シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第八十一話「先進11ヶ国会議4~ジェット対レシプロ~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /25/??:?? 神聖ミリシアル帝国カルトアルパス港

 戦力外故にさっさと退散したアニュンリール皇国を除き、カルトアルパス港には先進11ヶ国会議参加国の艦隊が待機していた。その為、シーランド帝国の動きを間近で見ることが出来ていた。

 

「何と……!」

 

 この世界最大と言っても過言ではないキング・オブ・ライオネス級原子力航空母艦より大量のジェット戦闘機が飛び立っていく。神聖ミリシアル帝国のエルぺシオ3の様にプロペラを持たないそれは明らかにそれらより性能面で凌駕しているのがうかがえた。何しろエルぺシオ3を超える速度を悠々と出しているのだから。

 

「シーランド帝国より通信! “エルぺシオ3に代わり我々が敵航空機隊を迎撃する”!」

「確かにあの航空機なら可能だな。……まさか極東の文明圏外国に空の安全を守られる事になるとは……」

 

 トルキア王国の戦列艦を指揮する提督は次々と空の彼方へと消えていくシーランド帝国のジェット戦闘機を茫然と見ながら世界の常識が塗り替わっていくのを実感する事になった。

 そしてそれは他の国々とて変わらない。

 

「シーランド帝国、やはり侮れない。いや、敵対できないと言った所か」

 

 ブリアンカ共和国は今回の先進11ヶ国会議に参加するにあたりパドル付きの戦列艦10隻を同行させていた。技術的停滞を見せ始めているベスタル大陸において唯一と言っていいその余波を受けていないブリアンカ共和国はシーランド帝国の危機感をあおらないようにアクハ帝国の技術を吸収・運用していた。その結果としてパドル付きの戦列艦が誕生する事となったがこれらのエンジンには魔石が用いられている為科学技術のみで造られたわけではなかった。

 

「こうして見ればアクハ帝国がどれだけ異常だったが分かるな」

 

 未だに戦列艦が主力と通用する国が多い中でアクハ帝国は蒸気船を用いた艦隊を運用していた。大半が外輪船だったがスクリュープロペラの開発に成功していた為数年すれば外輪船は戦力外となっていただろう。

 そうなればアクハ帝国はパーパルディア皇国やレイフォルを超える軍事力を有する大国へと昇華していたのは間違いがなく、確実に列強入りを果たす事になっていたはずだ。

 

「シーランド帝国に追いつかないと属国化はすぐそこだろうがそれが出来ればアクハ帝国は滅びたりしないか」

 

 ブリアンカ共和国の提督は将来自らの国家が待ち受ける未来を想像しながら既に目視では確認できないシーランド帝国の航空機隊の武運を祈るのだった。

 

 

 

 

 

 キング・オブ・ライオネス級原子力航空母艦を始めとして各空母より発艦したジェット戦闘機の数はおおよそ200機。その倍以上の戦闘機が待機状態だが敵とほぼ同数であるため数的不利有利は存在しない。後は機体の性能とパイロットの腕が勝敗を分ける事になる。

 

『敵機発見! 各自戦闘を開始せよ!』

 

 エルぺシオ3を撃墜し、戦意を高めているだろうアンタレスの群れにシーランド帝国のジェット戦闘機が襲い掛かる。エルぺシオ3を小鳥とし、アンタレスをカラスとするならジェット戦闘機はハヤブサと言えるだろう。小鳥たちの戯れに世界最速の狩人が襲いかかるに等しい。

 そして、それは正しく、上空から降り注ぐように襲い掛かったジェット戦闘機隊50機はすれ違いざまに5分の1近い約40機を撃墜した。慌てて回避行動を取るアンタレスに今度は別の50機が2組、違う角度から襲い掛かる。波状攻撃と言えるそれらはアンタレスを次々と撃墜していく。

 

『敵は脆い! だからこそ一機たりとも逃すな!』

 

 ばらばらに逃げだすアンタレスを残りの50機が追撃とばかりに襲いかかっていく。そこに最初に攻撃した50機も加わり攻撃が行われる。そして、接敵から10分程でアンタレスは全て海に沈み、空には甲高い音を響かせるジェット戦闘機隊が一機も欠ける事無く飛行していた。

 

『予定より少し早いが問題ないな。我らはこれより敵艦隊を攻撃する! 各自ミサイルの点検を再度行え! 動作不良がある機体は無理をせずに帰投せよ。無理して敵に撃墜戦果を与える必要はないからな!』

 

 ジェット戦闘機隊を率いる隊長の言葉に従い彼らは更に南下。東進しているだろうグラ・バルカス帝国の艦隊に向けて針路を変えるのだった。

 

 

 

 

 

「先発隊……敵航空機隊を殲滅! こちらの被害0! 敵機全滅!」

「よし! 次に移るぞ!」

 

 ジェット戦闘機隊からの通信を受け取ったフォーブスは直掩機とその予備を残して主力航空機隊を発艦させる。先発隊は敵航空機と戦闘するのが目的であったため、対空ミサイルと対艦ミサイルを7:3程の割合で装備していたが次に発艦するジェット戦闘機隊は対艦ミサイルをガン積みした艦隊攻撃仕様となっていた。

 パイロット達は笑みを見せつつ決して驕った様子を見せていない。敵を確実に潰す。そんな強い意志を感じさせた。

 

「グラ・バルカス帝国の艦艇を我らは詳しく知らない。ないとは思うがこちらが不利になるのなら戦闘は避け帰投するように」

 

 第一艦隊は空母機動艦隊だが別に航空艦隊での攻撃しかできない訳ではない。駆逐艦、巡洋艦には対艦ミサイルを始め戦闘艦に相応しい火力を有している。空母だって砲撃は難しくとも戦闘機から身を護る術を有している。ましてや敵は自分たちより性能面で劣る相手だ。慢心するわけではないがフォーブスは多少の損害が出る可能性を考えつつもそれだけを持って勝利できると確信していた。

 そして、その思いが正しいのかどうか。それを決定するであろう戦闘がまさに始まろうとしていた。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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