a.t.s55(皇歴55年)/5/8/13:20 グラ・バルカス帝国帝都ラグナ
この日、グラ・バルカス帝国は初めて東部方面艦隊の全滅を把握した。と言うのもシーランド帝国がきちんとした通信をさせる間もなく片っ端から沈めていった為自体の把握を出来ていなかったのである。
「どうなっておる! 何故、我らが誇るグレートアトラスターがいてこの結果を迎えておるのだ!」
その結果、新皇帝グラ・カバルは大激怒して軍部を怒鳴りつけている。東部方面艦隊の詳細は分からないが一隻たりとて帰還していない事から全て沈められたか拿捕されたと思われた。それはつまりグレートアトラスターも同様の悲劇にあっているという事であり、世界最大級の戦艦である事からどれほどの威信が傷つく事になったのか? グラ・カバルはその面から怒りをあらわにしていた。
「げ、現在詳細を確認していますので……」
「遅い! 次の会議にはきちんと報告できるようにしておけ!」
グラ・カバルはそれだけ言うと会議場を出ていった。後に残された軍部の人間は皆一様に深くため息を吐き今後の動きについて考え始める。事実として東部方面艦隊が壊滅した事は確かであり一体どこの国が行ったのか?どのような戦力だったのかを把握する必要があった。例え自分たちの常識に囚われ、この世界でも覇権を握れると本気で信じている彼らだが軍人としては優秀だった。出なければ数えきれないほど存在する軍人たちの上位に君臨する事など出来ないのだから。
「くそ! 外交官すら戻ってきていないせいで状況把握が全くできない! もう一度艦隊を派遣するか?」
「馬鹿か!? それでは東部方面艦隊の二の舞になるぞ!」
「だがどうやって詳細を知るのだ? いくら情報局が調べていると言っても限度があろう」
軍部は必死に状況の打開と情報収集を行っていくがその直後の5月10日。グラ・バルカス帝国に更なる激震が走る事になる。
a.t.s55(皇歴55年)/5/10/4:01 グラ・バルカス帝国レイフォル州沿岸
ムー大陸西部に到着した第四潜水艦隊は早速自分たちの任務の遂行に当たった。到着したのは前日の昼だったがその際にグラ・バルカス帝国の商船を三隻沈めているが全く気付かれた様子はなかった。その為、ジェームズが狙った獲物は商船などとは比べ物にならない船だった。
「目標がこちらに気付いた様子はあるか?」
「ありません。敵は対潜警戒をしていないと見えて探針音すら聞こえてきません」
「よし、ならば始めるぞ。魚雷戦用意!」
「魚雷戦用意!」
ジェームズの命令に従い第四潜水艦隊は魚雷の発射準備を始める。目標は前方を航海中のグラ・バルカス帝国の沿岸警備隊だ。沿岸警備隊と言えどその編成は凄まじく、駆逐艦や軽巡も存在するこの艦隊は水雷戦隊と呼んでも可笑しくはない大規模なものだった。それゆえに、第四潜水艦隊の初の巨大な獲物として標的にされたのである。
「1番から8番まで魚雷準備完了!」
「目標との距離を再度測定……。誤差修正完了!」
「全艦各目標の設定を完了! 何時でも発射可能です!」
原子力潜水艦の乗員はまさにエリートで構成されている。原子力艦はシーランド帝国海軍内で最も重要と言われる艦だけありその艦に乗れる乗員は厳しいチェックを潜り抜けないといけない。一回のミスですら許容できない程の厳しいチェックを受けて見事その座を勝ち取った彼らは練度・士気はシーランド帝国軍内でもトップと言ってよかった。
「魚雷1番から順に発射! 魚雷発射後更に潜るぞ! 敵の下を通り抜ける!」
「了解!」
100を超える魚雷は僅かな航跡を闇夜に残し完全なる奇襲でもって沿岸警備隊の全艦艇に直撃するに至った。高性能、高火力のそれらはたった一撃でもって全ての艦艇を轟沈させるに至った。乗組員たちは自分たちに何が起きたのかさえ分かる事無く海の底へと沈んでいった。そんな沈みゆく沿岸警備隊の遥か下を悠々と通過する第四潜水艦隊の面々は内心で喜びを感じつつ平静を保ったまま次の獲物の探索に移っていくのだった。
そしてこの日よりレイフォル州とグラ・バルカス帝国本国はシーレーンをズタズタに破壊された事で直接的な交流が難しくなり、次第にレイフォル州は孤立していくことになる。
a.t.s55(皇歴55年)/5/15/10:00 フィルアデス連邦シーランド帝国直轄領海軍造船所
この日、急遽建造された造船所に一隻の戦艦が収容された。主砲は全て破壊され、両脇の機銃はズタズタになっており、艦橋は上半分がほぼ吹き飛んでいた。
これだけを見ればかつて列強レイフォルを一隻で滅ぼし、その実力をこの世界に知らしめたグレートアトラスターとは想像も出来ないだろう。かつて栄光を誇ったこの艦は戦う力を失い、敵であるシーランド帝国に好き勝手に調べられるという屈辱を受けていたが今後この艦が受ける悲劇を考えればまだ序の口と言えた。
「やはり第二次世界大戦時の物ばかりだな」
シーランド帝国の技術者はそう呟きながら集まった情報を精査する。それらはかつて元の世界に存在した日本国の戦艦大和と似ていた。とは言えそれらはシーランド帝国建国前には轟沈している為戦後に出てきたスペックと比べての話ではあったが。
全てを調べた結果として自国の戦艦にすら劣る骨董品と言う烙印を押さざるを得ないが技術者たちはこれからこの艦を近代化改修しないといけない。
「まさか政治のパフォーマンスの為にむちゃぶりを受ける事になるとはな……」
グレートアトラスターがこれまでに行った偉業を屈辱で塗りつぶすために改修し、武装を一新しつつ、グレートアトラスターだと分かるように外観を保たなければいけなかった。それが成せればグレートアトラスターすら降し、自国の物と出来るというシーランド帝国の実力を国際社会に知らしめることが出来るだろう。それも時期が短ければ短い程、グレートアトラスターの損傷を知っている国にとっては大きな衝撃を与えられる。
「取り敢えずは消滅した艦橋部の修復から入るか……」
技術者は不眠不休での作業になるだろうな、と何処か諦めの感情を抱きつつ皇帝直々の命令であるこの近代化改修に取り掛かっていく事になる。そんな技術者たちの努力が実を結ぶのは約10カ月待たないといけない。
原作ではラ・カサミの改修に、こっちではグレートアトラスターの改修に頭と胃をやられる事になる技術者……
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了