シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第八十話「先進11ヶ国会議3~迫りくる敵~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /22/??:?? シーランド帝国帝都ロンドニウム

「そうか。グラ・バルカス帝国は予想していたよりも愚かだったようだな」

 

 ウィリアムは使節団からの報告を聞き呆れを込めたため息をつく。これではエイテスを連れて言った意味がない、と。本来の予定であればグラ・バルカス帝国相手にエイテスを使って非難を行い、世界を味方につけつつ合法的に叩き潰すつもりだったが蓋を開けてみればシーランド帝国が発言する前にグラ・バルカス帝国は帰ってしまった。それもこの世界における重要な国際交流をする気が無いと言って。

 

「グラ・バルカス帝国はどうやら国際というものがどれほど重要か分かっていないようですな」

「分かっていればこんなバカな事はするまい」

 

 シーランド帝国はかつて敵対していた相手を叩くために周辺諸国と関係を改善、強化をしていた時期があった。まさに包囲網と呼ぶべきそれはあと一歩のところで完成、その国を亡ぼす準備を整える事が出来たがその前に宿敵であるインドが大頭を始め、その国と同盟を結んだことで包囲網は瓦解した。その国ならともかくインドと関係を持つ国は多かったのだから。

 

「この世界だって同じことだ。確かに地球に比べれば圧倒的に技術、国力で劣る国ばかりだ。とはいえ結局のところこの世界でも人は人だ。孤立状態で戦えるのは相手より圧倒的に力が上回っていないと出来ない。そして、グラ・バルカス帝国に孤立状態で戦う事は不可能だ」

 

 確かに神聖ミリシアル帝国やムーと言った列強相手に圧勝出来る実力はあるかもしれないがシーランド帝国から見ればかつて滅ぼしたイギリスの国力にすら劣る。その程度のものに負けるつもりなどなかった。アクハ帝国戦で損害を出し、弱小国相手にも油断や慢心してはいけないと学んだシーランド帝国に抜かりはない。グラ・バルカス帝国を滅ぼすためなら全力で持って潰すだろう。

 

「兎に角だ。グラ・バルカス帝国はこれから侵攻を行う可能性がある。第一艦隊には現場の判断で攻撃を許可するように伝えろ。それと第四潜水艦隊も出せ。第一艦隊が戦闘を始めた時に海中から支援させるのだ」

「分かりました。グラ・バルカス帝国の潜水艦に関する思想は分かりませんが対策も潜水艦そのものも保有していると想定して動きます。見つけられるとは思いませんが損害は出さないようにします」

「頼むぞ」

 

 宰相に細かい指示を出したウィリアムはシーランド帝国の領土が追加されたこの世界の地図を見る。これらは衛星を用いて正確に記されており、地図の東側はシーランド帝国の勢力圏を示す青色で塗られていた。

 

「俺はシーランド帝国を武力で拡大させようとは思っていないがこちらの脅威となるような動きをする国に対して容赦をするつもりはない。二度と、二度と大切な者を失うつもりはないからだ……!」

「分かっております。我らも陛下の思いを汲み、全力で支える所存にございます」

 

 宰相は深々と頭を下げ、部屋を出ていった。その後、皇帝の命令はすぐさま使節団に伝えられた。使節団や第一艦隊はグラ・バルカス帝国の宣言から現場ですぐに対応しなければならない事態になるだろうと予測し、()()()に備えて準備を行うのだった。

 そして、その時は僅か二日後に訪れる事になる。

 

 4月23日、神聖ミリシアル帝国第零魔導艦隊が攻撃を受け全滅。

 4月25日、グラ・バルカス帝国、カルトアルパス港に襲来。

 後にフォーク海峡海戦と呼ばれるように戦闘が勃発するのだった。

 

 

 

 

 

a.t.s55(皇歴55年)/4 /25/??:?? 神聖ミリシアル帝国カルトアルパス港

「グラ・バルカス帝国はこの細い海峡を封鎖するように船を待機させるだろう」

 

 第一艦隊の司令長官を務めるフォーブスは神聖ミリシアル帝国から貸与されたカルトアルパス港周辺の地図を使いながら各艦長及びそれに準ずる者達に説明をする。シーランド帝国の栄えある第一艦隊の司令長官を務める人物だけあり実力、経験共にトップに位置するといっても過言ではない人物であり、文字通りシーランド帝国海軍最強の人物と言えた。

 そんな彼に率いられる第一艦隊はスペック以上の働きをこれまで見せてきた。そしてそれはこれからも、今回も変わらないだろう。誰もがそう信じている。

 

「神聖ミリシアル帝国が言うには敵はレシプロ機の航空艦隊を持ってきている。確実に敵には空母がいる。それにあのグレートアトラスターとか言う戦艦もいるはずだ。俺がグラ・バルカス帝国なら確実にこのグレートアトラスターで蓋をする」

 

 僅か幅14キロしかない海峡の奥に位置するカルトアルパス港はそこを防がれると出入りは完全に出来なくなる。グラ・バルカス帝国はそれを狙ってカルトアルパス港を干上がらせるだろうというのがシーランド帝国側の読みだった。

 

「陛下は現場に任せるとおっしゃられた。つまり、先制攻撃も視野に入れていいという事だが、今回先手はグラ・バルカス帝国にやってもらう」

「国際世論を味方につける為ですね?」

「そうだ。神聖ミリシアル帝国が上空を警護するとの事だがなんちゃってジェット戦闘機でグラ・バルカス帝国相手にどこまで戦えるのか不明だ。少なくともグラ・バルカス帝国は第二次世界大戦時レベルの技術力だ。一方的乃至劣勢であることは変わらないだろう」

 

 カルトアルパス港近くに設置されていた神聖ミリシアル帝国の飛行場から飛び立っていった天の浮船と呼ばれる飛行機を思い出す。ジェット戦闘機の利点を完全に潰し、音速どころかそれに近い速度さえ出せないまるで素人が見よう見まねで作ったかのようなあれには流石のフォーブスも呆れるしかなかった。

 

「神聖ミリシアル帝国は魔法帝国の遺跡から発掘された技術で発展してきた国だと言っていたな。基礎的技術力がないとこの様な結果を生み出すのだな」

「いえ、流石に地球の様に見本が存在する場合は違っていたのでしょう。遺跡から得たというのがポイントと考えます」

 

 地球で言うなら古代文明の遺跡から二足歩行ロボットでも作り上げるようなものなのだろうか? 細かな技術はともかく、現代が最も発展していた地球においてこの世界のようなかつて自分たちより技術を持っていた国が存在していたなどと言う事はなかったため、想定が難しかった。

 

「……まぁいい。我々の任務はグラ・バルカス帝国を返り討ちにする事だ。神聖ミリシアル帝国が接敵、戦闘開始すると同時にこちらも戦闘機を出す。ジェット戦闘機とはどういう物なのかをグラ・バルカス帝国と神聖ミリシアル帝国、両方に教えてやるぞ」

「「「「「はっ!」」」」」

 

 数十分後、神聖ミリシアル帝国が誇る戦闘機エルぺシオ3とグラ・バルカス帝国戦闘機アンタレスが戦闘を開始した。そして、僅か十分ほどでエルぺシオ3は全滅する事になる。

 しかし、それを確認したことで遂に、シーランド帝国が動き出した。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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