シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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第九十五話「バルチスタ沖海戦6」

「ふむ、やはり通信は出来ないか……」

 

 神聖ミリシアル帝国が誇る切り札、空中戦艦パル・キマイラ1号機に乗り込んだ艦長のメテオスは戦闘区域突入前より行っていた通信が出来ない事を改めて確認した。もしかしたら距離が近づいてくれれば通信が回復するかもしれないという予想は消え去った。

 

「とは言えこちらを知っている同胞の艦隊から攻撃が来る事はないだろう……。シーランド帝国の様子は?」

「損害は出ていますが列強艦隊の中では一番少ないですね。主力艦はほぼ健在です」

「これ以上の損害を出させるわけにはいかない。本来の動きとは大分違ってきているが我々がする事は変わっていない。グラ・バルカス帝国に攻撃を仕掛けるぞ!」

 

 驕りを捨てた神聖ミリシアル帝国の行動は慎重かつ大胆だった。空中戦艦パル・キマイラは神聖ミリシアル帝国内に7機存在しており、その内5機が稼働できる状態だった。にも関わらずパル・キマイラは5機全機が出撃している事から神聖ミリシアル帝国の本気度がうかがえた。

 

「制空戦は共倒れか相打ちか……。轟連式対空魔光砲(アトラタテス砲)の必要はなさそうだが準備はさせておけ。……それで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ええ、問題なく使えます」

 

 メテオスの言葉に部下はきっちりと答える。実際、ここまでに至るまでパル・キマイラはモニター通信をつないだ状態でやってきていた。遥か下で起こっている通信障害、コンピューター系統の動作不良など起こっていないかのように。実際、それらの障害はパル・キマイラに起こっておらず、その理由をメテオスは予想していた。

 

「古の魔法帝国の復活が近いというのは本当だろう。遺跡の一つで似た兵器を発見しているからな」

()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()……。しかしそんなものを持っている、しかも運用できる国などいる筈が……」

「考えられるのは二つだ。一つは今も遥か天空よりこの地を見下ろしている僕の星が何らかの理由。それこそ()()()()()()()の為に発動したか。それか実は我々が知らないところでジャミング装置を運用できる国が存在する」

「っ! 一つ目はともかく二つ目はあり得ません! それならその国は今頃もっと大々的に動いているはずです!」

「否定から入るのは止めたまえ。陛下は驕りをしないように改革をすると宣言された。その為には我々一人一人が今までの常識で全てを判断するべきではない。実際、世界最強と言われていた我らはシーランド帝国とグラ・バルカス帝国に勝てないのだからな」

 

 メテオスは鋭い視線を部下に向ける。元々合理主義で敵味方関係なく全てを偏見なく見る彼はミリシアル8世の言葉に感激し、自ら率先して既存兵器をより知るために学び始めていた。そんな彼からすれば未だに常識内で止っている部下の発言は許せなかったのだ。

 

「兎に角、それが出来るとしたら我々とは一定の距離を持っているか関わっていない国になる。候補としてはアニュンリール皇国辺りが怪しいかもしれないぞ? 北方の島のみを開放して残りの本土である大陸は誰もが訪れる事が出来ないようにしている。とは言え今更動き出すとは思えないがな」

「……分かりました。ですが通信障害の考察より今は敵への攻撃に集中しましょう」

「それもそうだな。では魔導砲発射用意! 我々が味方であるとシーランド帝国とムーに、敵であるとグラ・バルカス帝国に教えてやるのだ! 敵の攻撃にはくれぐれも注意せよ! 我々は通信障害を受ける事無く即座の連携が可能だ! この利点を生かすぞ!」

 

 古の魔法帝国のジャミング装置である以上味方の通信には支障がない様に工夫がされている。あまりにも隔絶した技術ゆえにそのまま使用していた事が吉と出た形となり、パル・キマイラ5機は敵の上空から砲撃を開始した。その動きは敵か味方か迷っていたシーランド帝国とムーにどちら側なのかを理解させた。再びグラ・バルカス帝国に全艦隊からの砲撃が集中する。

 しかし、空中戦艦パル・キマイラの登場とは言えグラ・バルカス帝国が優勢である事は変わりがない。何しろグラ・バルカス帝国は潜水艦を用いた海中からの攻撃をして来る。潜水艦と魚雷の存在を知ったからこそ回避は出来るが攻撃する事は出来ない神聖ミリシアル帝国とムーに、対潜装備が使用不可能なシーランド帝国と一切攻撃する事が出来なかった。

 それでも水上艦艇に関してはパル・キマイラからの砲撃で少しだが優勢になってきていた。流石のグラ・バルカス帝国でも直上のパル・キマイラを攻撃する手段に乏しかった事もあって一方的な攻撃を受けていた。

 

「敵小型艦、中型艦は倒せますが敵戦艦は有効打になっていないようです」

「そんな事は想定内だ。……シビルを投下する。爆風が間違っても味方に当たらないように気を付けるのだ」

 

 戦艦には効果が薄い魔導砲の砲撃を中断したメテオスはそのまま切り札であるシビルと呼ばれる兵器の投下を決めた。それらはパル・キマイラより各1発ずつ投下され、後方にいたグラ・バルカス帝国の戦艦と重巡洋艦計5隻に落ちていき……

 

 

 

「こ、これは……!」

 

 

 

 シーランド帝国の誰もを驚かせる光景を見せた。彼らの視線の先には爆炎に包み込まれる5隻の艦艇とその上に誕生するキノコ雲の姿があったのだから。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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