シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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お待たせしました。4巻がどれだけ探してもなかったので勿体ないですけど購入してきました。これで今後の展開も書きやすくなった……筈。


第6章【新たな世代】
第七十五話「混乱」


a.t.s53(皇歴53年)/11 /19/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム

 この日キャメロット城を一言で表すのなら阿鼻叫喚と言う言葉がふさわしかった。使用人は悲鳴を上げ、騒ぎだし、大慌てで城中を駆け回っている。本来なら注意をするべき立場のメイド長、執事長も似たような状況故に混乱が収まる気配はない。

 それもそのはずだろう。朝ライオネスの様子を確認しに来た使用人が冷たくなった本人の姿を見たのだから。そこからはハチの巣をつついたような大騒ぎとなったのである。皇帝の死という衝撃的な情報はあっという間に城中に伝播していた。このままでは城外に広がるのも時間の問題だろう。

 

「落ち着け!」

 

 それを抑えられるものは皇族を置いて他にいない。それも皇太子であるウィリアムなら適任と言えた。大混乱に陥っていたキャメロット城は彼の一言で冷静さを取り戻した。

 

「まずは叔父上たちに説明を! それと詳しい説明は私がするがそれまでは関係者以外に漏らすな! 数日以内に正式な発表を行い、戴冠を行うぞ」

 

 戴冠。それは次の皇帝が決まるという事であり、それが出来るのはウィリアムを置いて他にいない。しかし、実の父が亡くなったにも関わらず淡々と指示を出していくウィリアムの姿は皇帝らしいと思わせると同時に何処か人ではないような印象を周囲に与える事となっていた。

 

「外務省にはシーランド帝国皇帝の代替わりを通達しろ。それとこの機に乗じて反乱を起こす自治領も発生する可能性がある。その為軍務省には暫くは各自治領の引き締めを行えと伝えろ」

「は、はっ!」

 

 次々と命令を出していくウィリアムに促されるように使用人たちは迅速に動いていく。キャメロット城は非常事態と言う事で慌ただしく動いているがそれでも混乱で命令が行き届かない、なんてことには陥らなかった。ウィリアムの迅速な対応と指示により皇帝ライオネスの死は迅速に、だが秘密裏に各行政機関、自治領府に通達されていく。それと同時に新皇帝としてウィリアムの戴冠の準備も始まり、代替わりの混乱を最小限で乗り切っていく事になる。

 そして翌週の11月23日、皇太子ウィリアムから皇帝ライオネスの死とそれに伴い自らが三代目皇帝として戴冠する事が発表された。ウィリアムの根回しによって国内での混乱は最小限に抑えられ、ウィリアムが戴冠する事が決定された12月25日のクリスマスの祝日までシーランド帝国では通常運転と変わらない程混乱なく乗り切る事に成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 シーランド帝国は混乱を最小限で抑えられたが、それに伴う国際社会への影響も最小限であったかと言われれば否と答えるほかない。

 まず、東方世界においてはアルタラス王国の女王ルミエスの夫アーロンは叔父の死に衝撃を受けており、暫くの間凡ミスを連発する事になった。フィルアデス連邦では少なくない独立派の反乱が発生し、シーランド帝国駐留軍はその対応に追われる事になる。

 それ以外の国々でも代替わりを迎える事でこれまでの関係が崩れるのではないかと懸念する国も多かった。特に距離が近いクワトイネ公国やフェン王国はその懸念が強かったがシーランド帝国の動きを見て胸をなでおろしている。少なくとも自分たちと敵対するような事にはなっていないと。

 しかし、東方世界ではこの程度の影響で済んでいたが遥か西、第二文明圏はそうもいかなかった。何しろこの皇帝の死を見て大きな動きを見せた国が存在したのだから。

 

「今こそ第二文明圏を我らの手に!」

 

 グラ・バルカス帝国ではそう主張する軍人や国民が多く存在した。その声は日に日に大きくなってきており、帝国も軍を動員するなどして対応に当たっているものの焼け石に水だった。むしろそうやって鎮圧しようとすればするほど声は大きくなっていった。

 

「馬鹿な……! 国民はシーランド帝国の実力を知らないのか!?」

 

 グラ・バルカス帝国の皇帝グラルークスは無謀とも言える行動を取れと叫ぶ国民と軍部に思わずそう叫んでしまうがシーランド帝国の実力をはっきりと理解できている者が少ない故の結果でもあった。シーランド帝国は自身の目で見ない限りその全貌を把握する事はこの世界やグラ・バルカス帝国には難しかった。

 とは言えグラルークスもグラ・バルカス帝国が勢力を一気に拡大できる最後の機会でもあろうと理解していた。シーランド帝国が今後も代替わりで混乱すれば可能性はあるが皇帝に即位したウィリアムは20代の若者だ。彼が皇帝位を譲るのは速くても30年、最大でその倍はかかるだろう。その間にグラ・バルカス帝国を取り巻く周囲の状況は更に悪化している可能性が高く、地理的状況故にあまり手が伸びていない第二文明圏を自らの勢力下に置くには今動くしかない。

 とは言えシーランド帝国の実力を把握出来ている者からすれば命を賭けてでも止めるべきかもしれないが不幸にも今のグラ・バルカス帝国にシーランド帝国の実力をきちんと出来ている者は上層部にはいなかった。情報局員のナグアノを始め末端の中にはどれだけの技術力を有しているのか理解している者はいても彼らの報告がきちんとした形で上層部に届く事はなく、結果としてグラ・バルカス帝国は未だに“シーランド帝国は技術面で上回っている国”としか分かっていなかった。

 

「我らグラ・バルカス帝国の力を見せつけよ!」

 

 そして更にグラ・バルカス帝国の不運は続く。皇太子グラ・カバルが国民たちに同調したのである。これにより皇太子と言う心強い味方を手に入れた過激派と呼ばれるようになる大半の国民と半数近い軍人たちがグラ・バルカス帝国で強い影響力を持つようになっていく。そしてそれらの力が暴走するのも時間の問題であった。

 

 9月23日、グラ・カバルを首班とする軍事クーデターが発生。グラルークスを始め一部の上層部の人間は捕縛された。グラルークスは強制的に退位させられ、大多数の国民と軍部の指示のもとグラ・カバルが戴冠する事となった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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