シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第九十三話「バルチスタ沖海戦4」

「D5級4番艦が被弾! 被害は不明!」

 

 砲雷撃戦が始まり十分。この間シーランド帝国はコンピューターを用いる事が出来ないにも関わらず充分戦闘をこなす事が出来たと言える。たった十分の間にグレートアトラスターが駆逐艦3隻を血祭りにあげており、それに続く様にリヴァプール級巡洋艦が敵に中破大破の損害を与えていた。

 しかし、駆逐艦の一隻が被弾した事を皮切りに一気にグラ・バルカス帝国の反撃が始まった。シーランド級4番艦が挟叉を受け、その直後にリヴァプール級巡洋艦2番艦に雷撃が着弾した。ダメージコントロールさえまともに出来ない今のシーランド帝国ではその雷撃によって生じた穴から入る水を排水する事もままならずにゆっくりと傾いていく。

 制空戦においてはジェット戦闘機の活躍もあり全てのアンタレス、リゲル、シリウスを撃墜するに至ったがそこで燃料が限界を迎えて両者は完全なる二次元での戦闘に移っていく事になった。

 結果としてシーランド帝国がその技術的優位性を押し出す事が出来ずに当初の予定とは反してグラ・バルカス帝国の有利に戦況は進んでいった。

 

「っ! グラスゴーに被弾! ああ、爆沈します!」

「何だと!?」

 

 見張り員の報告にフォーブスは目を見開く。リヴァプール級巡洋艦5番艦のグラスゴーは運が悪かったのか敵戦艦の砲撃を受け、そこが偶々弾薬庫出会った事から誘爆。大爆発を起こしてその船体を海に沈めていった。横向きに倒れ込んだ2番艦より早い撃沈であり、シーランド帝国の振りを如実に表す出来事だった。

 

「くっ! ムーと神聖ミリシアル帝国はどうだ?」

「我々以上に攻撃を受けています……。既に両国の三分の一近くが沈められている様です……」

 

 見張り員が必死に確認をしているが通信が出来ない以上詳細な報告には至らない。神聖ミリシアル帝国が魔導技術の国家であり、カルトアルパス港で神聖ミリシアル帝国の艦隊と合流した際に魔信機を艦艇分受け取っているがそれすらも反応を示していない為に神聖ミリシアル帝国との相互連携がうまく取れていなかった。

 

「神聖ミリシアル帝国の艦艇が何か旗を振っていますが解読不可能!」

「くそっ! これならお互いの連絡手段の確認をするべきだったな……! 仕方ない。我が艦以外の原子力空母とクイーン・グィネヴィア級ネームシップを後方に下げる! 空母は第二次世界大戦時や現代でも最強の攻撃力を持つ艦だ! 敵が狙ってくる可能性がある以上戦闘から少しでも遠ざける!」

 

 ひたすら増え続ける被害にフォーブスは一つの指示を出す。原子力空母はそのエンジンを原子炉であるために沈められれば途方もない被害を出す。ここがレイフォル州沿岸ならまだしもニグラート連合の沿岸である。沈められる、損害を受ける訳にはいかなかった。

 そしてクイーン・グィネヴィア級ネームシップは単に皇帝ウィリアムの心情を考えての後退である。ただでさえ今は亡き皇妃の名前を持つ艦なのである。損害を受けたり、万が一にも沈むような事があればどのような結果を生み出すのか予想する事が出来ない。

 

「っ! 雷跡確認! 本艦に4つ! シーランド級3番艦に5つ接近!」

「何だと? どこにも雷跡など見えないぞ!」

「違います! これらは……、後方からです!」

「っ! 潜水艦か!」

 

 グラ・バルカス帝国とて潜水艦を持っている事はブリテン島の防衛網で沈めている事からも判明している。しかし、潜水艦誕生の黎明期程度の技術や戦術しかない事も確認されている為に何隻来ようとも問題ないと判断していた。こんな状況にでもならない限り……。

 結果、列強艦隊は見事に後ろを取られて挟み撃ちを受ける形になった。それも魚雷を大量に打ち込まれるまで気づかないという最悪の状態で。

 

「回避行動! 敵は無誘導の魚雷である可能性が高い! そうでなくともコンピューターの障害は的にも起きている可能性がある。誘導魚雷など打てないはずだ!」

「了解! 回避行動開始!」

 

 キング・オブ・ライオネスと言う前皇帝の名を持つ原子力空母が沈むような事になれば実際の被害もさることながら様々な方面で大きく混乱と衝撃を受ける事は確実である。それらは何としても避けねばならなかった。

 

「っ! 雷跡通り過ぎます! 回避成功……! 3番艦に被弾! スクリュー付近で爆発2つ!」

 

 旗艦に乗り込んだ見張り員は優秀だった。それが今の回避に形として出ていた。シーランド級3番艦は雷跡に気付くのが遅れてしまい回避行動を取り始めた直後にスクリューに直撃。推進力と後方の装甲を失う事となった。いずれ後方から沈んでいくだろう。

 

「っ! 今度は右から雷跡! 数は……8!」

「……ここまでか」

 

 垂直に向かってくる8つの雷跡。それらを回避する事は不可能に近い。この艦が通り過ぎるか水平になるように左右どちらかに舵を切っても魚雷をやり過ごすには時間が足りなかった。フォーブスはこの艦が沈む事を確信しながら諦めたように瞳を閉じた。しかし、神はこんな状況に陥ったシーランド帝国を見捨てている訳ではなかった。

 

「っ! 雷跡と本艦の間に艦!」

 

 その報告はまさにこの艦を救う言葉であり、同時に誰かを犠牲にしようとしている言葉でもあった。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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