シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第七話「ロウリア王国の終焉・3」

a.t.s52(皇歴52年)/2/18/13:09/シーランド帝国本土ブリテン島

「陛下。クワトイネ公国のギムにいる皇太子殿下より連絡がありました。なんでもロウリア王国の使者が来ているとの事です」

「ほう?彼の国の使者とな?」

 

宰相の言葉にライオネスは面白げに聞き返す。丁度良い事にライオネスはロウリア王国への本格侵攻の許可を出そうとしていたところであった。あと一時間報告が遅ければ降伏は認められずに全土がシーランド帝国に破壊され自治領として惨めな最期を迎えることになっていただろう。

 

「内容はなんだ?」

「それが、何でも降伏の使者らしく……」

「降伏だと?そんなもの認めるわけがなかろう」

 

ライオネスは不快そうにそう言った。ロウリア王国を徹底的に叩き潰すのは予てから決められていたことで今更変更する気などなかった。ロウリア王国の影響を完全に消してその後の統治をより良く行うためには現政権の人間を殺す必要があった。しかし、戦死では意味はなくロウリア王国の民の前で公開処刑してこそ反抗する意志をくじけるとライオネスは信じている。実際シーランド帝国の自治領で起きているレジスタンス活動は小規模なものばかりで精々が嫌がらせ程度のものであった。それでも自治領指導者(自治領を統治しているトップ)が殺されたり軍事物資の強奪などと言った無視できな出来事も起きてはいた。

 

「愚息に伝えよ。ロウリア王国の使者を殺し軍勢を率いて侵攻せよ、とな第一艦隊は引き続き沿岸部の掃討だ」

「かしこまりました。それと他国への使者はどうしますか?」

「ふむ、そうだな……。クワトイネ公国の話ではパーパルディア皇国?だったかを除けば何処も同じような文明なのだろう?」

「はい。神星ミリシアル帝国が代表を務める第一文明圏、ムーが代表を務める第二文明圏はともかくパーパルディア皇国が盟主となっている第三文明圏はせいぜいが17世紀ほどの技術、文明となっています。現在打ち上げが急ピッチで進められている各種衛星からの情報が加われば更なる情報を獲得できると思われますが……」

「今はそれだけ分かればそれでよい。少なくとも同じ転移国家でも現れない限り我が国の周辺は雑魚しかいないのであろう?」

「その通りでございます」

 

宰相の言葉にライオネスは不敵に笑う。

 

「ならば単純だ。ロウリア王国を攻撃中の第一艦隊、我が国の制海権を現在哨戒、防衛している第二、第三艦隊を除いた第四、第五、第六艦隊を連れて各国に向かえばいい」

「砲艦外交ですか。この世界独特のワイバーンが気になりますが第一艦隊の戦闘記録を見るに十分対処可能ですな。それで?最初の国は何処にしますか?」

「我が国の北部に位置するこの環状の島とパーパルディア皇国が存在するフィルアデス大陸に近いこの島、そしてロデニウス大陸とフィルアデス大陸の間にあるこの島だな」

 

ライオネスが差したのはカルアミーク王国、フェン王国、ガハラ神国、シオス王国がある場所である。ロデニウス大陸を除けばシーランド帝国に最も近い位置にありここを実効支配ないしこちら側に引き込めば本土及び自治領の安全は確保されると言っても良かった。

 

「まずは艦隊を連れ外交を行え。外交中は適当に空砲でも撃ってビビらせればいい。もし攻撃してくるようなら容赦なく滅ぼし自治領なり直轄領なりにして統治すればいいだけだからな」

「分かりました。すぐに手配します」

 

宰相は早速実行に移すために執務室を出る。ロウリア王国の降伏はあっけなく握りつぶされつつシーランド帝国はこの世界で領土を広げるべく新たな行動を取るのであった。

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/2/18/14:24/ギム

「殿下、陛下より返答が来ました。『ロウリア王国の降伏は認められない。今すぐに使者を殺しロウリア王国に侵攻せよ』との事です」

「馬鹿な……!」

 

ウィリアムはその返答に驚いた。あの父なら降伏を認めないことは薄々分かっていたが使者を殺し侵攻せよとまで言ってくるとは思っていなかった。

 

「それは事実なのか?これでは、我が国は野蛮と取られても可笑しくないぞ!」

「ですが陛下の命令に逆らう訳には……」

「殿下と言えどこれ以上の反抗は処罰される可能性があります」

「くっ……!」

 

自分の思うように行動することができない。その事実がウィリアムを苦しめる。次期皇帝と言われていても所詮今はただの皇太子でしかない。一部の政治を任されているとは言え最終決定権は皇帝であるライオネスが握っているのだ。ウィリアムは初めて父を呪い無力な自分を呪った。

 

「……使者は私が相手をする。せめて、愚かな皇帝の息子として、責任は負う」

「殿下……」

 

悲痛そうなウィリアムの姿にその場の誰もが書ける言葉が思いつかなかった。しかし、皇帝の命に逆らえない彼らはすぐに準備に取り掛かる。せめてロウリア王国の民が少しでも生き残れるように。軍人たちは心の中でロウリア王国に同情し、謝罪をするのであった。

 

 

 

a.t.s52(皇歴52年)/2/18/19:24

ギムより10師団(15万人)のシーランド帝国軍がロウリア王国に侵攻を開始した。

 

a.t.s52(皇歴52年)/2/19/8:56

各都市に第一艦隊より発艦した艦載機が襲い掛かり住民たちを虐殺していく。更に第一艦隊が沿岸部を、ウィリアム率いる軍勢が内部より攻撃を開始する。この日だけで十万以上の民が犠牲となった。

そしてこれらは全都市の攻撃が完了するまで続きロウリア王国の滅亡と全土占領が皇帝ライオネスより発表されたのはa.t.s52(皇歴52年)/2/22/13:10の事であった。

総人口約3800万人のうち把握できた人数だけで500万人が死亡した。更に行方不明者や把握できていないおおよその数だけで1000万人近くが死亡したと予測された。

ロウリア王国の王城にいたハーク・ロウリア34世以下王国の主要幹部はブリテン島に運ばれ処刑された。こうしてライオネスの腕試し目的で始まったロウリア王国侵攻は一方的な虐殺という形で幕を閉じることとなった。

 




シーランド帝国の領土
シーランド帝国は北アメリカを除くすべてに領土を持っている。
ブリテン島、アイルランド島を始めガイアナ、スリナム、ナイジェリア、南アフリカ、ビルマ、マレーシアと広大な領土を持っていた。しかし、その分かつての大英帝国の様に統治に相当な手間を要するがシーランド帝国では領土を保有する上での醍醐味と考えられている。
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