シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第八話「戦後処理」

転移から二月も経たずに一国を占領したシーランド帝国は戦後処理を行う事となった。ロウリア王国はシーランド帝国の徹底的な攻撃により都市はほぼ壊滅。沿岸部も都市だけではなく漁村まで攻撃を受けたため沿岸部の被害は一番多かった。更に人口の4分の一以上が死んだためいろいろな方面で人手不足となっていた。それどころか領土全体の情報伝達も壊滅したため各村ごとに分裂する状態となった。

シーランド帝国は早速人を用いて全領土の掌握を開始した。最初に村レベルで分裂している現状を回復させるところからであった。直接人を派遣しロウリア王国が滅んだこととシーランド帝国が統治することを伝え今後の開発に流動的に動けるように指示を出していく。中には抵抗を示す村も存在したがロウリア王国ですら一方的だったシーランド帝国軍相手に村人程度が出来ることは限られていた。

次にインフラの整備であるがこれはすんなりと進んだ。そもそも街道には攻撃が行われていないため復旧の必要がなかったのだ。その為補強をするだけで済んだがそれでもコンクリートを用いた近代的な道が出来るのはまだまだ先の話となる。

こうしてシーランド帝国による復旧と開発は行われ始めたが一方のブリテン島でも戦後処理を行っていた。

会議室には皇帝ライオネス以下宰相に国の重心が集まりロウリア王国の今後を決めていた。

シーランド帝国に置いて新たに手に入れた領土は三つの道がある。一つは自治領。自治領指導者を通して統治する方法で二つ目が直轄地とする事。最後に属国にする事であるが今回の件でいえば属国になるのはあり得なかった。そもそもロウリア王国の政治中枢にいたものは全て処刑が済んでおりシーランド帝国から人を派遣して属国にするなら自治領にした方が良いというのが大半の考えだった。

つまりロウリア王国は国として残ることは出来ず自治領として間接的な統治を受けるか直轄領として直接統治をされるかという未来しかなかった。因みにシーランド帝国に置いて直轄領となっているのはイングランド直轄領を除けばナイジェリアのみとなっている。

 

「今後の事を考えるなら自治領にするべきだろう。ナイジェリアとイングランドで現状精いっぱいなのにこれ以上は負担でしかない」

「おっしゃる通りですな」

 

ライオネスの言葉に宰相が同意する。宰相の頭には自治領指導者を誰にするか、自治領をどのように統治させるかなどと言ったことが既に展開していた。

その後も話は進みロウリア王国は滅ぼしシーランド帝国領ロウリアとしてシーランド帝国の支配下に置くこととなり自治領指導者にはアリスター・デュ・ゴーマンは就任した。マレーシアの自治領府で長年活躍していた人物でマレーシアの自治領指導者だったクリントン・G・ブルーノが今の自治領指導者を推薦しなければ自治領指導者となっていただろうと言われる人物だった。彼は早速自分の仕事の引継ぎを終え復興の準備を始めているロウリアに渡った。自治領府は比較的無事だったクイラ王国の国境付近にあるリスギに置かれることとなった。更にシーランド帝国では恒例となっているブリテン島から少なくない移住者がロウリアへと渡った。彼らは上級国民としてロウリア自治領での利権を手に入れていくこととなる。これらはシーランド帝国が領土拡大するたびに行われてきたことでありブリテン人を中心に白人が優遇される傾向にある。ブリテン島で貧しい思いをする者たちは領土が拡大されるたびにブリテン島を離れ自治領で生活を向上させるのだ。

ロウリア人は今後ブリテン人による差別のもと復興、繁栄していくロウリアの富のお零れを必死になって奪い合いかつてのロウリア王国の繁栄を思い浮かべながら毎日を生きていくこととなる。

 

 

 

 

「何という事だ……」

 

ギムからマイハークに戻ってきたウィリアムはロウリア王国の戦後処理を聞き絶望した。ロウリア王国の滅亡に自治領化。予測は出来ていたが実際に聞かされると心に来るものがあった。

 

「この世界に来て初めての自治領か……。私も赴いたベチュアナランド以来か」

 

約5年ぶりの領土拡大にシーランド帝国、とりわけブリテン島では活気づいていた。ブリテン島では既にロウリアに向かうための準備を終え飛行機や船を待っている者もいるらしい。とはいえロウリアは都市部の大半が更地と化しインフラはほぼ無事であるが文明国としてみれば整備されていないと言われても仕方のない出来栄えだった。これからは都市の形成やインフラの整備が行われるだろうがよほど気が早い者でもない限りある程度落ち着いてから向かう事になるだろう。

ロウリアの今後を考えている時だった。ウィリアムの部下が慌てた様子で部屋に入って来る。

 

「大変です!本国が北部の環状島に攻撃を行いました!」

「何だと!?状況はどうなっている!?」

「そこにあった王国は滅亡。艦隊の弾薬がほぼ尽きるまで攻撃が行われたそうです」

「何という事だ……」

 

ロウリア王国の裏で動いていた本国にウィリアムは頭を抱える。幸いな事にシーランド帝国の行動はロウリア王国を除けば伝わっておらずまた隣国のクワトイネ公国やクイラ王国との国境は閉鎖している為両国がロウリア王国の現状を詳しくは知らない。その為両国とはこれまで通りの関係が維持できるだろう(最悪の場合滅ぼされる可能性すらあるが)。

ウィリアムはまだ転移して一年も経っていないのに行動を起こす本国にシーランド帝国の行く末を案じるのであった。

 




自治領指導者
その名の通り自治領の最高責任者。皇帝に代わり統治している。レジスタンスの攻撃や内乱などで死亡率はとても高い(2人に1人の確立で死んでいる)。

クリントン・G・ブルーノ
全自治領指導者の中で最も有能と言われていた人物。人生の大半をビルマとマレーシアの自治領指導者として過ごした。ジェラルディンという女性にマレーシアの自治領指導者として推薦して定年退職した。様々な人からとても高評価されているが唯一の欠点がジェラルディンを自治領指導者に指名したこと(理由はいつの日か話すかも)。

シーランド帝国領ロウリア
シーランド帝国が異世界に転移して初めて手に入れた領土に建てた自治領。アリスター・デュ・ゴーマンを初代自治領指導者とした。現状では戦争による爪痕がデカすぎるため全土の掌握すら困難な状況。並みの人なら統治を諦める。
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