シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第九十話「バルチスタ沖海戦1」

a.t.s56(皇歴56年)/2/5/8:11 ニグラート連合西部海域

 列強第二位のムーは今回の連合軍に際して機動艦隊を派遣した。派遣した神聖ミリシアル帝国、シーランド帝国と比べれば格下と言わざるを得ないムーだが列強としての意地を見せて約50隻に及ぶ艦隊を集めていた。

 そんな艦隊を率いるレイダーの目から見てシーランド帝国は規格外としか言いようがなかった。彼の眼にはムーの機動艦隊とその横に並ぶ空母を護衛するようにぐるりと巡洋艦と駆逐艦の姿が映っている。

 シーランド帝国は統合軍として集めた艦隊を二手に分けた。一つは主力としてムー・神聖ミリシアル帝国と共にレイフォル州に向けて北上する艦隊。もう一つは別動隊として戦況に合わせて臨機応変に対応する高速艦隊である。別動隊は主力が敵と接敵した場合に後方より回り込んで敵を一網打尽にする役目も担っている為重要なポジションにいた。

 

「神聖ミリシアル帝国が世界最強の座を降りたと聞いた時は何を言っているのかと思ったがこうして見れば納得するしかないな」

 

 神聖ミリシアル帝国が誇る第零魔導艦隊が全滅した海戦とその後に行われたシーランド帝国のジェット戦闘機との戦闘に関する資料は確認していたとはいえあまりにも次元が違い過ぎて理解する事さえ難しかった。しかし、自分たちではグラ・バルカス帝国に手も足も出ない可能性が高いという事だけははっきりと理解できた。

 自分たちがここに居ても邪魔でしかない。それでも派遣したのはシーランド帝国が呼びかけたからだ。

 

『グラ・バルカス帝国と言う傍若無人な国家を列強と言う世界の代表が共同で叩き潰す。そうすることで世界の安定と秩序は保たれる』

 

 国際協調を重要視するウィリアムはそう言った言葉を綴った親書を列強国に渡しており、彼がどのような思想をもっているのかを各国に教える事にもなっていた。

 その為、いくら邪魔になっていようともムーが艦隊を用いて参加するという事に意味があったのだ。これがエモール王国の様に内陸国であれば違ったのかもしれないが海に面し、機動艦隊を持っている以上派遣する事はほぼ絶対だった。

 

「シーランド帝国が転移する前は我々と同じ世界にいたのだろう? ならばシーランド帝国の他にもあのような軍事力を持った国家が存在していたのだろうか……?」

 

 もしそうであるならば彼らにとってこの世界は生温いと感じるかもしれない。とレイダーは1万年前までムー大陸が存在していた地球の事を考えながら敵の攻撃に備えるのだった。

 

 

 

 

 それから約30分後、シーランド帝国の統合軍旗艦であるキング・オブ・ライオネスに乗艦した司令長官フォーブスは手元の懐中時計をチラリと確認すると作戦開始の指示を出した。シーランド帝国は今回の作戦の為に衛星及び潜水艦隊による敵艦隊の監視を行っており、彼らの動きは丸裸と言ってよかった。

 グラ・バルカス帝国が何か動きを見せればそれに対応する動きを即座にとれ、敵の鈍い所を見つければそこに集中的に攻撃できる。シーランド帝国は例え技術的弱者相手であろうと一切の妥協を見せる事はなかった。

 

「ジェット戦闘機を発艦させろ。目標は北方に位置する敵艦隊前衛だ。優先順位は空母、戦艦、巡洋艦だ。駆逐艦は無視して構わない。敵大型艦を優先して沈めるのだ!」

 

 シーランド帝国の目的は敵の海上戦力の消失である。駆逐艦をいくらそろえようともそれだけなら神聖ミリシアル帝国どころかムーにすら対抗できない。その為にはグラ・バルカス帝国の大型艦を尽く沈める必要があった。

 

「敵は70年前の骨董品レーダーと目視、偵察機でのみ捜索が出来る。対するこちらは潜水艦、衛星を使い最新鋭のレーダーを用いるという三重の捜索が出来る。これならば万に一つの可能性でも敗北する可能性はないか」

 

 フォーブスは慢心するなと言われてもしてしまいそうになる圧倒的な状況に力なくため息をついた。実際、この状況でシーランド帝国が劣勢になるためには何らかの()()()()()が必要だ。そうなればグラ・バルカス帝国に劣る神聖ミリシアル帝国とムーでは対処が難しく、敗北する事になるだろうがそんな可能性はほぼ起こらない。しかし、何事にも絶対はないという事をこの後全ての人間に見せつける事になる。

 

 

 

 

 

「っ! 敵戦闘機接近!」

「何だと!?」

 

 ミレケネスが乗艦するヘルクレス級パルサーで真っ先にそれに気づいたのは目視による監視を行っていた兵士からである。レーダーは少し前から使えなくなっており、目視による監視を厳重にさせていた結果が出たと言ってよかった。

 しかし、だからと言って敵の後手に回った事には変わりはない。それ、シーランド帝国のジェット戦闘機はそれぞれが獲物を定めると更に加速してグラ・バルカス帝国艦隊前衛に襲いかかった。慌てたように対空戦闘が行われるが手動での迎撃等当たる筈がなかった。

 そんな彼らをあざ笑うように機銃斉射の間を縫って敵から対艦ミサイルが発射される。対艦攻撃仕様の彼らは一機につき4発のミサイルを積んでいる。それらは各艦艇に2発ずつ直撃していき爆発を起こしていく。

 

「馬鹿な……! 我らグラ・バルカス帝国がこんな呆気なく……! ぐあぁぁぁぁっ!!!」

 

 大型艦を優先して沈めるという関係でミレケネスが乗艦するパルサーもミサイル攻撃を受けた。しかもこの艦のみ4発もの攻撃が殺到し、先頭の主砲、中央付近の副砲、艦橋、後部主砲にそれぞれ直撃してミレケネスは即死。パルサーも巨大な爆発を起こしてあっという間に海の藻屑として海底へと沈んでいくのだった。

 戦艦と空母がそれぞれ5隻いた前衛艦隊は駆逐艦以外を全て沈められた。それも敵の攻撃から僅か1時間内での出来事である。後方からやって来たカイザルは生き残った駆逐艦を吸収しつつ敵の攻撃の激しさに大きな衝撃を受ける事になる。そして、そんな彼らを直ぐにでも次の攻撃が襲うはずだったが天は有ろうことかグラ・バルカス帝国に味方する事になる。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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