戦った太陽神の遣いを脅威に感じていた。あれから1万年以上の時が経過しているが魔王にはそんな事知る由もないが部下たちの報告から途方もない年月が経過しているのは明らかだった。

とはいえ魔王ノスグーラは安楽的に考えることは出来なかった。太陽神の遣いとの戦争はそれだけ魔王に深い傷を残したのだ。魔王は考え戦略を用いた。

 

レッドオーガとブルーオーガに魔物を率いて戦うように言い自分は気づかれないように海魔を用いて戦線の南部、トーパ王国の王都へと奇襲、上陸する。その際に敵の主力が北部に向かうのを待つ。そして敵の大本の指揮系統を奪い取り混乱する敵主力を後方と正面より挟み込んで撃退する。それが魔王ノスグーラが考えた作戦だった。

 

実際これはうまくいき南部よりやって来るとは想像していなかったトーパ王国は混乱した。このままうまくいけば王都を占領し国王以下重臣の大半は死ぬ事となり主力はトルメスとベルンゲンのどちらに向かうかで混乱しその隙をついて程々で暴れるのをやめ南下するレッドオーガとブルーオーガと挟み撃ちに出来たはずだった。

もし、シーランド帝国が駐留軍を置いていなければシーランド帝国が到着する頃にはフィルアデス大陸北部を支配下に置き多大なる犠牲を払う事になっていただろう。

魔王ノスグーラにとって一番の不幸は太陽神の遣いを超える戦力を有するシーランド帝国の軍勢が王都付近にいた事だった。

 

「あれは……」

 

ゴブリン3000、ロード100、オーク10、と共に王都南部に上陸した魔王ノスグーラの前にシーランド帝国の駐留軍1000名がゆくてを阻むように布陣する。それを見た魔王ノスグーラは嫌な予感に襲われた。そう、太陽神の遣いも似たような布陣をしていたのだ。

魔王は手始めにゴブリン300を突撃させる。敵兵の動きを見るためとは言え全ゴブリンの10分の1を繰り出すことに抵抗を感じたが念には念を入れた結果であった。

そして、魔王の嫌な予感は的中した。ある程度近づいたゴブリンたちは乾いた音と共にはじけ飛びその場に崩れ落ちた。300のゴブリンが全滅するのにかかった時間は1分以内。それを見た魔王の頭の中に二つの案が浮かぶ。

一つはこのまま攻撃を続けること。300を失ったがそれは雑兵のゴブリンであり数は少ないがオークやロードはまだ健在である。更に自ら前線に立てば否応にも敵の目標は自分に引きつけられる。その間に敵に接近すれば何とかなる可能性がある。相手は万のような大軍ではなくどんなに多くても2千ほどと魔王は布陣する敵を見て予測を立てた。

もう一つは撤退する道だ。敵は防衛線を念頭に置いている様で攻めてくる様子はない。太陽神の遣いの可能性が高い以上自らの命も危うい可能性がある。300の被害で抑えてレッドオーガとブルーオーガに合流、北部より侵攻するというものだ。

しかし、両方ともに魅力的であるが撤退すれば次も同じことを出来るとは思えないしこのまま攻め込むには不安要素が多すぎた。太陽神の遣いの実力を知っているが故に魔王は目の前の軍勢を無視できず二の足を踏むこととなった。それが、目の前の軍勢、駐留軍にとっては都合のいい事とも知らずに。

 





【挿絵表示】

トーパ王国の地図です

【挿絵表示】

トーパ王国への魔王軍侵攻ルートです

【挿絵表示】

ベルンゲンに置ける両軍の布陣図です。

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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