シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

42 / 117
お待たせ


第四十二話「列強の落日10~北進~」

a.t.s52(皇歴52年)/12/12/10:00 シパールケ共和国首都ルーパ

シパールケ共和国はパーパルディア皇国に比べればプライドは高くはない。しかし、それはあくまでパーパルディア皇国と比べたらである。ほかの文明圏の国々よりもプライドは高くパーパルディア皇国に関すること以外では自らが主導者とならないと気が済まなかった。

その為シーランド帝国が明らかにシパールケ共和国を意識した北進を始めた際にはシパールケ共和国政府は激怒した。我々が譲歩してやっている(・・・・・)のに一体何が不満なんだ!という声が上がる程でシパールケ共和国はこれに対応するために臨時の会議を開いていた。

 

「シーランド帝国は明らかに我々に向かって侵攻してきている」

 

シパールケ共和国大統領オーガスタは開口一番にそう言った。彼の言葉に参加している議員に怒りの感情が沸きあがる。しかし、オーガスタは手を上げてざわめきが出そうになるのを抑え続きを話す。

 

「まだ攻めてくるとは限らない。もしかしたら我が国の南下を経過して先に北側から落とすつもりなのかもしれない」

「それはないのではないでしょうか?それなら軍を広範囲に展開させるのでは?」

 

オーガスタの希望的観測にすぐさま一人の議員が話す。軍務省で働く議員の為軍事関係に関しては多少知識を持っていた。

その議員の発言はほかの議員のざわめきを呼んだ。「そうだ」と思う者も居れば「いや、こうではないか?」と第三の案を話す者もいた。だが、ここにいる者の共通点としてシーランド帝国と真正面から戦闘を行わないという事があった。

既にこの場の議員はシーランド帝国の力をある程度は把握している。同時に自分たちでは敵わないという事も。

 

「兎に角、シーランド帝国には既に使者を送ってある。上手く行けばパーパルディア皇国の北部は我らの物となるだろう」

 

その後も会議は続いたが使者からの報告待ちで会議は終了した。これ以上の話し合いは結果を聞くまで進めることが出来なかったのだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/12/13/15:00 パーパルディア皇国中部

皇太子ウィリアム率いるシーランド帝国は北上を続けていた。パーパルディア皇国の聖都パールネウスとカースを支配下に置くと少しの休憩のみを行い北へと向かった。エストシラントまでの道のりの様に虐殺を行っているわけではないため進軍速度はとても早い。それでも大した整備をされていない道を通るためどうしても戦車や機甲部隊などは遅くなってしまっていた。それでもこの世界、特に第三文明圏で見ればその速度は異常ともとれるものだった。

 

「殿下、前方にパーパルディア皇国軍がみえます」

「そうか」

 

部下の報告を聞きウィリアムは前方に視線を向ける。部下の言うとおり薄っすらと軍隊の姿が見えていた。更に近づくとこちらに向けて白旗を振っているのが確認できた。

彼らは侵攻してきたシパールケ共和国に対応するために皇都エストシラントを出陣した軍勢であった。クーズ南部に陣を敷いた彼らはまさにクーズに向けて進軍しようとしたタイミングで皇都より魔信を受けたのだ。結果的にこの地にとどまりシパールケ共和国の対応をシーランド帝国に任せるようにと命令が下りシーランド帝国が到着するまでこの地にて待機していたのだ。そして彼らはシーランド帝国に敵意がない事を知らせるために白旗を振り無抵抗をアピールしていた。

 

「お初にお目にかかります。この軍の指揮を任せられているノーマといいます」

 

パーパルディア皇国軍の将軍はそう言ってウィリアムに頭を下げた。将軍ノーマはパーパルディア皇国では珍しく列強としてのプライドは全く持っていなかった。というのも彼の母親は属領の平民で偶々父親である貴族に見初められて貴族となった経緯があったからだ。母親のせいで跡目になる事は出来ないがノーマはそう言った欲を持っていなかったため今のママが一番だと考えていた。それでも軍の指揮能力は高かったためこうして将軍の地位に就くことが出来ていた。

 

本国(パーパルディア皇国)よりシパールケ共和国への対処はシーランド帝国に任せるようにと言われています。こちらが現在の情報と周辺の地理、シパールケ共和国に関する情報です」

 

ノーマは事前に用意していた資料をシーランド帝国に引き渡した。読みやすいように工夫されたその資料を見たウィリアムはノースへの評価を上げつつ資料に目を通す。

 

「……成程、お前ら(パーパルディア皇国)の同郷という訳か。名前が似ているのもそのせいか」

「その様でございます。とはいえ侵攻してきた以上彼の国は敵となりました。同郷だからといって領土を無償で渡すわけにはいきません」

「パーパルディア皇国が滅びようとも、か?」

「勿論です」

 

ウィリアムの鋭い視線を真正面から受け止めるノーマ。彼の部下は顔を青くしつつ二人の様子を見守る。

……やがて、ウィリアムが視線を逸らしたことでこのにらみ合いは終わりノーマと、その部下は皆一様に安どの息をついた。ウィリアムの怒りを買って全滅だけは避けたかった。

 

「……お前らは西方に行くといい。パーパルディア皇国の皇帝はそちらに行ったそうだからな。あとは任せて消えろ」

 

ウィリアムは冷たい声でそう言うと陣地の掌握を命じて自らもその場を後にするのだった。

 




データ消滅でモチベーションが下がってしまったけど何とか投稿は続けていこうと思っています。最悪でもフィルアデス大陸編は終わらせたい……

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。