シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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連続投稿止まると思います


第八十二話「先進11ヶ国会議5~襲い掛かる音速の群れ~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /25/??:?? 神聖ミリシアル帝国ケイル島沖南部

 グラ・バルカス帝国は現在我が世の春と言っていい状態にあった。無事に任務を果たす事に成功したシエリアを乗せたグレートアトラスターは神聖ミリシアル帝国の最新鋭艦が多数配属している第零式魔導艦隊を全滅させた東部方面艦隊と合流した。そして、まさにこれからカルトアルパス港を襲撃するというタイミングでエルぺシオ3を撃墜したアンタレスが敵の攻撃を受けていると通信が入る。

 

「シーランド帝国か?」

「おそらく……。ですが何度呼びかけても応答がなく、確証が得られません!」

「馬鹿か! それはつまり全機撃墜されたという事だろう!」

 

 第零式魔導艦隊を全滅させた東征艦隊の司令長官を務めたアルカイドは兵士の言葉を聞き怒鳴りつけた。彼自身、シーランド帝国の国力を朧ながらに理解しているが上官であるミレケネスがクーデター側についたために引っ張られる形で参加していた。その為、現在主流となっているシーランド帝国軽視の思想には染まらずに現実を見る事が出来ていた。

 

「(確かに通信が繋がらないのならば通信障害とも思うがシーランド帝国は今回の会議に10隻の空母を連れてきている。しかもそのどれもが巨大だというではないか! 単純計算で300機以上の艦載機がいるという事だ。艦載機の性能次第では全滅もあり得るな)敵が来るかもしれない! 見張りを厳重にせよ! 機動艦隊にも直掩機を出すように要請せよ!」

「司令! 北から飛行物体が急速に接近してきています! アンタレスの速度を軽く上回る速度です!」

「何だと!?」

 

 アルカイドが指示を出した時、既に手遅れとなっていた。この時、レーダーが捕らえたのはまさにアンタレスを呆気なく全滅させ、目標を東部方面艦隊に定めたシーランド帝国の先発隊だった。先発隊は音速を超える速度を持って東部方面艦隊に接近すると先行していた東征艦隊には目もくれずに空母機動艦隊に襲いかかった。

 

「くっ! やはり先に空母を叩き、制空権を握るつもりか……!」

 

 分かっていた事とは言え制空権の重要性を知るシーランド帝国にアルカイドは歯噛みする。先行する自分たち東征艦隊に攻撃をしてくるのではないか? と言う淡い期待は呆気なく崩れ去り、無慈悲な現実が突き付けられている。

 

「っ! あれは……!」

 

 そして目視にてシーランド帝国の機体を確認したアルカイドは戦慄した。アンタレスのようなテーパー翼ではなく、後翼機の機体を用いているそれは前部にプロペラがない姿をしている。グラ・バルカス帝国では未だ構想段階のジェットエンジンを採用した戦闘機が目の前にいた。

 音すら置いて行きそうな速度で持って脇を通過するジェット戦闘機隊にアルカイドは呼吸が出来ない程の衝撃に見舞われる。隣で兵士が指示を求める言葉を発しているがそれがどこか遠くで聞こえてくる。少し視界が暗くなっていき、足元が今にも崩れ落ちそうな間隔に襲われながら必死に考える。

 

「(あの戦闘機はジェットエンジンを搭載している……! それはつまり敵はミサイルも持っている可能性が高いという事だ! 我が国では細々と研究される程度のそれらが運用される姿を見せつけられている……! 無理だ。我らでは、あれには勝てない……)」

 

 後方から聞こえてくる爆音。通信兵が味方の被害状況を必死に説明する声を辛うじて確認しながらアルカイドは全てを諦めたようにその場に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

「喰らえ!」

 

 空母機動艦隊の護衛と思われる東征艦隊を通り抜けたジェット戦闘機隊は輪形陣の中心にいる空母に向けて攻撃を開始した。第二次世界大戦時のような対空砲火が行われるがそんなものに簡単に当たるような未熟者はここにはいない。楽々と躱して空母の弱点である飛行甲板に対艦ミサイルを発射していく。対艦ミサイルは慌てて発艦しようとしていたアンタレスを巻き込みながら大爆発を起こして巨大な穴をあけていく。更にその穴から艦内部に侵入したミサイルが様々な区画を食い破りながら一定の衝撃を受けた事で爆発を起こした。

 複数の爆発の後に大爆発を起こした空母を最初の爆沈艦にし、次の獲物へと取り掛かっていく。出撃していったアンタレスと同じ200機が50機ごとに分かれてそれぞれの役目をこなしていく姿は高い練度と功績を焦らなくても問題ない体制かエリート部隊である余裕からなのかを示している様だった。

 

「ちくしょう! 落ちろ落ちろ落ちろ落ちろおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 狂ったように叫びながら対空機銃を撃ちまくる兵士にジェット戦闘機から放たれたバルカン砲が命中し、肉塊へと変わっていった。それらの景色は至る所で見られ、グラ・バルカス帝国の死者を確実に増加させていった。

 

『っ! これが最後のミサイルだ!』

 

 先発隊は空対空ミサイルと空対艦ミサイルを併用している。その為、嵩む空対艦ミサイルは2発ずつしか積んでいなかった。そして、空母への攻撃を行っている戦闘機隊が遂に最後の空対艦ミサイルを使い切った。最後の一発は炎上し、傾きつつあった最後のグラ・バルカス帝国の空母に命中し、撃沈させていった。

 

『隊長! 全機ミサイルを撃ち尽くしました! ですが目標の敵空母を全て撃沈! 制空権を完全に掌握!』

「よし! 我らはここまでだ! 直ぐに後続が来る! 後は彼らに任せて我らは帰投するぞ!」

『『『『『了解!』』』』』

 

 戦闘機隊はミサイルを全て撃ち尽くすと用は済んだとばかりにさっさと引き上げていく。海上には黒煙を上げて沈んでいく最後の空母とそれらの残骸、大小さまざまな損害を受けた機動艦隊の護衛艦だけが残された。

 

「た、助かったのか……?」

 

 一人の兵士が漏れ出した様な声量で呟く。たった十分程の戦闘で誰もがボロボロであった。しかし、それらの猛攻を我らは耐えたのだ! そう言う感情が込みあがってきた時、帰投する戦闘機と入れ替わるように新たなジェット戦闘機群の姿が出現し、グラ・バルカス帝国東部方面艦隊に更なる絶望が襲い掛かってきた。

 

「空母は全て沈めたのか……。と言う事は制空権はこちらのものか。喜べ諸君! 先発隊のおかげで敵は艦載機を上げる事が出来ないぞ! 対艦仕様の我らの実力を見せつけてやるぞ!」

 

 空母がいないという事に気付いた後続部隊の隊長は獰猛な笑みを浮かべるとそう味方を鼓舞し、逃走を図ろうと動き出した東部方面艦隊に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 4月25日。後に第二次マグドラ沖海戦と呼ばれるようになるこの戦闘でグラ・バルカス帝国は()()()2()()()()()()()()()()()、大敗を喫する事になる。更に今回の動きの為に一時的に東部方面艦隊に組み込まれていたグレートアトラスターはこの世界で行った偉業を覆す目的の為だけに武装などを破壊された上でシーランド帝国に拿捕される事となり、生き残った乗員は捕虜となった。

 グラ・バルカス帝国による世界征服は序盤から大きく躓く結果となったのである。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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