シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第七十八話「先進11ヶ国会議1~シーランド帝国の入港~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /22/??:?? 神聖ミリシアル帝国カルトアルパス港

 2年に1度開催される先進11ヶ国会議は必ずと言っていい程カルトアルパス港が選ばれる。これは決してこの世界で最強と言われている神聖ミリシアル帝国の重要拠点だからではなく、11もの国家の船を収容するのに適している港が他に存在しないからである。しかし、流石のカルトアルパス港でも11の国家の船団が集まれば何時もは広く感じる港も手狭に感じてくる。

 ここの湾港管理責任者であるブロントはこの会議の参加国がどのような船で訪れるのか2年に1度の楽しみとしていた。とは言え2年程度で大きく変わっている国などなく、固定参加国の船はもうすでに見飽きていた。

 それ故に、今回初参加となるグラ・バルカス帝国とシーランド帝国の船を楽しみにしていた。この湾港都市には帝都すら超える程の情報が集まって来る。それらを精査すれば両国ともにけた外れの力を持っている事など簡単にわかる。流石に実物を見ない限り正確な事は言えないが少なくともムーを超え、自国にすら匹敵する力を持っていると考えていた。

 

「おお、なんと……!」

 

 そして、ブロントの期待に応えるように最初に現れたのはグラ・バルカス帝国が誇る戦艦グレートアトラスターだった。全長250を超える巨体は周囲の文明圏の船が玩具に見える程異様で、存在感を放っていた。

 

『ぶ、ブロント局長……!』

「ん? どうした?」

『シーランド帝国の()()が到着、しました……』

「そうか。ならば第三文明圏の『それが……』どうした? はっきりと話せ」

 

 どこか言い辛そうに、信じられないと感じさせる声色にブロントは急かすがやがてその意味を理解する。部下からの報告より先にシーランド帝国の船と思われる艦隊が姿を現したがそれらはグレートアトラスターを超えていた。

 

キング・オブ・ライオネス級原子力航空母艦5隻

クイーン・グィネヴィア級航空母艦5隻

リヴァプール級巡洋艦11隻

D4級イージス艦8隻

D5級イージス艦14隻

 

 20万トンを誇るシーランド帝国の象徴であるキング・オブ・ライオネス級原子力空母を始めとして最新鋭艦で構成されるシーランド帝国最強の第一艦隊の姿がそこにはあった。250を超えるグレートアトラスターの船体も約400m近いキング・オブ・ライオネス級の前には巡洋艦にすら思えてくる。

 この艦隊にはブロントも開いた口が塞がらなかった。そして同時にシーランド帝国が何故これほどの艦隊を持ってきたのかその意味を図りかねていた。何しろこの会議は国際会議の場である。決して戦争をするための会議ではない為護衛として連れてくる艦隊も小規模にとどめて居た。にも拘わらずシーランド帝国がこれほどの艦隊を用いて来た意味。

 

「……見せつける為か。自らの実力を」

 

 それ以外に考えられない。他の考えとしては不気味な程静寂を保つイルネティア王国侵攻に対する報復かもしれないがそれよりは自らの武を世界各国に知らしめる意味の方がしっくりと来る。実際に、ブロントを始めこの場にいる者は誰もが第一艦隊の姿に目を奪われている。これを見れば誰もがシーランド帝国を極東の文明圏外国と馬鹿には出来ないだろう。それをするのはよほど軍事に詳しくないド素人か、現実を見れていない大バカ者くらいだろう。

 

『局長、あの艦隊全てを収容するのは難しいかと……』

「そうだな。仕方ない。シーランド帝国さえ良いのなら艦隊を分けて第一文明圏や第二文明圏の港を使わせよう」

 

 あまりにもでかく、数が多い第一艦隊はバラバラになりつつそれぞれ着岸した。そしてキング・オブ・ライオネス級原子力航空母艦第一番艦より降り立つはシーランド帝国の使節団及び、グラ・バルカス帝国に祖国を滅ぼされたばかりのイルネティア王国の王子エイテスだった。僅か18にも満たない青年は覚悟を決めた表情でシーランド帝国の使節団と共に会議の場へと向かい始めた。それが一体何を意味するのか? それが分からない程カルトアルパス港の住人達は馬鹿ではなかった。

 

 

 

 

 

 一方、ブロントの様に第一艦隊の姿に目を奪われた人物がいた。シーランド帝国より先に入港したグレートアトラスターに乗っていた外交官のシエリアやグレートアトラスターの艦長ラクスタルは顔を青くしていた。何しろ自分たちがこの後行う事は卑劣とも取れる行為であるがそれらをこの第一艦隊は跳ね返してしまえるだけの実力があると理解できてしまったのだから。

 

「……陛下を連れて来るべきだったな」

 

 ラクスタルはシーランド帝国は実物を見ないと分からないなと思いつつ、自分の命運もここまでだなと最後の忠義を果たす覚悟を決めた。グレートアトラスターだろうとこの艦隊の前には戦力不足だ。

 そして、皇帝の言葉を全世界に伝える役目を負ったシエリアは始まってすらいないのに胃が痛くなっていた。人前の為、腹部を抑えるだけでしかしていないが一人だけだったらその場に蹲り発狂すらしていたかもしれない。

 

「……艦長、私帰っても良いですか?」

「それが出来ると思いますか?」

「全く」

 

 シエリアは後悔する。何故こんな役目を志願してしまったのか? 出来るなら今すぐ別の人に任せてそのままカルトアルパスの町に消え去りたい。そうなれば自分を襲うこの胃痛ともおさらば出来るだろうと。勿論、そんな事は出来ないと頭の中では理解できてしまっているが。

 

「……私、生きて帰れますかね?」

「捕虜としてなら生きられると思いますよ」

 

 無慈悲とも言えるラクスタルの言葉だが第一艦隊を見ればそう答える他ないだろう。シエリアは胃痛に悩まされつつグレートアトラスターを降りるとまるで死刑台を登る囚人の気分を味わいながら会議が行われる帝国文化館へと向かっていくのだった。

 





【挿絵表示】

現在の勢力図
青:シーランド帝国の直轄領
藍色:シーランド帝国の属国
灰色、薄灰色:シーランド帝国の副王国領
黄:フィルアデス連邦領(シーランド帝国の属国)
緑:シーランド帝国の友好国
黄緑:国交締結国
紫:グラ・バルカス帝国領
薄紫:魔王勢力圏

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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