シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

91 / 117
第九十一話「バルチスタ沖海戦2」

「馬鹿な……! 何が起こっているのだ!?」

 

 フォーブスは自軍の艦隊に起きた現象に目を見開いて驚いている。彼の周りではマイクや画面に向かって叫んだり、スマホの画面を弄っている者と慌ただしくなっている。その原因は一切反応を示さない画面類を見れば察しが付くだろう。

 ミレケネス率いる前衛艦隊を沈めたジェット戦闘機隊が帰投し、次の攻撃に移ろうと指示を出そうとした時、突如として上空で放電が起きたのである。驚き固まる艦隊だが直ぐに次の現象が発生した。

 

「……駄目です! 全通信機器反応しません!」

「火器管制システムも同様です! コンピューター系が一切反応をしておりません!」

「砲塔は自動追尾システム反応なし! ですが手動による操作は生きています! しかし、全自動対空機関砲沈黙! 及び各ミサイル発射システムと誘導システムが反応しません!」

 

 シーランド帝国に訪れた悲劇、それは突如としてシステムが一切の反応をしなくなるという異常事態だった。それが戦艦から駆逐艦まで全ての艦艇で起こっており、一応訓練をしていた信号灯による各艦艇との連絡を取る事しか連絡する手段を封じられていた。

 

「不味いぞ……!」

 

 フォーブスはこの状況に焦りを感じた。ムーや神聖ミリシアル帝国では通信が出来ない程度でそれ以上の影響はほぼないものの、コンピューター制御に依存していると言っても良いシーランド帝国にとっては致命傷と言える出来事だった。本来の攻撃手段であるミサイルは発射できない上に出来たとしても追尾出来ない、誘導されないという本当に発射する事しか出来ない。砲塔も手動による旋回しかないでため自動の時よりも遅い。しかも主砲を動かす装置は外の様子をカメラなしでは確認できない艦内部に存在する。

 前提としていた衛星や潜水艦隊からの情報提供は出来なくなり自力で敵を探す必要が出てきた。しかし、例え発見できてもジェット戦闘機隊もエンジンはつくがミサイル攻撃は出来ない上に戦闘機を艦内部から出すための昇降機が動かない為飛行甲板に出ている総数100機程しか出す事が出来ない。シーランド帝国はこの状況に陥り、ムーを超える最大のお荷物と化しつつあったのである。

 無論、こうなった場合の対処方法もあるがそもそもコンピューターがやられる際にはエンジンもやられているのが普通でありこのような状況は想定していなかった。

 

「兎に角ムーや神聖ミリシアル帝国にこちらの状況を教えるんだ! それと戦闘機も出すように要請しろ!」

「よろしいのですか?」

「ないよりはマシだ!」

 

 神聖ミリシアル帝国のエルペシオ3やムーのマリンではアンタレス相手に力不足だ。それでも燃料を積んである分しか動かせないシーランド帝国のジェット戦闘機よりも敵を引き付ける囮として使用できるとフォーブスは考えた。

 

「全く……! これが一時的なものでなかった場合我が国にとって最悪の損害となってしまうぞ……! いや、その前にこの海戦を乗り切れるかどうかが先か……」

 

 フォーブスは当初の予定とは全く違った展開に大きな不安を感じながら敵がやって来るであろう北方を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 シーランド帝国で起きていた異変はグラ・バルカス帝国でも感じられた。しかし、神聖ミリシアル帝国やムーと同じように通信手段を封じられた程度でしかなかった。精々がレーダーが使いものにならなくなった位であるが目視観測による砲撃の訓練も積んできている為に何の問題もなかった。

 

「これは敵の襲撃の前触れか? だとするならば空母に艦載機を発艦させるように指示を出せ! そして戦艦を中心に敵に突っ込む!」

「了解!」

 

 前衛艦隊で生き残った駆逐艦の報告から敵がロケットを使っている事は把握している。その為、敵の航空機にやられる前に少しでも艦隊に近づき一撃でも与えられる体制を整える必要があるとカイザルは感じていた。それはカオニアにも通じ、指示通りに空母に発艦命令を出していく。手旗信号と信号灯を用いた通信はシーランド帝国のそれよりも手早く熟練されていた。

 空母9隻から200機近いアンタレス艦上戦闘機が発艦していく。これらは後衛艦隊の頭上を飛行し、敵のジェット戦闘機から艦隊を守る役目を受けている。とはいえレシプロ機で音速を超えるジェット戦闘機を相手にする事など不可能に近い為彼らはジェット戦闘機の襲来で死ぬことが確定している。しかし、彼らは祖国の為にと誰一人として逃げださなかった。

 出来るかは分からない物の攻撃機、爆撃機のパイロットも同じであり、少しでも損害を与えてやると士気を高く保っている。

 そんな戦意が高い航空機隊に反してジェット戦闘機が飛来する事はなく、何のアクションもないまま後衛艦隊は列強国の連合艦隊を目視で確認するまで接近に成功するのだった。

 後にバルチスタ沖海戦と呼ばれるようになる大海戦が始まった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。