シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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今気づいたけど先進11ヶ国会議って中央歴1642年なんですね。1641年だと思ってました。ライオネス殺すの早すぎた……


第七十六話「老人の決断」

a.t.s54(皇歴54年)/1 /22/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム

 前皇帝ライオネスの急死とそれに伴う元皇太子ウィリアムの戴冠と言う一連の流れを無事にこなしたシーランド帝国は漸く落ち着きを取り戻していた。とは言えそれでも代替わりをしたことで行わなくてはならない仕事も発生しており、暫くは何処の者達もそれらに忙殺される事だろう。皇帝となったウィリアムがそれを一番感じているのだから。

 この世界に転移してからはライオネスの政務の一部を手伝っていた彼だがいきなり全ての政務を捌く事は出来ない。後半年ほどは政務を全て期限内に裁く事に慣れなければいけない。

 

「陛下、アブロシウス様との会談の時間です」

「もうその時間か? 分かった。直ぐに行こう」

 

 この日、ウィリアムは叔父にあたるアブロシウスから面会を求められていた。妹や息子を除けば皇位継承権最上級に位置するこの者の訪問はウィリアムを始め帝国上層部を警戒させるには充分だったがただただ面会を求めている以上受けない訳にもいかない。

 

「叔父上、話とは?」

 

 ウィリアムは余計な儀礼を全て取っ払い、用件だけを簡潔に聞く。アブロシウスがどのような目的で訪れたのか分からない以上本音で話し合うのが一番効率がいいと判断しての対応だった。

 

「何、今は亡き兄上からの頼みごとを果たしに来たまでですよ」

「父上の? 一体何を……」

「もし自らが急に倒れるような事があった際には息子の為に犠牲になってくれとな」

「何?」

 

 思わぬ言葉にウィリアムは目を丸くする。皇帝ライオネスがアブロシウスに生前頼んでいた内容はあまりにも予想外と言えるものだった。

 

「わしとてもう長くはない。最近ではここから(自治領ウェールズ)まで行き来する事だけで体調を崩すようになってしまった。いずれ町を出る事も叶わないようになるだろう」

「……そんな叔父上が一体何の犠牲になるというのです?」

「簡単な話だ。わしとお主はこの会談において仲たがいをする。理由は簡単だ。老いを理由にお主はわしから残っている権力を取り上げようとしたがそれにわしが反発するというものじゃ」

「……それで一体何が起こる、と……」

 

 怪訝そうな表情をするウィリアムだがその意味をよくよく考えて目を見開いた。この状況でウィリアムと仲たがいを起せば反帝国系の不穏分子が集まって来る可能性がある。中には実力に伴わない権力を得たい愚か者もいるだろう。そういったものを集めて自分ごと葬れというのだ。

 

「収容所の()()()も可能性はあるだろう。何しろ本人の自我は無いに等しいがその血筋は本物だからの。とは言え収容所から助け出すという工程を挟まないわしの方に多くが流れてくるはずじゃ。何しろわしは前科があるからの」

 

 アブロシウスの野心は国内外で有名だ。一度は本気でクーデターすら辞さない所まで言っていただけに今回も本当の事だとほとんどの者が思うだろう。

 

「……彼女は私が皇帝に即位したのなら釈放するつもりでした。本来、この地は彼女のものであり、我らがそれを奪ったのです。それに、親を捌く必要はあれど子に罪はありません」

「……そうか」

 

 硬い意思を感じさせる表情で言い切るウィリアムにアブロシウスはまだまだ若いなと感じつつも皇太子妃を失い、優しさが消え去った彼が見せるやさしさに何処か安堵する気持ちもあった。

 

「(ただただ苛烈では兄上の様に多くの敵を作ってしまう。半世紀に渡りこの帝国を統治するであろう甥には少しばかり酷だからの)とにかく、これはわしと兄上がずっと決めていた事じゃ。迷惑はかけん。頃合いを見て息子たちに密告させる」

「密告ですか」

「罰せられるのはわしだけで良いだろう。それに密告とは言え一族から反逆者を出すのだ。本家の力を強めるには絶好の機会だろう?」

 

 ライオネスを宗家とし、シーランド帝国の皇族は3つの分家が存在する。一つはほぼ他者に嫁いで影響力は低いが皇位継承権上位者で占められるアブロシウスのアレン家、一族が最も多いフェニックス家等が存在する。いくら彼ら彼女らに皇位を簒奪する気が無くても高い権力を有している現状では周囲にどう思われるのか分からない。それゆえの対応策でもあった。

 

「これはシーランド帝国が今後も反映する為に必要な事じゃ。反対とは言わせんからの?」

「……分かっています。叔父上の決断、大変ありがたく思っています。必ず不穏分子は一掃し、アレン家はこれからも皇族の一員として行けるようにすると約束します」

「それだけ聞ければ問題ない。若き皇帝のお手並み拝見とさせてもらおう」

 

 この会談から数カ月後、グラ・バルカス帝国でクーデターが発生する直前の9月21日に皇帝ウィリアムはアレン家の密告によりアブロシウスのクーデター計画を発見した。それによりアブロシウス以下主要メンバーから末端に至るまでを摘発した。アブロシウスは捕縛時に抵抗を見せたため即射殺され、他のメンバーも少しでも抵抗すれば射殺されていった。

 更に、カーディフ湾に浮かぶシーランド帝国特別収容所に収監されているとある王女を助け出そうと襲撃をしてきた旧連合王国派の人間を返り討ちにするとそのお返しとばかりに彼らのアジトを襲撃した。そして、この襲撃があったからではないが王女は罪はないと判断され釈放され、スコットランドで余生を過ごす事になる。

 この一連の動きによりブリテン島の不穏分子及び反乱勢力は全て駆逐され、ウィリアムの権力は盤石な物となった。未だ自治領では不穏な動きがみられる事はあるがシーランド帝国の安定度は過去最大の数値をたたき出す事となる。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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