シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第三十四話「列強の落日2~デュロ空爆~」

a.t.s52(皇歴52年)/11/30/10:43 パーパルディア皇国工業都市デュロ

パーパルディア皇国の工業力を支えていると言っても過言ではない工業都市デュロはシーランド帝国から見ればまさにカモと言えるものだった。東側の沿岸部に面している上に敵の基地が多数存在している。ワイバーンロードでは絶対に届かない位置から爆撃を行えるシーランド帝国からすれば敵の工業力と兵力、艦隊を一気に潰せるチャンスであった。

その為皇太子ウィリアムが自ら指揮を執る皇国遠征軍の上陸と同時に爆撃を行うべくブリテン島より爆撃機隊が出発していた。部隊の士気は高く全弾命中させると息巻いていた。爆撃機隊を指揮する部隊長も同じような感じでありシーランド帝国の力を見せてやると誰よりも今回の作戦に燃えていた。

 

「隊長!まもなく工業都市デュロ上空です!」

「うむ、爆撃用意!ハッチを開け!」

「ハッチ開きます」

 

全翼機を採用しステルス性を求めたシーランド帝国の爆撃機は高価ではあるがそれに見合う性能を持っていた。そんな爆撃機が30以上の群れを成して工業都市デュロに襲いかかろうとしていた。

 

「爆撃ポイント入ります!」

「よし!爆撃開始!」

 

隊長の命令に従い大量の爆弾が投下されていく。空を切る独特の音と共に爆弾は地面に向けて急速に落下していく。その様子はデュロにいた市民や兵士も確認できた。聞きなれない音にいぶかしみ上空を見上げた彼らが目にした物は自らに向けて落下してくる爆弾群であった。

黒い爆弾が地面に激突し周囲を爆発と爆風で破壊する。しかしそれらは新たに落ちてきた爆弾の爆発でうまく威力が流れず上空へと押し上げられる。人どころか建物すら無差別に破壊していきそこに住まう人々を肉片に変えていく。彼らは自らに何が起こったか分からないまま意識を失っていくが彼らはまだ幸せであった。不幸なのは爆弾が大量に振ってきていると認識出来る場所にいた者たちだ。彼らは一様に悲鳴を上げ迫りくる爆風と爆発が逃れようと走り出すが無情にも彼らの近くに爆弾が落ちていき彼らを物言わぬ屍に変えていく。爆風で前に飛ばされた者が次の瞬間には目の前に落ちてきた爆弾を諸に受け体を散り散りに吹き飛ばされていく。ある者は爆弾が頭に当たり肩すら潰す勢いで頭部を凹ませ、次の瞬間には爆発で体中を吹き飛ばされる。ある者は幸運にも五体満足で逃げることが出来たが挟み込むように落ちてきた爆弾に体の中央部を残し爆発で吹き飛んだりした。

兵士だろうと皇国民だろうと植民地の人間だろうと平等に命を奪っていく。爆撃機隊30機による爆弾が全て投下された後は工業都市デュロを中心に黒煙で包まれた平地が残された。しかし、爆撃機隊はこれで終わるつもりはない。

彼らは舵を切り再びの爆撃体制に入る。五体満足で生きていられる者は誰もいないだろうと思われるにも関わらず彼らは撃ち漏らしがないようにしっかりと爆撃を行う。辛うじて生き残った者は再び絶望する事となるだろう。友を、家族を、愛する人を奪った爆弾が再び落下してくるのだから。彼らは逃げきれないと悟りその場で硬直する者、地中に逃げようと穴を掘る者、この場から少しでも離れようと背を向けて逃げ出す者などに分かれたがそんな彼らを容赦のない爆撃が襲い掛かる。一瞬の熱気と痛みと共に意識を失っていく彼らを見ることもせずに部隊長が満足げに頷いた。

 

「うむ。うむ!本国に伝えよ!『デュロ爆撃部隊周辺ゴト殲滅セリ』だ!」

 

パーパルディア皇国の工業力を一気に奪い彼らから継戦能力を奪い取ったシーランド帝国はほぼ同時刻に商業都市ヴェヌに50万を超える軍勢で上陸を果たしていた。

 

 

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/12/1/21:30 シーランド帝国領ロウリア 自治領都ニューパース(旧ジンハーク)

シーランド帝国の自治領となった旧ロウリア王国は急速に復興、発展していた。主だった都市が全滅したロウリアはシーランド帝国からやってきた移民により都市が掲載され少しづつ余力が生まれつつあった。とはいえ未だ復興の最中でありジンハークだった場所に建設されたニューパースを除けば遅々として進んでいなかった。それでもニューパース(旧ジンハーク)は近代的な都市になりつつありロウリアの中心地となっていた。

そんな都市部の郊外には竜の酒という飲み屋が存在する。かつてジンハークに存在した同じ店で空爆前にここのオーナーが所用で離れていたため生き残ることが出来たのだ。結果、位置は違えど再び店を持つ事が出来るようになったのだ。

そんな店は少数のロウリア人と大多数のシーランド帝国の国民、数える程度のクワトイネの人で繁盛していた。

 

「おい、聞いたか?デュロの話」

「ああ、聞いたぜ。爆撃機隊が周辺ごと焼け野原にしたんだろ?その様子も放送されていたから見たけどスカッとしたよな」

「ああ、俺もそうだがネットに上がっている動画を見ることをお勧めするぞ。逃げ惑う皇国人の姿が良く見えるからな」

「マジかよ!?早速見なきゃ!」

 

とあるシーランド帝国の国民がその様な話で盛り上がっている中ロウリア人の表情は暗い。

 

「……パーパルディア皇国は皇太子妃様を殺したんだろ?」

「ああ、そうらしいぞ」

「……パーパルディア皇国も終わったな」

「そうだな」

 

そのロウリア人は南部にある都市の生き残りでシーランド帝国の力を間近でみた人物だった。それだけにパーパルディア皇国の行いがどれほど恐ろしい事なのかを理解できた。この王都では一時期シーランド帝国の国民の憎しみが籠った怒号が響き渡っており中には志願兵となって入隊した者もいる程だ。最近は少し落ち着いてきたが未だに喧騒は収まりきっていない。

 

「……俺たちってさ。民族ごと消えてなくならなくて運が良かったんじゃないか?」

「そうかもな。パーパルディア皇国は確実に地図から消えるだろうしな」

 

二人のロウリア人は生きていることに改めて感謝しつつ明日の仕事に響かないように解散するのだった。

 





【挿絵表示】

黒の矢印は皇国遠征軍の侵攻路
赤は爆撃機隊の空路
薄紫はフェン王国救援軍

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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