パーパルディア皇国の歩兵たちは広がるように進む
それは両軍の本陣からでも確認できたが、パーパルディア皇国はそれどころではなく進むようにラーマックが怒鳴り、ウィリアムはそんな敵を呆れると同時にこんな屑どもにグィネヴィアは殺されたのかと怒りを募らせていた。
そんなパーパルディア皇国の中央部、最も敵に近づいている部隊を率いているフロウは自ら先頭に立つことで味方を鼓舞していた。
「いいか!そろそろ敵の射程圏内に入ると思われる!我らが一番前進しているのだ、砲が集中するだろうが決して退くことは許されない!勝ちたいなら!生き残りたいなら前のみを見て進むのだ!」
フロウは地竜の死骸を盾にしつつ前方を見る。シーランド帝国は前衛の鉄の地竜を前進させていた。シーランド帝国も地竜を運用していることに驚いていたが同時に地竜の弱点は理解していた。堅い鱗を持っている地竜だが皇国の最新式のマスケット銃には全く歯が立たない。その為フロウは鉄竜がマスケット銃の射程圏内に入るのを待つ。
「いいか!敵の鉄竜はおそらく鉄板を地竜に巻き付けているのだろう!だが!我らの最新式のマスケット銃の前に敵はない!幸い敵の魔導砲は沈黙している!このチャンスを逃す訳にはいかないぞ!」
「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」
フロウは味方を鼓舞すると自らも参加するようにマスケット銃を正面に構える。死んだ地竜で下半身を隠しつつ敵の接近を待つ。やがて大きな地響きと共に敵の鉄竜がすがたを現した。鉄竜は何の警戒もしていないのか最大速度でこちらに近づいてくる。その様子を見たフロウは今にその慢心を命を持って気づかせてやるっ!と鉄竜の頭部と思われる鉄の棒が突き出している左側を狙う。
そして十分に引き付けたと感じたフロウは声を張り上げる。
「てぇっ!!!」
その言葉と共に無数の銃弾が敵の鉄竜にめがけて放たれる。それらは大半が敵の鉄竜に向かっていき、甲高い音と共に弾かれた。
「なっ!?」
まさか弾かれるとは思わなかったフロウは驚きのあまり目を見開いてしまうが直ぐに次弾の装填を命令する。しかし、フロウはふと敵の方を見る。そこにはこちら側に棒を向けている敵の鉄竜の姿があった。
その時フロウは漸く認識した。自分たちが見慣れたものよりも小さいがまさにあれは魔導砲であった。同時にフロウは銃を投げ捨ててその場に蹲る。
瞬間、敵の鉄竜が火を噴き近くにいた味方の兵士を地竜の死骸ごと吹き飛ばした。それを皮切りに次々と敵の魔導砲が砲撃を始めた。ほかにも銃弾の音も響き渡りフロウの近くの味方兵士は死亡していた。そして遠くの方には逃げようとしている味方の兵士とその背中に銃弾が叩き込まれている姿があった。フロウが恐る恐る地竜の死骸から敵の陣地を見る。そこには両翼を広げ終え逃げ惑う味方の兵士に発砲する姿があった。
「敵は……、我らより強い銃を持っていたのか……」
フロウはこちらに向けられている砲を見て自嘲するように力なく笑う。敵の行動に呆れていたが敵との技術的格差を目にした今では戦い方が違っていたことを痛感していた。そしてパーパルディア皇国は今後どうなってしまうのか、生き残ることが出来るのか考えながら、戦車砲によって体は吹き飛びこの世から姿を消した。
メロ平野の戦いと後に言われるこの戦いはパーパルディア皇国の歴史的大敗で幕を閉じた。
前面に展開していた歩兵を叩き潰した戦車部隊はそのまま突き進んだ。更に上空に待機していた戦闘機群も燃料限界まで逃げ惑う敵の掃討を行った。
最終的に敵将ラーマック以下本陣にいた兵は逃げる前に突入してきた戦車部隊によって戦死した。この戦いでパーパルディア皇国の死傷者は9万を超え、生き残りの7割はエストシラントに向かわずに北方へと逃げていき皇都に逃げ戻ったのは僅か二千ほどだった。
既に皇都周辺から徴兵を行った後であり、これらを除けばエストシラントにいる兵は万にも満たない程度しか残っていなかった。シーランド帝国はなおも前進を続けておりシパールケ共和国に対応させるために北上中の軍隊を戻しても間に合わないところまで来ていた。
パーパルディア皇国は再び決断を迫られることとなる。
……しかし、パーパルディア皇国がどう動こうと彼らの負けは決まっており状況はまさに“詰み”と呼べるものだった。
パーパルディア皇国が皇都エストシラントの放棄を決定したのはシーランド帝国の先鋒がエストシラントを視界に収める直前のa.t.s52(皇歴52年)/12/9の事だった。
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了