シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第九十二話「バルチスタ沖海戦3」

「くっ! 砲雷撃戦用意!」

「砲雷撃戦用意! 主砲発射用意!」

 

 統合軍は何一つとして回復する事無くグラ・バルカス帝国艦隊を目視で確認した。上空にはムーと神聖ミリシアル帝国の戦闘機であるマリンとエルペシオ3が飛行しているがそれはグラ・バルカス帝国とて同じである。彼らは二国の航空機を上回るアンタレス艦上戦闘機で艦隊直上を護衛している。

 

「っ! やはり気付かれたか……!」

 

 グラ・バルカス帝国はシーランド帝国が何らかの不調を起していると感じ取ったのだろう。ぺガスス級航空母艦を始めとした敵空母よりリゲル型雷撃機、シリウス型爆撃機が飛び立っていく。フォーブスはそれを見てジェット戦闘機の発艦命令を出した。僅かな戦闘機で敵の攻撃力を削るためには主要な攻撃手段となりえる敵雷撃機、爆撃機の排除が必要不可欠だった。その為にジェット戦闘機を発艦せずに敵の動きを待ったのである。

 

「後はコンピューターが一切使えない現状で何処まで戦えるかだな」

「それはこちらにも言えますね。コンピューター使用不可の状態で砲雷撃戦なんて難しいですよ」

「それが出来なければ我々は敗北してこの地に沈むだけだ。グレートアトラスターを出せ。あれの主砲はアナログだっただろう? 現状我々の中で唯一まともな戦闘が出来る」

 

 グレートアトラスターが砲撃をする機会は訪れない。そう考えられていた事とそもそも時間が足りなかった事から主砲の操作は元々の物を直して使っていた。伝声管も損傷していたところを直していた為に艦内にスムーズに連絡を行う事が出来る。アナログであったがために現状で最も動ける艦となっていた。

 

「大分予定が狂ってしまったがグラ・バルカス帝国に屈辱を与えるグレートアトラスターを我らが運用してその砲を奴らに向ける。内容に変わりはない。グラ・バルカス帝国よ。自らが生み出した最大の戦艦によって沈められるがいい……!」

 

 フォーブスは元敵の船を頼りにしないといけないという現状になんとも言えぬ感情を覚えつつ、それを上回る敵の船で敵を沈めるという行為に高揚を覚えるのだった。

 

 

 

 

 

 

「あれは、グレートアトラスターか!?」

 

 カイザルはまさかの艦の登場に目を見開いて驚愕した。それは他の乗員も同じであり一様に目を見開いて固まっていた。世界最強と呼び、この世界で様々な伝説を作り上げた戦艦が今、敵の船として自分たちに砲身を向けている。その事実に誰もが怒りと屈辱を覚えていた。

 

「ふざけるな! グレートアトラスターを辱めやがって……!」

「落ち着け。確かに驚きはしたがだからどうしたというのだ? 敵となったのならば沈めるだけだ」

 

 怒りで顔を真っ赤にするカオニアを制止しつつカイザルはシーランド帝国の不可解な動きに疑問を持つ。今のシーランド帝国には東征艦隊と前衛艦隊を沈めた機動性と火力が全くない。それこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。そこまで考えてカイザルは一つの決断に至った。

 

「(まさか先ほどの通信障害はシーランド帝国でも発生しているのか? いや、それ以上の被害を受けているのかもしれん。シーランド帝国はジェット戦闘機を開発する程のテクノロジーを持っている。それらには我々では把握しきれない何かが使われていてそれが通信障害の原因のせいで不調をきたしている? ……この状況で罠と言う可能性は低い。今の段階で考えられる最も現実的なものだ。となれば……)副指令、空母に連絡。雷撃機と爆撃機を上げろと。そして、それ以外の艦艇は砲雷撃戦を始めよと」

「司令?」

「原因は分からないが敵が何らかの理由で攻撃を封じられていると思われる。これはチャンスだ。予想より少ないがシーランド帝国の船が凡そ80、ムー、神聖ミリシアル帝国と思わしき艦艇がそれぞれ50隻。我々より数が少ないとはいえそれでも大艦隊と呼べる数だ。これを全て沈める事が出来れば我々はレイフォル州沿岸の制海権を維持する事も可能だろう」

「……分かりました! 直ぐに命令を出します!」

 

 カオニアもこの一戦がどれほど重要で、今がどれだけの好機かを理解し自ら通信兵に指示を出していく。戦艦の主砲が敵前衛を射程圏内に入ったころ、上空では制空権を巡りアンタレス艦上戦闘機とマリン、エルペシオ3の編隊による空中戦が始まった。しかし、それらはアンタレス艦上戦闘機の完全なる優勢で進んでいた。そもそもマリンはエルペシオ3以下の性能しか持っておらず、そのエルペシオ3はアンタレス艦上戦闘機に性能で負けている。そんな機体で半分ほどの数とは言えアンタレス艦上戦闘機相手に戦えるはずがなかった。マリンとエルペシオ3は楽々と撃墜されて行き、その下をリゲル型雷撃機とシリウス型爆撃機が悠々と飛んでいく。

 しかし、ここでシーランド帝国の反撃が始まった。飛行甲板に出ていたジェット戦闘機約100機が発艦した。新たな迎撃機の登場に攻撃隊は回避行動を取ろうとするがそんな彼らを音速のスピードで以て回避する間を与えずに撃ち落としていく。凄まじい轟音が少し離れたカイザルの乗るラス・アルケディにも伝わって来る。

 

「やはりシーランド帝国はジェット戦闘機を開発していたのか……! それもこの性能、明らかに開発初期とは違う! 音速の中でどうやって戦い抜くかを計算、研究された機体だ!」

 

 カイザルは改めてシーランド帝国の実力に驚かされる。なまじ知識を持ち、頭が回るだけに絶望的な戦力差を身に染みて感じるが同時に敵が本来の力を出し切れていない事も理解できた。

 

「(敵が本領を発揮できる前に叩かなければいけないな……)敵に接近する! 少しでも早く敵を攻撃するのだ!」

 

 カイザルは予想外にも勝利のチャンスが訪れた事で柄にもなく強硬策を執り始める。この動きは列強艦隊を更に苦しめていく事になる。

 約数分後、両者の間で砲雷撃戦が開始された。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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