a.t.s53(皇歴53年)/7/1/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム
「……」
ライオネスはベスタル大陸の情報を見てため息をついた。クワトイネ公国、クイラ王国、フェン王国、シオス王国、アルタラス王国、
そもそもベスタル大陸はその立地に反して半鎖国的な状況にあり交易を行っていたのは北西の半島に領土を持つブリアンカ共和国ぐらいだった。その為ベスタル大陸の情勢が今どうなっているのか分からなかったのである。
しかし、アルタラス王国はこの中で一番近い位置にあるからかマシな情報は持っていた。
アルタラス王国の外交官曰く、
〇ベスタル大陸は南部に領土を持つアクハ帝国が統一戦争を始めようとしている
〇外界との接触があまりないせいでワイバーンなどの飛行能力を持つ大型生物は存在しない
〇科学技術が魔導技術より重きを置かれている
〇アクハ帝国で技術革命があった
という情報のみだったが他が最悪な状況なのでこれでも十分にありがたかった。
飛行型の大型生物がいないという事で人工衛星からの衛星写真と偵察機の高高度偵察によりベスタル大陸の情報が集められた。その結果、アクハ帝国を中心にベスタル大陸は無視できない勢力という事が判明した。
国境部には初歩的なレーダー施設らしきものが置かれており更に対空砲陣地の様な物が多数形成されている。
「アクハ帝国はワイバーンに対抗する為に同じ空で戦うのではなく撃ち落とす方向に決めたようだな」
そのほかにも船舶は19世紀末という事も判明している。歩兵の装備に関しては分からなかったが大体同じあたりだろうと推測された。
この結果をもとにすると
〇アクハ帝国はムーの完全下位互換だが新技術の開発や改良のスピードは凄まじく将来性で言えばムーを超える
〇戦争になれば多少の被害は出るかもしれないが簡単に勝利出来る
〇我が国の勢力圏付近に技術がある国が存在するのは危険である
という事になりベスタル大陸への干渉は必要という事が判明した。
「パーパルディア皇国よりは抵抗が激しそうだが……」
問題はその方法である。シーランド帝国は人工衛星の打ち上げによりGPSを使えるようになった。弾道ミサイルの発射が可能となった今態々歩兵を投入する必要はないがそれはそれで味気ないと考えていた。
「弾道ミサイルによる敵陣地の破壊後、間髪入れずに強襲上陸をするか?」
シーランド帝国が数年にわたり行ったクウェート侵攻の様な無茶は出来ないしやる必要もない。ライオネスはアクハ帝国の早急な侵攻を決め軍部に計画を練らせるのだった。
a.t.s53(皇歴53年)/5/19/??:?? ジュラ共和国首都アモナイト
「馬鹿な……」
ジュラ共和国首相は上空で起こっている事が理解できなかった。
ペルム国を滅ぼしデボン国を従属させたアクハ帝国はペルムとデボンの掌握を追えるとすぐに侵攻を開始した。ジュラ共和国は同じくアクハ帝国と敵対するルシル王国と同盟を結び対アクハ帝国共同戦線を結成し徹底抗戦に出た。しかし、奇襲を仕掛け領土内に侵攻したルシル王国とは違いジュラ共和国は敗戦に次ぐ敗戦を繰り返していた。
アクハ帝国の装填から発射まで異様に早い
しかし、ジュラ共和国には秘策があった。それは20頭のワイバーンである。とある国から国家が傾きかけるほどの金額で買い取ったこれらを用いてジュラ共和国はペスタル大陸で唯一且つ初めての飛行部隊の設立に成功していた。それらを今まさに行われている首都アモナイト攻防戦に投入したのだが……
「全滅など……」
空から攻撃を始めたワイバーンに地上より銃弾の嵐が襲い掛かりワイバーンは避ける事も出来ずに全騎が撃ち落とされていた。他にも槍上の何かが高速で上空に飛び、爆発を起こす兵器なども用いられておりワイバーンに次々と突き刺さっていったのである。
アモナイトは郊外は完全に占領され敵の
「首都はもう持たない。急ぎ避難するぞ!」
