a.t.s53(皇歴53年)/4/??/??:??
ムーとの国交を持ったシーランド帝国だが正直に言ってグラ・バルカス帝国よりラヴァーナル帝国への備えを優先したかった。しかし、それを行えばいずれグラ・バルカス帝国が増長し無視できない存在になる可能性があった。その為、シーランド帝国はムーを始めとした第二文明圏の国々と安全保障条約を結ぶことを決定した。この条約をシーランド帝国と結んだ国がグラ・バルカス帝国に宣戦布告された場合シーランド帝国がグラ・バルカス帝国に宣戦布告するというものである。これを結ぶ事でグラ・バルカス帝国がこれ以上の領土拡大を行えなく出来る。更に、即座に行動できるようにムーの港に陸海軍の基地の建設を行いグラ・バルカス帝国の奇襲にも対応できるようにした。
ムーとしては難色を示す行動だが現実問題として自分たちでは抗う事は出来ない為渋々ながら受け入れる事になった。シーランド帝国としてもどこにラヴァーナル帝国が転移するのか分からない為遥か西方に転移してもすぐに軍を送れるように前線基地が欲しかったのである。
4月中旬には『シ=ム安全保障条約』が締結された。続く形で約一週間後にマギカライヒと、5月に入りニグラート連合、ソナル王国とも結びヒノマワリ王国、イルネティア王国は大分遅れて7月に入って条約を締結した。
これによりグラ・バルカス帝国は第二文明圏での領土拡大を実質的に封じ込まれた形となり攻撃をする際にはシーランド帝国の攻撃を受ける状態となった。更にムーとマギカライヒでシーランド帝国の技術を多少なりとも得る事で技術革命を起こしていき今は簡単に征服できると思われていたムーすら征服が難しくなっていくこととなる。
「シーランド帝国によって我らはこれ以上の領土拡大を押さえつけられた。だが、我が国が滅びたわけではない」
グラ・バルカス帝国帝王グラルークスはそう言って頭を抱える上層部を激励した。彼はシーランド帝国の情報を見て正確に彼の国の力を理解していた。どれほどの力を持っているのかは流石に分からなかったが自分たちでは勝てない事も。そして、いずれ脅威となるであろうムーを滅ぼす事は適わず、最悪の場合技術面で並ばれる可能性も理解していた。
それでも、シーランド帝国の行った事はグラ・バルカス帝国がこれ以上武力によって勢力を拡大する事を抑えたに過ぎない。それ以外の方法での勢力の拡大は可能であると。
「シーランド帝国とて我らの行動一つ一つを制限する事は出来ないだろう。ならば我らはシーランド帝国が攻撃を躊躇するくらいには強く成ればいいのだ」
グラルークスのこの言葉によってグラ・バルカス帝国は武力による直接侵略から政治的侵略行動に変更する事となった。その一環として第二文明圏との対立関係の改善やイルネティアやヒノマワリと言った国力の低い国への武力を用いない方法での影響力増大を行っていくこととなる。
更に国内では新規技術の開発に予算を回しジェットエンジンや誘導弾の開発を進めていくこととなる。他にもシーランド帝国の詳しい情報を民衆に流し絶対に敵対してはならない事などを周知させていくことになる。勿論今まで順調だったグラ・バルカス帝国がすぐに変わる事はない。しかし、それは上層部も分かっており十年後を見据えた改革として地道に、根気よく行っていくこととなる。
後に、グラ・バルカス帝国はシーランド帝国の影響力が強いムーやマギカライヒ以外の第二文明圏の国々を勢力圏内に取り込むことに成功しシーランド帝国ではかつての敵対国であるインド共和国と同じように認識して行く事となるがそれは大分先の話であると同時に一つの未来である。
a.t.s53(皇歴53年)/3/??/??:?? シーランド帝国
『打ち上げ10分前』
「漸くか……」
シーランド帝国のとある自治領に設置されたロケット発射台。そこでは異世界初の人工衛星の打ち上げが行われようとしていた。パーパルディア皇国とシパールケ共和国との戦争では衛星が使えず弾道ミサイルが使えなかったが今後はそうではない。シーランド帝国が誇る人工衛星“カボットシリーズ”は全て消失してしまったが10号、11号、12号機がそれぞれ打ち上げられる。
そんな三機のロケットを見て人工衛星担当の技術者たちは感慨深げであった。“カボットシリーズ”は12号機までであり今後は新たな人工衛星が作られる。彼らもそれらを担当する事になるが今まで製造に携わって来た彼らに取ってはとても悲しい物であった。
『3…2…1……10号機リフトオフ。続いて11号機リフトオフ』
「頼んだぞ、アリエス、ピスケス、カプリコーン」
技術者は次々と打ち上げられていくロケットを、涙を流しながら見送るのだった。彼らは他に打ち上げられる人工衛星と共にシーランド帝国の民衆に転移前と変わらぬ営みを与えると共にシーランド帝国が用いる事の出来る戦略の幅を増やしていくことになるのだった。
そろそろ閑話を挟んで次の章に行こうかな。因みに第5章はオリジナルで凍結したアルゼンチン帝国でやろうとしていたペスタル編をやろうと思っています
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了