a.t.s55(皇歴55年)/7/10/10:00 神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリス
世界最強と言われている神聖ミリシアル帝国の帝都には“眠らない魔都”の異名がある。これは夜も熱を持たない光源で照らされ、昼間のような活気な姿が見れるからである。そんな帝都ルーンポリスの中心地に位置するアルビオン城、そこは世界一の権力を持つ皇帝ミリシアル8世の居城であり、今日は緊急の御前会議が開かれる場でもあった。
この会議に参加するのは同じく神聖ミリシアル帝国内で権力・影響力を持つこの国のトップに君利する者達だ。彼らは部屋に入って来たミリシアル8世を直立不動で迎え、皇帝が座った後に自分たちの席に座っていった。
「これより緊急御前会議を開催します。先ずは皇帝陛下よりお言葉を賜ります」
ミリシアル8世と共に会場に入って来た宰相は全員がそろい、着席したのを確認して開始の宣言をする。そして、宰相に促された4000年と言うけた違いの時代を生きて来たミリシアル8世が静かに口を開く。
「余は、怒りを覚えておる。間違ってもこれはグラ・バルカス帝国に対してではない。世界最強と言う座に胡坐をかいてきた余自身にだ」
ミリシアル8世の言葉に会場がざわめく。てっきりグラ・バルカス帝国に怒りを覚えているのかと思いきやそうではなかったのだから。そもそもこの会議に参加している者の中にもグラ・バルカス帝国に零式魔導艦隊とエルペシオ3を尽く破壊された事でプライドを傷つけられたと思っている者も多くいるのだ。そんな中で何故自らに怒りが向くのか疑問だった。
「我が国が誇る零式魔導艦隊は沈められたが最大の原因は我らが知らない攻撃方法であったという。そして、エルペシオ3も敵の航空機の前には歯が立たなかった」
そこまで言うと宰相に目を向ける。宰相も何を求められているのか理解し、手に持った紙の束を渡した。
「ここにはシーランド帝国より詳細な戦況と原因が事細かに書かれている。それも零式魔導艦隊とエルペシオ3の航空機戦のものが、だ。つまり彼らには我らですら把握できない戦闘の様子を事細かに知る術があるという事だ」
普通ならばそんな事をはい、そうですかと信じる事は出来ない。実際、ミリシアル8世も最初は信じていなかったがシーランド帝国の報告書は本当に知っていないと書けないような詳細まで丁寧に記されてあった。そして敗北の原因として魚雷と言う武装やエルペシオ3のジェット戦闘機とは思えない不格好な姿などが挙げられていた。これらの報告書は皇帝ウィリアムが神聖ミリシアル帝国に対して
ミリシアル8世は一旦紙の束を机に置き、手を顔に持って来る。気づけば瞳には涙が溜まっていた。
「余は、悔しくてたまらない……! 神聖ミリシアル帝国は世界最強と言っておきながらこうして国防すらまともに出来ないうえに諸外国すら危険に巻き込んだ。そして、その危険を全て文明圏外国と今まで自分たちより劣っていると思っていた者達に助けられた。だが! これは屈辱ではない! 我らは一体何をしてきたのか? それを突き付けられた結果だと余は思っている。古の魔法帝国の技術をサルベージするだけで一からの研究を怠った。それを見てみぬふりを、問題ないと先送りにした結果がこれだ」
ミリシアル8世の言葉に心当たりがあるのだろう。誰もが表情を暗くする。転移後の混乱で領土を奪われつつも科学技術を研究して列強第二位まで上り詰めたムーに比べ、自国から発掘される遺跡の兵器の劣化品を自慢して世界最強を唄っていた神聖ミリシアル帝国。改めて知らされればなんとも滑稽と言えるだろう。
「これがグラ・バルカス帝国でよかった。古の魔法帝国であれば我らは呆気なく滅亡していただろう。そしてその脅威は刻一刻と近づいている。故に、余はこの場を借りて宣言しそう。我らは世界最強の座を降り、一つの国家として再び歩み始める。変なプライドは捨て基礎をしっかりと学び、研究し、理解する。幸運な事に手本は近くに存在する」
シーランド帝国とて最初は小さな海上要塞を不法占拠した武装集団が始まりである。国家としての基礎も何も出来ていない中で彼らは恥も外聞も捨てて技術を学び、吸収した。その結果として世界中に大領を持つ大国へと成長できたのだ。
「グラ・バルカス帝国にやられた屈辱は有れどそれは慢心の結果として受け入れよう。なればこそ、今度はそんな事がない様に準備を整えるのだ!」
ミリシアル8世の言葉にその場の誰もが闘志を高ぶらせた。伊達にこの元世界最強の国家を運営している者達ではない。理解し、目標さえ出来れば彼らはその能力を生かしてこの国を更なる高みへと登らせる事が出来る。
この日より、神聖ミリシアル帝国は世界最強の座を捨て全ての技術を基礎から学び始めた。ミリシアル8世の推奨とあれば国民の誰もが表立っては反対しない。この国を長く引っ張って来た人物だ。誰もが基礎を理解する為に勉強を始めた。
これらの成果は直ぐには出ない。神聖ミリシアル帝国は国防に専念しつつそれらを行っていき、脅威が去る頃には一通りの理解に達し、いずれ来る最悪の脅威では劣化品を並べて胸を張っていた国家とは思えない急成長でもって対抗する事になる。
未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して
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原作での登場まで待つ
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作者が想像して書いて
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別のオリジナル国家とかに変更する
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魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了