ワイバーン部隊による攻撃を見届けようと首都に留まっていた首相はそう宣言するとその場を離れようとした。しかし、そこにワイバーンを討ち取った鉄の槍が突き刺さり爆発を起こした。ほぼ爆心地にいた首相達は爆死しジュラ共和国軍は指揮系統を失い混乱するのだった。
「敵行政府に命中5!至近2!それ以外は全て外れました!」
「やはり命中精度はそこまで良くないか……」
アクハ帝国軍の野砲部隊を率いるトリケラスは観測班からの報告にそう呟いた。彼は新兵器である火槍と呼ばれている兵器のテストを兼ねた攻撃を行っていた。火槍とはシーランド帝国における初歩的なロケット弾であり野砲を超える距離を攻撃でいるとして注目されていた。しかし、ミサイルのような誘導弾ではない為命中率は野砲以下というものだったが対空攻撃や敵陣地への攻撃は一定の効果を上げていた。
「既に市街地戦となっている以上砲撃は邪魔か……。今後は支援砲撃の要請があった場合のみ砲撃を行う」
「はっ!」
部下に指示を出したトリケラスは懐から煙草を取り出すと吸い始めた。煙を吐くと同時に黒煙を上げているアモナイトを見る。
「敵の虎の子の飛竜は潰した。ギリギリだったが全騎撃墜できて安心した。後はルシル王国のみだな」
トリケラスは後は消化試合の様なものと思いながら煙草を吸うのだった。
約一時間後、アモナイト守備隊は降伏。首相以下大半の支配者層が死んだ事でジュラ共和国は分裂状態に陥りアクハ帝国軍によって各個撃破されていくことになった。
2日後、アクハ帝国領に侵攻していたルシル王国軍が生存者一割を残し全滅した事で対アクハ帝国共同戦線は瓦解した。5月30日にジュラ共和国最後の都市が陥落し事実上の滅亡。6月4日にルシル王国王都リグーニンの陥落と同時にルシル王国は降伏した。
残った国々はまだあるがデボン国とトスリア公国はアクハ帝国に従属しておりブリアンカ共和国が中立を掲げつつも不可侵条約と同盟を結んでいる為敵対国は既に存在していなかった。
「セイダイケンは我らによって統一された!我らの英霊となった初代皇帝の悲願はかなえられたのである!」
6月20日に開かれた統一記念祭にて皇帝ペリアシアン帝は力強く宣言した。トスリア公国はアクハ帝国の経済に完全に依存しており近いうちに併合される事が決まっていた。デボンもアクハ帝国の要求を断る事は不可能でありブリアンカ共和国は外との交易をしなければアクハ帝国の経済に飲み込まれる事は必然だった。
ペリアシアン帝は近い将来
アクハ帝国について軽く説明
大陸統一を目指す帝政国家。初代皇帝の代から大陸統一を目指していた。
ムーと同じ純粋な科学技術を発展させてきた国(他は魔導技術極振り)。数年前から十数年前に技術革命が起こり地球で言うところの18世紀ほどの技術力から19世紀末まで一気に飛躍した。
その結果、
歩兵銃はボルトアクション小銃に。機関銃や野砲は洗練された。初歩的ながらレーダーの技術も確立、運用されている(地球だとレーダーの運用は1930年代より)。自分たちが持たないワイバーンなどの大型飛行生物を警戒して対空砲の開発と研究、生産が一番盛んに行われている。残念ながら飛行機は概念すら生まれなかった。因みに戦車も同じく概念すらない
海軍は日清戦争辺りの技術。艦の大型化は周囲がそこまで強くなかった(ペスタル大陸では)為されなかった。
勿論対空機銃や対空砲は艦に見合わない程充実している。
というように完全にムーの下位互換ながらここまでの技術を十数年で発展、運用、生産しているというシーランド帝国からすれば非常に危険な国となった。
【挿絵表示】
ペルム国滅亡前のベスタル大陸の様子
【挿絵表示】
ジュラ共和国首都アモナイト攻防戦開始前の戦況。
紫線:アクハ帝国の前線
橙線:対アクハ帝国共同戦線の前線
軽く触れたクウェート侵攻についての(どうでもいい)説明
シーランド帝国がクウェートに侵攻中に
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了