シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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ふと思ったけど描写上シーランド帝国の最初の死亡者はグィネヴィアという事になるのか……


第三十話「古の魔王4~撃退~」

「先遣隊と思われる奴らを出してから動きませんね。何を考えているんだか」

 

トーパ王国の王都ベルンゲンの南に布陣した駐留軍は魔王ノスグーラ率いる軍勢を迎え撃つべく守りの態勢を維持しているが敵は先遣隊(ゴブリン300)を出してから全く動かなかった。その事を不思議に思った将兵が総指揮を執っているヘイグに自らの疑問を言った。しかし、ヘイグはむしろ魔王に対して侮れない敵と認識をしていた。

 

「敵の魔王、だったか?そいつが軍を指揮しているなら随分と慎重だな。聞いた話だがゴブリンは雑魚だがそれでも十分脅威になりうる存在らしい。まぁ、そうでなくても約300を瞬殺されれば戸惑うのも無理はないだろう」

 

むしろ全軍で向かって来ないだけ理性的だなとすら思っていた。だが、ヘイグとしては直ぐにでも北部に向かい娘家族(とその他大勢の観光客)を助けたかった。こうしてにらみ合っているだけでも魔王軍にとっては十分利となっている。

ヘイグは短期で決めるべく指示を出す。

 

「機銃斉射で敵を潰すぞ。……ここからでも十分殲滅可能という事を魔王に教えてやれ!」

 

ヘイグの指示で機銃による一斉射撃が開始された。隊列もなくただ並んでいるだけのゴブリンに無数の弾が当たりその体に風穴を開けていく。突然の事に驚くゴブリンたちを見てヘイグは更に攻める。

 

「一気に決めるぞ。ランチャーを放て」

 

本来なら不必要ともとれるランチャーの使用に将兵は驚くもすぐに準備を行う。目標は敵の後方、魔王の前、オークやロードがいる場所である。

巨大な爆風と共に直線に突き進むロケット弾。その数は3つでそのすべてが混乱するゴブリンの直上を超えてぼんやりとロケット弾を見ているロードとオークに衝突する。周囲も吹き飛ばす爆発が三つ起こり周辺の魔物を巻き込んでいく。爆風が収まればそこにあるのは肉塊へと変わったオークとロード、巻き込まれたゴブリンの死骸のみで生存者は存在しなかった。

ヘイグの指示によって攻撃を開始してから僅か数分。3000以上いた魔王軍は1000以下まで減っていた。オークやロードといった種戦力は全て殺され残っているのは騎士相手に勝つことが出来ないゴブリンと魔王、赤竜のみだった。

 

 

 

 

魔王は漸く自分の認識の甘さに気付いた。撤退か交戦かなんて考えている場合ではなかった。敵が攻撃をしないうちにさっさとどちらかを決めて行動すべきだったのだ。魔王はうめき声を上げるゴブリンたちを見てすぐさま行動した。自分の後方に控えている赤竜にまたがるとそのまま逃走を開始した。魔王としては有るまじき行動だがそんなことを言っている暇はない。実際逃げ始めた自身を見て敵の攻撃がこちらに集中しており中にはオークやロードを殲滅した攻撃も飛んできていた。赤竜の重力魔法で無効化しているが何時までも防げるわけではない。一刻も早く敵の攻撃範囲外に向かわないといけなかった。

 

「やつらは、太陽神の遣いよりも装備面は良い……」

 

明らかに太陽神の遣いより洗練された攻撃を見て魔王は悔しげにつぶやく。敵の攻撃はどれも自身を脅かす攻撃ばかりであり太陽神の遣いよりも技術が高い事を察することが出来た。出来てしまった。

彼らがいる限りフィルアデス大陸への侵攻は相応の犠牲を覚悟しなければいけない。万の軍勢を投入して敵十人を殺す。そんなふざけているとも言える犠牲が必要だ。魔王ノスグーラは一旦レッドオーガとブルーオーガと合流すべく南に飛んだ後北東、北西と順に進路を変えつつ敵を警戒するのだった。

 

こうして突如として迫ってきた魔王ノスグーラの奇襲は防ぐことは出来たがそれでも危機は過ぎ去っていない。城塞都市トルメスでは未だに猛烈な攻防戦が繰り広げられている。一刻も早い救出が要求されていた。

 

魔王を退けた駐留軍はその日休息を取り直ぐに北上した。ヘイグにとっては休息すら惜しい状況だがなるべく万全な状態で戦えるように焦る気持ちを押し殺していた。その頭には常に娘の安否を考えて。

 

 

 

 

レッドオーガとブルーオーガは現在魔王の言いつけ通りトルメス城を包囲する軍勢と捕まえた人間を監視する者を置いて南下していた。目的は北上してくるであろう敵の軍勢を相手に迎え撃つためである。その数は1万ほどと減っているが魔王に続く実力の持ち主であるレッドオーガとブルーオーガ、更にオークやロードを多めに連れてきているため返り討ちに出来る力は有していた。

 

「魔王様は随分と策を練るようになったな」

「それだけ太陽神の遣いは恐ろしかったという事だろう」

 

レッドオーガとブルーオーガは準備を終え本陣にて料理を食べていた。魔物が食べる物は基本的に人間であるため彼らが食べている物も勿論人間である。中にはエルフやドワーフも食べるが今彼らが食べているのは人間の骨で出汁を取りエルフの肉で煮込んだシチューのようなものである。

 

「魔王様はうまくやられたのであろうか」

「勿論だろう。あの魔王様だぞ?むしろ我々が役目をきちんと役目を果たさないといけないだろう」

「それもそうだな」

 

彼らは一片たりとも魔王の失敗を考えていなかった。太陽神の遣いに負けその後は封印されたとは言え彼らの中では未だ魔王の権威は衰えていなかった。出なければ封印が説かれた後も付き従ったりしていない。

二人は料理を食べ終えるとやって来るであろう敵の襲来に備えるのだった。

 





【挿絵表示】

魔王の撤退ルートとトーパ王国軍主力の凡その進路です。

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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