第七十一話「戦間期5-1」
a.t.s53(皇歴53年)/9 /14/??:?? 神聖ミリシアル帝国
世界最強と自負する第一文明圏の盟主、神聖ミリシアル帝国はこの日漸く第三文明圏に関する情報を正確に入手した。第三文明圏とは言いつつも自分たちからすれば格下の格下である事から軽視していたのが原因だった。
パーパルディア皇国は跡形もなくなくなり、祖を共にするシパールケ共和国もハイエナ的行動を行ったせいで巻き添えを喰らった。その広大な領土は二つの副王国と直轄領以外はフィルアデス連邦として統合された。残った第三文明圏の国家も軒並みシーランド帝国の配下に降り、第三文明圏はシーランド帝国を盟主とする大勢力圏へと姿を変えていた。
一応情報局のアルネウスが情報を集めていたものの、詳しい情報を得るころにはパーパルディア皇国は滅亡していたのである。結果的に神聖ミリシアル帝国はパーパルディア皇国の後釜として先進11ヶ国会議への参加を要請するついでに使節団を派遣することを決定した。
「彼の国はグラ・バルカス帝国と同様に侵略行為を行っている。……上手く交渉が行う事が出来ればいいのだが……」
神聖ミリシアル帝国の皇帝ミリシアル8世はシーランド帝国に警戒を示していたが結果的には神聖ミリシアル帝国使節団の受け入れは歓迎された。シーランド帝国と言えどここまで戦争続きであったためそろそろ国際的調和を取るべきだろうという意見が出てきており、神聖ミリシアル帝国の提案は渡りに船と言えた。
神聖ミリシアル帝国は直ぐに各技術者や武官から使節団としてシーランド帝国に向かう人選を選ぶ事となる。
a.t.s53(皇歴53年)/9 /16/??:?? シーランド帝国某所
犯罪者としてシーランド帝国の収容所に入れられたレミールは最後の時を迎えようとしていた。収容から2か月以上、レミールは遂に処刑日を迎えたのである。ここまでの期間で様々な暴力、凌辱、辱めを受けた彼女の体はボロボロであり元は美しかった容姿はまるで幽霊の如く青白く、生気がなくなっていた。体もちょっとした力で折れそうな程細くなっており、今も処刑台に向かって歩く彼女はフラフラとおぼつかない足取りをしていた。
「……」
「おい。さっさと歩け!」
少しでも遅れようものなら四方を取り囲む軍人たちに暴力を振るわれる。それでも言う事を聞かなければ首に繋がれた鎖を引っ張られ無理やり引きずられる。そうやって長い道のりを進んだ先には自らの命を終わらせる一本のロープに厳しい表情を浮かべるウィリアムの姿があった。
「皇太子殿下! 犯罪者レミールを連れてきました!」
「ああ、ご苦労。早速だが取り掛かってくれ」
「はっ!」
ウィリアムの命令の下レミールに付けられた首輪は外され、代わりにロープが括りつけられる。そしてそのロープの真下に移動させられたレミールにウィリアムは話しかけた。
「いよいよお前の最後だ。……これでグィネヴィアを失った事に対する怒りが消える訳ではない。だが、これ以上は衰弱死しかねない状況だからな。勝手に死なれるよりは処刑する事にした」
「……」
「何か最後に言っておくことはあるか? 我が国最悪の犯罪者の最後の言葉だ。しっかりと聞いてやろう」
「……」
レミールは答えない。ただただ足元を見ているだけだ。ウィリアムはその様子に眉を顰めるがため息をつくとその場を離れていく。それと同時にブザー音が響き渡り軍人たちが部屋を退出すると扉が閉じ、処刑台のある部屋にはレミールだけが残される。
「……ふ」
ふと、レミールは乾いた笑いを上げる。死の直前という事が分かった為か、彼女の口からは狂ったような笑い声が漏れる。
「はは、ハハハハハハハ! アハハハハハハハハハギィッ!」
そしてそんな彼女を殺すために無慈悲にも足元の床が抜け落ちる。重力に従い彼女の体は落下するがそれは彼女の首のロープによって途中で止るが首には強烈な負荷がかかる。彼女の細い首をへし折り、僅かな激痛と共にレミールを殺すには充分だったがそんな彼女を確実に殺さんとばかりに側面より火炎放射が放たれる。
強烈な炎によって彼女の体は燃えカスとなっていき、地面へと崩れ落ちていく。地面にはベルトコンベアが通っており、それらは屋外のごみ処理施設に通じている。シーランド帝国におけるもっとも厳しい処刑方法であり、これが執行された者は亡骸すら残す事が出来ずにゴミに交じって捨てられるのである。
「……」
体全体が燃えた事でバラバラに焼け落ちていくレミールの死体を眺めるウィリアムの表情は複雑な顔となっていた。最愛の妻を殺した相手をそれ以上に痛めつけて殺したが胸のモヤモヤは消える事はなかった。むしろただただ空しいという気持ちだけが広がっていく。
「グィネヴィア……。俺はどうすればいいんだろうな……」
ウィリアムは天を見上げながらつぶやくが、その言葉に対する答えは当然返ってこない。それでも問わずにはいられなかった。ウィリアムは今後、グィネヴィアを失った悲しみを抱えながら皇太子としての職務を果たす事になるが優しい性格をしていた彼は父ライオネスのように敵対者には苛烈になっていく事になる。そして、そんな苛烈さを世界に知らしめるのはすぐそこにまで近づいてきていた。
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了