一週間以上時間が空いたので前までの話を覚えてない人の為に
~フィルアデス大陸編・後編のこれまでのあらすじ~
シーランド帝国はパーパルディア皇国との戦争に突入した。工業都市デュロを更地にして商業都市ヴェヌ(当作品オリジナル都市)にウィリアム率いる50万の軍勢が上陸した。一方でパーパルディア皇国の前身パールネウス共和国時代の人間が建国した国家シパールケ共和国(オリジナル国家)はシーランド帝国の力を見てパーパルディア皇国に宣戦布告して侵攻した。東と来たから攻め込まれたパーパルディア皇国は対処するために合計20万の軍勢を用意し両者に当てるがシーランド帝国に対応した軍は10万のうち9割の損害を出して敗走。これを受けて皇帝ルディアスはルパーサやレミール、カイオスなどを置いて皇都を放棄し西部領へと逃亡した。そして有力者がほぼいなくなったエストシラントにウィリアムが直接率いるシーランド帝国軍10万が襲来し最高指揮官となったルパーサは戦わずに降伏の道を選んだ。しかし、それはシーランド帝国との交渉をするための捨て身とも言える行動だった。
a.t.s52(皇歴52年)/12/10/11:00
「面を上げよ」
シーランド帝国皇太子ウィリアムの言葉に従いルパーサ、レミール、カイオスが頭を上げる。彼ら三人は体を拘束された上で数十もの兵に銃口を向けられつつウィリアムと面会していた。……いや、面会というよりは裁判の如き状態だった。
ルパーサは自らの皇帝よりも若い皇太子を見ながら必死に頭を回転させていた。前日にエストシラントはシーランド帝国に降伏し完全に占領された。ルパーサ達残っていた重臣たちは殺されることはなかったがこうして捕縛されていた。隣にいるカイオスはどうあっても自分の命は助からないと思っているためか全てを諦めた表情をしていた。
そんなカイオスとは対照的にレミールは顔を青くさせ絶望とも悲しみともとれる顔でウィリアムを見ていた。
そんな彼らを見下ろすようにルディアスが使用していた玉座に座ったウィリアムは口を開く。
「……貴殿たちはパーパルディア皇国の重臣、それも政治の中枢に関わる者たちで良いな?」
「……おっしゃる通りにございます」
「貴殿らの皇帝は逃げたようだが何故逃げなかった?」
「……パーパルディア皇国の使者としてシーランド帝国にお願いを聞いてほしかったためです」
ルパーサがそう言うと同時に周囲の兵士たちの怒気が強くなる。ウィリアムの命令一つで彼らは弾が切れるまで銃弾すべてをぶつけるだろう。それだけの怒りを彼らに感じていた。
しかし、ウィリアムは特に反応することなく聞き返す。
「……貴殿らに交渉できるほど余裕があるとは思えないが?」
「交渉ではありません。降伏を願いたく」
「ほう?我らが貴様等の降伏を受け入れると、本気で思っているのか?」
「思っては居りません。ですが、ここにいるカイオスは貴国の皇太子妃グィネヴィア様を捕縛する計画を立て、実行しました。その隣レミール様は処刑を実行した者にございます」
「ふん、それで許せと?パーパルディア皇国の存続を許可し何もなかったようにせよと?貴様ら、何様のつもりだ」
ウィリアムから段々と怒気が伝わって来る。ルパーサはやはり無理かと思いつつ続ける。
「図々しい事は承知しています。ですが我々は皇国人がころされていくのを見ていられるほど図太くはありません。パーパルディア皇国の降伏は受け入れられなくても民の命はどうか……」
「成程、そちらが本命か」
ウィリアムはくだらないと切り捨てる。彼にとって皇国人は全て殺すべき対象であり一人とも残さず殺したい者たちだった。二十数年の命の中で初めて感じた心の底からの怒りにウィリアムは振り回され若干暴走していた。
「……皇太子様の怒りはごもっともでございます。ですが、どうか民の命をお救いください……」
「……」
必死に頭を地面にこすりつけ嘆願するルパーサにウィリアムの怒りが少しだけ下がる。と、同時に様々な事を思考し始める。
ウィリアムとて今は怒りに身を任せているが本来の性格はこんな感じではない。むしろ他国との協調を重んじる人物だった。パーパルディア皇国の一件で怒りのあまり民族浄化という事をしようとしていた。
