シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第七十九話「先進11ヶ国会議2~公開と通告~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /22/??:?? 神聖ミリシアル帝国カルトアルパス港帝国文化館

 先進11ヶ国会議の会場である帝国文化館に入ったシーランド帝国の使節団は周囲の注目を一斉に浴びた。亡国の王子であるイルネティア王国のエイテスを連れてきている事を含めて第二文明圏で侵略行為を行ったグラ・バルカス帝国に対してシーランド帝国がどのような行動に出るのか誰もが興味があった。

 とは言え当の本人たちは落ち着き払っており、ムーやマギカライヒなどの関係のある国家の代表と二、三話すと自分たちの席に座った。

 

『間もなく、先進11ヶ国会議を開催します。関係者の方は席へお戻りください』

 

 それからしばらくして館内放送が響き渡る。この放送を聞き関係者は自分の席へと向かっていく。先進11ヶ国会議は列強と呼ばれている神聖ミリシアル帝国、エモール王国、ムーが常時参加国となっている。列強と呼ばれていたパーパルディア皇国とレイフォルは滅亡して既に存在しない為その穴を埋めるようにシーランド帝国とグラ・バルカス帝国が呼ばれていた。今はまだだが両国ともに列強を降した事から列強に名を連ねるのは時間の問題だろう。特にシーランド帝国はパーパルディア皇国よりも広大な勢力圏を確立している為実質的に列強と変わらない存在となっている。

 そして、今回はこれらの国々の他にも以下の国家が参加していた。

 

第一文明圏

○トルキア王国

○アガルタ法国

第二文明圏

○マギカライヒ共同体

○ニグラート連合

第三文明圏

○ブリアンカ共和国

南方世界

○アニュンリール皇国

 

 国際的な集まりという事で招待されているアニュンリール皇国を除き全ての国が大国乃至ある程度の国力・影響力を持つ国が招待されていた。特に第三文明圏からはブリアンカ共和国が初参加を成し遂げているがこれはシーランド帝国がベスタル大陸を征服したことで大陸外の国家との交流が活発になった影響でもあった。約二年でブリアンカ共和国は会議に参加出来ると判断されるくらいの影響力を保持しているという事でもあった。

 

『これより、先進11ヶ国会議を開催します』

 

 アナウンスに従い会議が始まった。シーランド帝国は初参加と言う事もあり末席に位置しており議長らが座る席からは大分遠い位置にあった。

 

「流石は異世界といった所か。人間以外の種族も数多くいる」

 

 使節団の一人が感嘆するように呟いた言葉に全員が同意する。人間しか知能的種族がいなかった地球では想像も出来なかったエルフやドワーフなどの存在。そんなおとぎ話に登場するような種族が一堂に会している。まるでファンタジー世界に紛れ込んだかのようであった。とは言え実際に迷い込んでいると言えるしファンタジー世界で通例のメルヘンさとはかけ離れた舐められればお終いと言う地球以上に過酷な世界ではあったが。

 そんな意見がシーランド帝国で出ている中、一人の男が手を上げた。今まさにシーランド帝国側でファンタジーさを感じさせる要因となっていた竜人族の男だ。シーランド帝国にはその顔に見覚えがあった。何しろエモール王国がシーランド帝国に来た時に使節団の長を任されていた人物なのだから。

 その男、モーリアウルはプライドが高く、多種族を見下す竜人族とは思えない程殊勝な態度を取っている。

 

『エモール王国のモーリアウルである。今回は何よりも先んじて、みんなに伝えなければならない事がある。火急の要件につき、心して聞いてもらいたい』

 

 魔導通信機と呼ばれる神聖ミリシアル帝国の拡声器(マイク)より聞こえる声には緊張感が籠っており、明らかにただならない様子に誰もが口を閉ざし、場が静まった。

 

『……先日、我が国は“空間の占い”を実施した。その結果をこの場を借りて公表したい。……古の魔法帝国、忌まわしきラヴァーナル帝国が近いうちに復活すると判明した』

 

 瞬間、場内は一気にざわめく。誰もが顔を青ざめ、隣の者と顔を見合わせている。

 

『空間の歪みが酷く、正確な復活時期は観測できなかったがこれより4年から25年の間にこの世界のどこかに出現すると考えている』

 

 その言葉に遂に場内のざわめきはピークに達した。1万数千年と言う途方もない時間が経過した現在でもラヴァーナル帝国は各国の脅威であり恐怖の象徴でもあった。この場において発狂する者が出ていないだけマシであろう。唯一落ち着き払っているのは事前に知っていたエモール王国とシーランド帝国、そして事の重大さに気付いていないグラ・バルカス帝国くらいだろう。

 

「(ラヴァーナル帝国とか言うおとぎ話の国家を本気で信じるとは……)」

 

 グラ・バルカス帝国の代表であるシエリアは内心そう呆れるがそれ以上に彼女が行うべき役目が存在する。とは言えそれを出来る状況にあるとは言えないが。

 

「(完全に戦力不足の現状でシーランド帝国を含む全世界に宣戦布告をする? そんなの無理に決まっているだろう! それどころか返り討ちに遭いかねないぞ!)」

 

 自らの職務と現実に圧し潰されそうになる錯覚を感じつつシエリアは必死に頭を巡らす。自分たちの安全を確保しつつ宣戦布告する方法を。

 

「(……そうだ!)」

 

 必死に頭を巡らしたあまり血が上りすぎて可笑しくなったのか? シエリアは妙案を思いついたとばかりに笑い声をあげた。

 

「アーッハッハッハッハッ! まさかそんなおとぎ話を本気で信じるなどエモール王国と言う国はたかが知れているな!」

『なっ!?』

 

 唐突に馬鹿にされたモーリアウルは目を見開き驚愕するが直ぐにその顔は憤怒の表情に変わっていく。しかし、そんな事は知らないとばかりにシエリアは続ける。

 

「そんな貴様等にも我がグラ・バルカス帝国は寛大だ。そこのトカゲ擬きだけではなくこここに居る全ての国家に告げる! 我がグラ・バルカス帝国はこの世界を支配するべく行動を開始する! 抵抗すれば蹂躙し、降伏するなら寛大な心で受け入れよう! 別に我が国の国力を知った後でも構わないぞ。レイフォル行政府で何時でも受け付けよう。尤も、その時にはかなりの損害を出しているだろうがな」

 

 シエリアはそう言うと立ち上がった。

 

「我が国は劣等国家どもとぬるいなれ合いをするつもりはない。今回この会議に参加したのはこの事を伝える為だ。……精々勇気ある決断を下すがいい。それが貴様等の未来へとつながるのだからな」

 

 どこか目をグルグルさせて混乱しているようにも見えるシエリアはそう言い切ると少し速足で会場を出ていくのだった。後に残されたのは絶句する者達と怒りで顔を真っ赤にするモーリアウル、そして無表情とも取れる厳しい表情を浮かべるシーランド帝国の使節団のみだった。

 




原作だとパンドーラ大魔法公国が参加してますが属国が参加しても良いのかと思いブリアンカ共和国に変更しました。情勢的に特に影響もないですし

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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