シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第八十三話「先進11ヶ国会議6~戦いを終えて~」

a.t.s55(皇歴55年)/4 /25/??:?? 神聖ミリシアル帝国カルトアルパス港

 3日ぶりに姿を現したグレートアトラスターだがその様相は大きく異なっていた。自らの威容を見せつけるようにたった一隻で訪れた彼の艦は武装を破壊され、乗員を全て捕縛され、シーランド帝国の艦隊に曳航されるというまさに屈辱とも言える姿をしていた。3日前には見る人全てを驚愕させていたが今では憐れみと同情、侮蔑などの感情しか向けられていない。

 

「まさか航空機だけで一艦隊を全滅させるとは……」

 

 ブロントはシーランド帝国が発表した情報を軍の関係者から得ており、それらを基に軍人や政治家以外では唯一と言っていい程事の詳細を正確に理解していた。

 エルペシオ3を全滅させたグラ・バルカス帝国の戦闘機を全て撃墜したシーランド帝国の先発隊はそのまま敵艦隊に襲いかかり、空母を全て沈めると残った艦の掃討を後続に任せて撤退。後続はその役目を見事全うし、グレートアトラスター以外の艦を全て沈める事に成功した。その際に撃墜された戦闘機は皆無であり、グラ・バルカス帝国はまさに一方的な攻撃を受ける事になったのである。そう、これまで自分たちが行ってきた事の様に。

 

「シーランド帝国はグラ・バルカス帝国に似ているがその力は軽く凌駕しているのか……。これでは世界最強の名を持つ我が国は道化にしか映らないではないか……」

 

 ブロントはこれまで感じて来た祖国の世界最強の称号が新たに誕生した二つの国によって呆気なく瓦解していく姿を幻視しつつ、シーランド帝国の規格外の強さに言葉を無くすのであった。

 

 

 

 

 

同時刻、帝国文化館

 グレートアトラスターすら拿捕できるという事実はシーランド帝国の権威を増大させる結果となった。末席に存在した席は一気に議長の近くにまで変更されており、第二文明圏、第一文明圏を問わず、全ての国がシーランド帝国の使節団に畏怖とも取れる感情のこもった視線を向けていた。関係の深いムーやマギカライヒの外交官すらこれほどの戦果を挙げるとは予想にしていなかった。尤も、シーランド帝国と言う国に深く内通している訳でもないので当然と言えば当然の反応とも言えた。

 

「いやぁ、これほど素晴らしい位置に移動できたのは最高ですな」

 

 そう言ってニコニコと笑みを浮かべているのは使節団の一人であるカラムだ。一時期はグィネヴィアが処刑される所を直接見た事で精神を病んでいたが2年と半年という時間の経過を経て回復していた。そして、その復帰後最初の仕事がこの使節団の一人として先進11ヶ国会議に参加する事だった。

 

「カラム殿、シーランド帝国の実力は聞いていましたが予想以上ですな」

 

 そう言ったのはエモール王国の外交官であるモーリアウルだ。竜人と言う事でプライドの塊のような人物が他者を、特に竜人以外を褒める事など珍しかった。それだけ、今回シーランド帝国が行った事は大きかった。

 

「グレートアトラスターはこちらで有効活用させていただきます。捕虜に関してはグレートアトラスターの乗員のみ。それ以外は捕虜にしたいという方が拾ってくればいいでしょう」

 

 グレートアトラスターをボコボコにしたシーランド帝国はそれの乗員を全て捕縛、捕虜にしていたがそれ以外の撃沈時に生き延びた他の艦の乗員については無視して放置していた。戦闘艦ばかりであり、捕虜を収容する区画が無いという事と別に捕虜を取る必要性がなかったことが原因となっていた。

 

「ならば生き残りはこちらで回収させていただきます。我らとしてもこのままと言う訳にはいきませんからな」

 

 結局、生き残りを回収すると言ったのは神聖ミリシアル帝国のみだった。とは言えそれ以外の国にとって全く無関係と言っても過言ではなく、もしカルトアルパス港襲撃を経験していれば違ったのかもしれないが結果的に自分たちに危険が及ばなかった各国の外交官は捕虜を取る必要性を感じていなかったのだ。

 

「それで? 今後はどうするつもりなのですか?」

 

 話を次に進めるように言ったのはブリアンカ共和国の外交官である。鎖国状態が続いていたベスタル大陸において数少ない大陸外との交流を昔から持っていた人物で、国際情勢に明るい事から今回派遣されてきていた。

 

「グラ・バルカス帝国には今回の襲撃に関する罪を問います。とは言えこんな大それたことをする国です。素直に要求を受け入れるとは思えません。その場合、我が国はグラ・バルカス帝国に対し、宣戦布告します」

 

 カラムの言葉に会場がざわめく。確かに今回の一件はグラ・バルカス帝国の国際的信頼を喪失させる結果となっていたがだからと言ってシーランド帝国が本格的に動くとは予想外と言えた。しかし、それはカラムにも分かっていた事であり、話を続ける。

 

「皆さんも察していると思いますが我らはイルネティア王国の王子エイテス殿下を保護しています。この件を本来は先進11ヶ国会議にて問いただすつもりでしたがこうなっては仕方がありません。シーランド帝国皇帝ウィリアム陛下はグラ・バルカス帝国の態度次第では宣戦布告も辞さないとの言葉を受けています」

「しかし、グラ・バルカス帝国を攻撃するのは良いとして本土がどこにあるのか分からない現状では第二文明圏から追い出す事しか出来ないのではないか?」

「問題ありませんよ。我らはグラ・バルカス帝国の本土の位置を把握しています」

 

 そう言ってカラムは持参した地図を公開する。それは第二文明圏より西に存在する大陸と言うには小さい巨大な島が映っており、それがグラ・バルカス帝国の本土と記載されている。

 

「我らはこの様に天より地理を確認する術を有しています。グラ・バルカス帝国がいくら隠そうとも我らの前には無駄な努力に過ぎませんよ」

 

 それこそ本土の位置を知られたくないのなら本土を移動できるようにすればいい。カラムはそんな夢物語とも取れる言葉を言う事はなかったがシーランド帝国の目から本気で逃れるのならそれくらいの事をしないといけないという事実がシーランド帝国の実力を垣間見せていた。

 各国は改めてシーランド帝国の恐ろしさを目の当たりにすると同時にそんな相手を敵に回しそうなグラ・バルカス帝国に対して多少の同情を見せるのだった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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