そこまで考えて漸くウィリアムは怒りを心のうちに抑える事に成功した。そして怒りは感じないが冷ややかな視線をルパーサへと向ける。ルパーサはその瞳を見て全身から血の気がなくなるのを感じた。それだけウィリアムの瞳は冷たく見る者を恐怖させる瞳をしていたのだ。
「……確かに、民に罪はないのかもしれないが今まで好き放題してきたのだ。その報いを受けるときが来ただけだ。……だが、貴殿らの勇気に免じて交渉する機会を設けてやろう。ただし、どちらが上で、どちらの意見を尊重するべきか。それは分かるな?」
「も、勿論。です……」
「ルパーサと言ったか?貴殿は開放する。しっかりとお前らの皇帝にシーランド帝国の意志を伝えろ。……勿論、次は皇帝が来てくれるのだろう?亡国となるか、民族ごと消えるかはその交渉で決めてやる」
「……ありがとう、ございます」
ルパーサの命を懸けた言葉によりシーランド帝国はパーパルディア皇国との交渉の機会を設けることを正式に認めた。ルパーサと一部の兵のみ開放されルディアスの下へ向かっていった。
そしてシーランド帝国は北上を開始。デュロ以北のパーパルディア皇国東部領土の占領を目的としポーツァを陥落させ北部領土の一部を占領中のシパールケ共和国に対応するためでもあった。
a.t.s52(皇歴52年)/12/10/19:45 シーランド帝国帝都ロンドニウム
「ウィリアムからパーパルディア皇国との交渉の場を設けると連絡が来た」
「何と、意外ですな」
キャメロット城の執務室にてライオネスは皇太子ウィリアムから送られてきた連絡を宰相に伝えていた。ウィリアムの怒りを分かっていた二人には今回の件は予想外の出来事だった。二人は怒りに身を任せてパーパルディア皇国を滅ぼすとばかり思っていたからだ。
「とは言え勝手にこのような事をさせてよろしいのですか?」
「あいつには出発前に『パーパルディア皇国に関しては好きにしていい』と言ってある。今更反故にするわけにはいくまい」
今のウィリアムにはこの命令の方が自由に動けると見越しての許可だったがこうなることに使われるとは思わなかった、とライオネスは楽しげに笑う。高齢の為少しづつ弱ってきているライオネスのこの類の笑みは暫く見ていなかったなと宰相は思いつつ「そうですか」と返した。
「どうやら怒りは少し収まったようだな。報告によると実行犯のレミール、計画立案と実行者のカイオスを捕縛したらしい。今はヴェヌに護送し
「そうなると後はパーパルディア皇国領を完全占領するのみですな」
「だが、シパールケ共和国という国は北部を奪っているようだ。……こういうハイエナ的行動は好きではないのだがな」
「弱肉強食と言ってしまえばそれまでですが少し節操がなさすぎますな。名前の響きからしてパーパルディア皇国と関係があるのでしょうか?」
「詳しくは分からないがなんでもパーパルディア皇国の前身の国の関係者が建国したらしいぞ。第三文明圏ではパーパルディア皇国に次ぐ国力と軍事力との事だ。……パーパルディア皇国に劣る相手なら十分対処可能だろう」
「そうだとよろしいのですが……」
「……何か気になることでもあるのか?」
「いえ、内陸という事はこちらの航空戦力がうまく運用できません。戦闘機は空港が存在しないため沿岸部を除き使用不可能です。戦闘ヘリでワイバーンを相手にするのは危険では?」
「そこに関しては空港の建設を急がせるしかないな。最悪の場合弾道ミサイルでも使用して敵の主要都市を壊滅させればいい」
「そうなれば政治的空白地帯が生まれることになりますが……」
「徒党を組んで対抗されるよりはマシだろう?」
「では、こういうのはどうでしょうか?……」
「ほう、良いな……」
二人は話し合う。パーパルディア皇国に対して、シパールケ共和国に対して。シーランド帝国でも一番と二番に権力を持つ二人の話し合いは夜明けまで続くこととなる。
パーパルディア皇国戦は一旦ここで終了し次話からはシパールケ共和国戦となりますそのあとはペスタル大陸編を挟んでグラ・バルカス編となります
※投稿再開初日で申し訳ないですがパソコンが壊れてデータがおじゃんになったので暫く投稿出来ません(涙
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了