a.t.s53(皇歴53年)/7/9/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム
「我々アクハ帝国はあなた方がベスタルと呼ぶ大陸を統一しました。とは言っても不可侵条約と従属させた国が残っていますが“我々と敵対する国”は完全になくなりました」
「ほう、それは良かったではないか」
ライオネスはテュラノスの言葉に賛同するように返答する。ベスタル大陸について調べ始めた時点で統一は目前だったが予想外にも手早く統一した事は心の中で評価していた。そして、彼らが“ベスタル大陸”と言っている事から大陸外の事についてもきちんと調べ上げているという事に他ならなかった。
「(態度もかなり良い。内心ではどう思っているのか知らんが少なくとも表面上はこちらを敬っている。我らについてどこまで知っているのか分からないが実力を持ったこの世界の国にしては好感が持てる)」
シパールケ共和国の使者との謁見では怒り狂いそうになるほど酷かったがこちらは今のところは、とつくが好感が持てていた。
「そして、我らは大陸内が落ち着いた事で外との交流を持とうと思いこうして外交官を派遣しているわけです」
「何故態々我が国に? 他にも国はたくさんあろう」
「ええ。ですが、ベスタル大陸より東側は貴国、シーランド帝国の勢力圏となっていると確認しましたのでこうして挨拶に来たわけです」
「事前の情報収取もばっちりか。貴国とは良い関係が築けそうだ」
「それは良かったです」
ふと、ライオネスはテュラノスの方で震えているテチスが目に入った。顔は青を通り越して白に近い状態になっており体を震わしていた。自分の悲観的な運命を悟っているのだろう。
「(確かに今の会話を聞けばそうなるだろう……)」
ライオネスは心の中で苦笑する。既に、アクハ帝国を潰す事はシーランド帝国では決定している。現在の技術力はともかく今後の発展具合はムーを超える可能性がある。自国の勢力圏の近くにその様な国が誕生するのは避けたかった。
ライオネスは少し残念に思いながらテュラノスに話しかける。
「貴国との交流は好ましいものになるだろう」
「! なあ「だが」」
「残念ながら貴国とは国交を結ぶことは出来ない」
「……理由を伺っても?」
「簡単だ。貴国の技術力は我らにとって危険と判断した。今まで築き上げた機械文明と技術を全て放棄するという事なら貴国との交流も出来るが……」
「それは無理なご相談ですな」
テュラノスは険しい表情だが努めて冷静に会話を続ける。そこにテチスに向けたような蔑む感情は見受けられない。ただ、強大な敵に立ち向かう兵士の様な感情が出ていた。
それを見たライオネスは軽く笑みを浮かべた。
「我が国の実力をある程度は分かっているようだな」
「勿論です。貴国が途方もない力を持っているのは調べました。ですが、我々とてただで負けるつもりはありませんし勝つ気でもいます。この事は本国に持ち帰らせていただきます」
「勿論だ。貴殿がベスタル大陸に戻るまで……凡そ数日と判断し7月15日をもって宣戦布告する。よろしいな?」
「ええ、その時は我らも貴国を滅ぼす気でかからせてもらいますよ」
そう言うとテュラノスは踵を返して扉に向かう。途中、何が起こっているのか分からないテチスにそっと話しかけた。
「テチス・パン・ケア。貴殿は恵まれていると同時に哀れな存在だな」
「それはどういう……」
テチスが聞き返そうとするがテュラノスは開け放たれた扉より謁見の間を出てしまう。彼が出てすぐに扉は閉められシーランド帝国の者以外はテチスのみがいる状態となった。
「さて、テチス・パン・ケアよ」
「っ!?」
「大体察しているが、何のようだ?」
ライオネスは先ほどとは違い威圧感を出しながらテチスに問いかける。真っ向から圧を受けたテチスは先ほどと同じように顔を青くするが直ぐに覚悟を決めた表情で言った。
「祖国を、我が祖国を取り戻す手伝いをしていただきたい」
「我が国のメリットは?」
「それは……」
テチスはここに来るまでにシーランド帝国のメリットを考えてきた。しかし、態々手を貸してまで渡せるものはペルム国にはない。魔導技術も、資源も、財産もそして人さえも、彼らにとっては“無いよりはマシ”程度だ。だが、先程のテュラノスとのやり取りがテチスに僅かな希望を与えていた。
「もし、アクハ帝国と戦争する際は私を使ってくれて構いません」
「ふむ、それだけでは伝わらないぞ」
「私はテチス・パン・ケア。アクハ帝国に滅ぼされたペルム国の王女です。私を保護し、ペルム国奪還という“大義名分”を掲げれば貴国は戦後処理やその後の統治を楽に行えると思います」
「一理あるな。“ペルム国を不当にも滅ぼし占領するアクハ帝国に鉄槌を降す”とでも言えば反対は出て来ないだろう。我が国の統治に不満を抱く者も主だっては批判はできなくなる。が、我らは大義名分などなくとも戦争を行い領土を広げてきた。今更何が変わるというのだ?」
「……貴国は転移国家であると聞きました。そして、貴国がこれまでに行った戦争は大きく分けて二つ。ロウリア王国という国とパーパルディア皇国に対してです。両方とも大なり小なり大義名分があります」
ロウリア王国の場合は“国交を結んだクワトイネ公国を救うため”。
パーパルディア皇国の場合は“殺された皇太子妃の弔い合戦”。
意図してこのようにしたわけではないが結果的にこのような大義名分がついていた。
「つまり、この世界の人にとってシーランド帝国は“大義名分がある場合は戦争を起こす”と思われていても可笑しくありません。そして何より、大義名分を用いずに戦争を行えば国としての信用は地に落ちます」
「……」
テチスにとっては唯一キレるカード。だが、その効果は絶大でありシーランド帝国を納得させるだけの力があった。少なくとも宰相は納得している様で何か考えている様子だった。
テチスは恐る恐るライオネスの方を見る。瞬間、彼女の表情は一気に真っ青になる。今まで感じた事の無い寒気と嫌悪感が襲ってきたのである。
その様な感情を感じているテチスにライオネスは一言だけ言った。
「却下だ」
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了