シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第3章【フィルアデス大陸編・後編】
第三十三話「列強の落日1~皇国の狼狽~」


a.t.s52(皇歴52年)/11/30/11:00 パーパルディア皇国皇都エストシラント

「どういう事だ!」

 

パラディス城に一人の男の怒声が響き渡る。聞いた者の体を震わせ恐怖に陥らせるような迫力が籠った声を第3外務局局長のカイオスが真正面から受けていた。カイオスは顔を青くし汗を流しながら必死に頭を下げている。そんなカイオスに男、ルディアスは顔を赤くし誰から見ても怒っていると分かる表情で睨みつけている。

 

「フェン王国に侵攻していた監査軍は全滅、アルタラス王国に派遣した軍もワイバーンロードは全滅、艦隊も海に沈んだというではないか!貴様は何をやっていたんだ!」

「も、申し訳「誰も謝罪など求めておらぬぞ!」申し訳ございません!」

 

カイオスは必死に頭を下げて謝罪を口にする。今にも膝すらつきそうな勢いのカイオスにルディアスの怒りは積もるが呼吸を落ち着かせるために息を整える。

 

「……アルタラス王国を占領している軍はどうなっている?」

「ここに来る前に敵が上陸を開始したと報告がありました。……全体で、劣勢もしくは敗走中です」

 

ルディアスの問いに皇国軍最高司令のアルデが答えるがその内容はとてもではないが吉報でもなんでもなく、凶報だった。アルタラス王国を占領している軍にはリンドヴルムを多数配備しているがマスケット銃の弾丸ですら致命傷となる程度の外殻しか有していないリンドヴルムに戦車などを配備したアルタラス解放軍に適う訳がなかった。アルデの下にはまだ報告が行っていないがアルタラス王国の地上軍は陸と空、場所によっては海からの強烈な火力を受けてほぼ壊滅状態にあり全土開放も時間の問題となっていた。加えて現地のレジスタンス組織により場所は直ぐに把握、解放軍に情報が行くため隠れてもすぐに見つかり攻撃を受けていた。

 

「……ここまで文明圏外国にコケにされるとはな。これより、パーパルディア皇国はシーランド帝国に対し殲滅戦を行う!ロデニウス大陸にも軍を派遣しシーランド帝国と友好関係を結んでいる国を全て滅ぼすのだ!」

 

ルディアスの殲滅戦の宣言にアルデ以下誰もが否定的だった。シーランド帝国の力は予想以上に高い事はここまでの戦闘で分かっておりこのままではいずれ本土にすらやって来るのではないか?というのが噂ながら皇国の上層部に出回っていた。

しかし、同時にシーランド帝国に対していい気持ちを持っていないのも事実で理性では否定的だが本能の部分では大いに賛成している状態だった。頭では理解していても心で反発していたのだ。

ルディアスが早速その趣旨をシーランド帝国に伝えるように命令しようとした時だった。突然一人の兵士が入って来る。

 

「何事だ!今は会議中だぞ!」

「申し訳ございません!ですが、急を要する報告が入りました!」

 

兵士はルディアスの怒鳴り声に恐怖しつつその報告を大声で言った。

 

「先ほど!南東部にシーランド帝国の軍勢が上陸しました!その数、50万近くいるとのことです!さらに、ワイバーンロードより早く動く鉄竜に鉄の地竜も複数確認されています!それと工業都市デュロが空爆を受けています!被害は不明です!」

 

パーパルディア皇国、最後の時が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/11/30/10:50 パーパルディア皇国商業都市ヴェヌ

皇都エストシラントと工業都市デュロの丁度中間に位置するこの都市はパーパルディア皇国により統治されるようになってから急速に発展した。元はただの漁村だったが今では商業都市としてパーパルディア皇国と文明圏外国との貿易の中心部になっている。

そんな都市故にエストシラント、デュロ、アルーニに続く陸軍基地と海軍基地がおかれている。しかし、そもそもパーパルディア皇国の都市を襲う国など存在しない上に属領の中で最も安定している地域の為鎮圧といった行動に出た事がなかった。結果、ここにいる兵士たちは怠け始めていた。4年目になるカルーも見張り台に立っているがまともに監視などしておらず同じく見張り台にいるモーガと共に駄弁っていた。

 

「……暇だ」

「俺もだよ」

 

娯楽品など持ち込めないためもっぱら二人が行うのはお喋りであった。何時もなら属領に関してや女の話ばっかりだが今日は違った。

 

「なぁ、フェン王国の監査軍が負けたって本当か?」

「ああ、どうやら本当らしいぞ。シーランド帝国という国によって一人残らず殺されたらしい」

「でもその国って文明圏外国だろ?なのに帝国を名乗るとか何を考えているんだか……」

「いや、ただの文明圏外国ではないだろ」

 

カルーのつまらなそうな呟きにモーガは真剣に否定する。情報通のモーガは限られてた情報からシーランド帝国という国を分析していた。

 

「俺も詳しくは知らないがシーランド帝国は確実にパーパルディア皇国と戦える力を持っている」

「おいおい、なんでそう言い切れるんだよ」

「確かに監査軍なら何とか出来る国もある。だが、ワイバーンロードを全滅させられる国なんてそうそういないだろ?奴らはそれを成し遂げた。……自力でそれを行えたのか、それともどこかの国が支援しているのかは分からないけどな」

「パーパルディア皇国と互角に戦える戦力を用意できる国って……、ムーや神星ミリシアル帝国か?」

「まだ分からないぞ。自力で技術力を上げた可能性だってあるんだから」

「まさか、今までそんな国存在しなかっただろ?」

 

モーガの真剣ではあるが何処か楽し気な声にカルーは反発するように答える。しかし、そんな彼らの会話もそれ以上続かなかった。何故なら轟音と共に彼らのいた見張り台が爆発したのだから。

突然の事態に驚くヴェヌに地平線を埋め尽くさんばかりのシーランド帝国の大艦隊が姿を現した。

そして、地獄が始まった。

 




ヴェヌのモチーフはヴェネツィアです。理由とか特にないです

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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