a.t.s53(皇歴53年)/4/29/??:?? とある海域
「とうちゃん!女の人がいる!」
「はぁ?何馬鹿な事を言って……、本当じゃねぇか!しかも別嬪さん!いけねぇ!急いで引っ張れ!」
マレーシア自治領で漁業を営むとある親子はこの日空からならぬ海で女の子を見つけた。直ちに引き上げられ応急手当をすると村に戻り医者の下に運ばれる事となった。
幸い漂流物に捕まっていたおかげで疲労はあれど水を飲みこんでいなかったことから命に別状はなかった。その後、目が覚めた女性はペスタル大陸以外の土地にやってきた事を知り驚くと同時に国の上層部に合わせて欲しいと頼み込むのだった。
彼女、テチス・パン・ケアの願いは上層部に簡単に届き皇帝ライオネスの下に情報が送られるのだった。
a.t.s53(皇歴53年)/6/13/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム
「ベスタル大陸の王族か」
「いかがなさいますか?陛下」
皇帝ライオネスは下からやってきた情報に溜息をつく。第二文明圏で進めている安全保障条約の締結も残すはヒノマワリ王国とイルネティア王国を残すばかりとなったこの時期に飛び込んできた新たな火種とも言える出来事にライオネスは半ば投げやりに答える。
「本当なら見過ごせないが先ずは情報収集からだ。ペスタル大陸についての情報を急ぎ集めよ」
「かしこまりました」
ライオネスの命令に宰相は答え部屋を出ていく。一人になったライオネスは最近酷くなって来た頭の痛みを感じながら今後の展開を想定していくのだった。
a.t.s53(皇歴53年)/6/1/??:?? マレーシア自治領シンガポール
「この国は一体……」
ペルム国の王族の唯一の生き残りであるテチス・パン・チアはシンガポールの摩天楼を見て呆然と呟く。少し前に目が覚めた彼女はペスタル大陸から逃げきれたのと、ここがシーランド帝国と呼ばれる国の自治領であることを知った。彼女は多少強引だがペルム国開放の手助けをしてほしいと頼み込んだ。今はその回答が来るのを待っている状態にある。
その為彼女はシンガポールの様子を軽く見たのだが祖国を滅ぼしたアクハ帝国よりも栄えた街並みは圧巻であった。案内をしてくれた自治領の行政府の人間が言うにはシーランド帝国の帝都ロンドニウムにも劣らないらしいと聞いた時には彼女は軽く気絶しかけたほどである。
「この国は王が権力を持っているのですね……」
「その通りですがどうかしましたか?」
「いえ、何でもありません……」
ペルム国では国王は権力を持たない立憲君主制を採用している。その背景にはかつて権力を持った鏖が暴走してペルム国を滅ぼしかけた事があったからである。その為、ペルム国の民、特に王族は権力を世襲制で渡していくことを嫌っていた。特にテチスはその傾向が強くアクハ帝国がその様な政体も相まって拍車をかけていた。
シーランド帝国を
「(この国の技術力は素晴らしいですがここまで発達している以上他の国も同じような発展を遂げているのでしょう。ならばこの国を見限って他の国に援助を求めるべきでしょう……)」
ベスタル大陸はあまり他の大陸との交易を行ってはいない為外の状況が入りにくかった。その為、彼女は第三文明圏が既にシーランド帝国の勢力下にある事。シーランド帝国並みの軍事力を持つ国は存在しない事。居たとしてもプライドの高い、態々国交もない亡国の王女の求めに応じて軍を出す国など存在しない事を知らなかった。
「(この国の王が援軍を出してくれればいいのですがその際に一体どんな要求をされるのか。何せ王が力を持っている国です。どんな無理難題を吹っ掛けてきてもおかしくありません。いえ、その場合は王を誘惑していい条件を出させてもいいでしょう。自慢じゃありませんが容姿には中々自身がありますし……)」
心の中で王族とは思えない計画を立てている彼女だがシーランド帝国の皇帝が今では干からびて棺桶に片足突っ込んでいる様なお爺ちゃんである事、皇太子も仲の良かった妻を亡くしたばかりであることは知らなかった。皇帝はともかく皇太子を誘惑すれば激怒するのは間違いなしだが彼女一人で計画している為周囲で教えてくれる者はいなかった。
そんな偏見と情報不足の中で突っ走る彼女は祖国の為に扮装するのだった。
原案だと王女は普通にいい感じになるはずだったけど書いている途中で自分の中の何かが「これが良い!」とささやいてきたから急遽偏見持ちつつ突っ走るやばい感じに仕上がってしまった……。ま、まぁ。誰だって厚生は出来るし、ね?
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
-
原作での登場まで待つ
-
作者が想像して書いて
-
別のオリジナル国家とかに変更する
-
魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了