「何!?ワイバーンが全滅だと!?」
「は、はい。今も通信を行っているのですが全く反応がありません。それに港の方も同様です」
ハーク・ロウリア34世はパタジンからの報告に思わず立ち上がった。港からの救援要請が来た時、彼は万全を期すために王都にいる全ワイバーンを向かわせた。その数は500近くさすがのシーランド帝国も苦戦するだろうと思っていた。しかし、結果は全滅。話を聞く限り敵のワイバーン等の勢力による攻撃ではないと思われた。
「(それはつまり空を自由に飛ぶワイバーンを攻撃出来る術をシーランド帝国は保有しているという事になる。しかも近づけることなく一方的に。一体何をしたというのだ!?まさか、神聖ミリシアル帝国の様に古の魔法帝国の技術を持っているという事か!?奴らは遠く離れた地から一方的な攻撃が出来たという。シーランド帝国もそれに近い技術を持っているもしくは発掘したという事か?だがもしそうならパーパルディア皇国を超える力を持っているという事か!なれば我が国に勝ち目は……)」
彼はそこまで思案すると力なく椅子に座った。突然の王の様子に重臣たちは何事かと慌てるが次の言葉で凍り付いた。
「降伏しよう」
「なっ……!」
突然の言葉にその場の全員が驚く。まさかワイバーンの全滅の報告をしただけでそうなるとは思っていなかったのだ。しかし、そんな重臣たちにかれははなしを続ける。
「考えても見よ。敵の本土は分かっていない上にこちらの艦隊が停留していた港は壊滅。おそらく艦隊も壊滅したのだろう。そうなればロデニウス大陸から遠征することなど不可能。例えシーランド帝国の本土の位置が分かったところでこちらからは何も出来ない。なのに敵はクワトイネより軍を派遣できる。陸で勝てたとしても海で負けている以上シーランド帝国に勝利することは出来ない。和睦か降伏か。初めからロウリア王国にはその二つしか選択肢はなかったのだ」
「ですが……!」
「パーパルディア皇国の件もある。彼の国が劣勢の我が国を助けてくれるとは思えん。それどころかシーランド帝国と一緒に攻めてくる可能性すらある。そうなれば我が国は完全に消えるだろう」
彼の言葉に重臣たちは一気に青ざめる。パーパルディア皇国はロウリア王国があるロデニウス大陸の北方にあるフィルアデス大陸にある大国だ。パーパルディア皇国を中心とした第三文明圏の盟主であり列強第四位の国家である。ロデニウス大陸の中では強いという程度のロウリア王国とパーパルディア皇国では圧倒的に国力が違った。
シーランド帝国がどのような戦後処理をするのかは不明だがパーパルディア皇国の様に全てを絞りつくすような政策をする事はないだろう。もしそうだったとしても無駄に長引かせてパーパルディア皇国の介入を許すよりは圧倒的にマシであると言えた。
「クワトイネにいるかは分からないが最悪の場合仲介を頼むとしよう。すぐに用意を」
「……はい」
重臣たちは皆沈んだ様子で動き出す。彼らにも理解できてしまった最悪の未来に誰もが顔を暗くする。
しかし、最悪の事態は降伏の使者が王都を離れてすぐに訪れた。
「陛下!上空に謎の竜が!」
「何だと!?」
第一艦隊より発艦した艦載機群が降伏ムードとなった王都を灰燼に帰すために襲いかかった。