シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第四十九話「クリスマスの前に」

a.t.s52(皇歴52年)/12/22/12:23 フィルアデス連邦クーズ

クーズはシーランド帝国の空軍により破壊されシパールケ共和国の兵士以外の一般人にも多数の犠牲者を出していた。しかし、彼らはパーパルディア皇国やシパールケ共和国と次々と国が変わっていく中でシーランド帝国の占領統治下に置かれた。正確にはフィルアデス連邦の領土だが連邦政府は未だまともに機能しているとは言えず連邦首都となったルパースィがある西部領土しか掌握出来ていなかった。

それでもクーズの人たちの表情は明るい。自分たちを虐げて来たパーパルディア皇国がすさまじい速度で滅亡し自分たちの街を占領していたシパールケ共和国も消えた。シーランド帝国がどのような統治をするのか分からないが今までよりはマシだと感じていたのだ。

それは炭鉱夫だったハキも同じである。彼はクーズ王国の騎士の息子だったがクーズ王国滅亡後は炭鉱夫となっていた。そんな彼はパーパルディア皇国滅亡に伴う混乱で臣民統治機構の統制が崩れた隙をつきクーズに戻ってきていた。彼の目には破壊されたクーズが映っているが他の人と同様に表情は明るかった。

彼は明るい未来を想像しながら瓦礫の撤去を行っている市民たちの手伝いをするのだった。

 

 

 

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/12/23/10:23 フィルアデス連邦首都ルパースィ

元パーパルディア皇国第1外務局局長エルトは二徹でくらくらする頭を必死に動かしながら書類整理を行っていく。パーパルディア皇国皇帝ルディアスを始め主要な幹部は牢に入れられて処罰を待っていたがエルト以下一部の人間はフィルアデス連邦でそれなりの役職を与えられ働かされていた。というのもフィルアデス連邦は建国から数日しか経っていない為人不足が激しく仕方なくパーパルディア皇国の人間を使う事になっていた。

しかし、それでも人不足は解消されずエルト達は寝る間もない程働いていた。

 

「これなら、陛下たちの方がマシかもしれない……」

 

処刑が決まっているとは言えそれまでは牢に入れられているだけのルディアス達をエルトは羨む。普通なら死ぬ人間を羨んだりしないがエルトはそれだけ頭が正常ではない上に大変な仕事をしていたのだ。

 

「エルト様……。首都の改名に関する書類に、サインを……」

「分かった。そこに置いていてくれ……」

「いえ、大至急と言われておりまして……」

「分かった……」

 

エルトは同じようにボロボロの部下(勿論パーパルディア皇国人)から書類を受け取ると目を通していく。簡潔に言えばルパースィはニューイングランドという名前に変更されるという事でルパースィという名前を使用する事を禁ずるというものだった。

それを見たエルトの表情は消えた。何せ今さっきまでサインをした書類の半分はルパースィの名前が使われていたのだから。そして引き延ばそうにも大至急と言われている為サインをしない訳にはいかない。

 

「これが、敗戦国の末路か……」

 

エルトは崩れ落ちそうになる体を無理やり動かしサインをすると先ほどまで片付けた書類をもう一度最初から確認していくのだった。

 

因みに、この日も徹夜をしたエルトはクリスマスイブという事で休息する事を許可されると体の汚れを落とす事も忘れて眠りにつき一時の英気を養うのだった。

 

 

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/12/23/10:14 フィルアデス連邦首都ルパースィ

エルト達が死にそうになりながら書類整理をしている中、別の部屋では連邦統括官フレディ・K・マイソンがシーランド帝国から連れて来た部下と話し合っていた。

 

「殿下はブラーナ峠に展開していた敵軍を壊滅させたらしい」

「それならシパールケ共和国が占領している領土の全土奪還も近いですね」

「ああ、そこで殿下はクリスマス中に大攻勢を仕掛けるようだ」

「クリスマスにですか?もう少し後でもいいでしょうに」

「さっさと敵首都を落として降伏に追い込みたいらしい。殿下としてはレミールへの処刑方法を色々と考えたいらしくてな」

 

パーパルディア皇国の殲滅から方針転換したウィリアムだが心の中で溢れる怒りを収めたわけではない。彼は愛する人を殺したパーパルディア皇国や張本人であるレミールに対して激怒しておりさっさとシパールケ共和国を滅ぼして敵討ちをしたいと思っていた。

エルト達を用いながらも忙殺させている理由の一つでもありフレディは近いうちに皇帝となるウィリアムに取り入ろうと考えていた。その為、パーパルディア皇国人を酷使しレミールは死なない程度に弱らせておりいずれ報告できる際に喜んでもらえる準備を行っていた。

 

「ウィリアム殿下を“陛下”と呼ぶ日は近い。この世界に転移してから元気になったライオネス陛下だが何時倒れても可笑しくない。後継者への引き付ぎが迅速に行える環境にしておく必要はあるだろう」

「我々ももっと努力しないといけないですな」

「そうだ。ウィリアム殿下は怒りで過激になっているが元々穏健派の人物だった。どのような方針をとっても可笑しくはない。それこそ、シーランド帝国の歴史を真っ向から否定するような事をしてもな」

 

フレディは世界を支配するシーランド帝国を目指している。その際にウィリアム殿下がそれを否定する際にはパーパルディア皇国の件を持ちだしてそれを阻止できるように様々な準備とコネクションの作成を進めていくのだった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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