シーランド帝国召喚   作:鈴木颯手

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間に合った……


第九十八話「海戦の影響2~ムー~」

a.t.s56(皇歴56年)/2/20/13:00 ムー首都オタハイト

 旧レイフォルの属国だったヒノマワリ王国を挟んで領土をグラ・バルカス帝国と接するムーは今回の列強艦隊で最も気合を入れていた国と言える。ヒノマワリ王国はグラ・バルカス帝国の圧力に屈しつつあり、いずれグラ・バルカス帝国の勢力圏と大きく領土を接する事になると予測されていた。グラ・バルカス帝国はムーをはるかに超える技術力と戦力を有しており、その強大な力を向けられれば自分たちでは抵抗する事など出来ないと判断していた。

 その為、この列強艦隊によってレイフォル州内のグラ・バルカス帝国軍の動きを停止させられればと願っていた。シーランド帝国が参加するという事もあってレイフォル州の制海権をグラ・バルカス帝国は喪失し、沿岸部の敵基地も破壊できると予測していていた。

 しかし、蓋を開けてみれば結果は辛勝と呼ぶ事しか出来ないものだった。グラ・バルカス帝国は艦隊の三分の一を確実に生き残らせており、対する列強艦隊はムーと神聖ミリシアル帝国の艦隊は半壊。シーランド帝国も無視できない損害を受けていた。突如として発生したジャミング装置によって引き起こされた結果であったがグレートアトラスターとパル・キマイラの活躍がなければ敗北していた可能性すらあった。そう言う意味では辛勝でも充分と言えるかもしれないが当初の想定を大幅に下回っている事に変わりはない。

 

「シーランド帝国ではコンピューターと呼ばれる演算装置による補助が一般的となっています。今回のジャミングはそれらを一時的に使用不可に陥らせたがためにそれらの補助を前提としていたシーランド帝国は満足に戦う事も出来なかったのだと推測します」

 

 ムー国内において最もシーランド帝国に詳しい技術士官のマイラスがムーの今後を左右する大切な会議にて説明を行う。ここに居るのは軍人だけではなく、国王や政治家も多数参加している。全員が大物であったが軍事方面の知識には疎い。故にマイラスが途中で捕捉を行いつつ今回の海戦で辛勝となった原因を報告した。

 

「……つまり、シーランド帝国は我々を超える、それこそ神聖ミリシアル帝国など足元にも及ばない技術力を持っていますが、それゆえにジャミングによる被害を我々以上に受けたのだと思います。人間で例えるのならムーや神聖ミリシアル帝国を子供だと考え、シーランド帝国を歴戦の軍人と思ってください。ですが今回のジャミングによりシーランド帝国は手足を封じられた状態で戦う事になったという事です」

 

 その状況で多少なりとも戦えている事自体がある意味すさまじいがマイラスの言葉に納得した政治家たちがざわめきだす。

 

「シーランド帝国がそれほどの実力を持っていたのなら彼らを守って沈んでいったラ・カサミも報われるな。ムーの最新鋭の戦艦だがグラ・バルカス帝国の戦艦には敵わないからな」

「だが我々も今まで以上に備える必要があろう? シーランド帝国の基地が建設されているとは言え未だに軍は派遣されていない。グラ・バルカス帝国が先に動けば到着を待つ間に我らは敗北するのではないか?」

「それはないだろう。シーランド帝国によって前々からレイフォル州の補給状況はひっ迫している。侵攻する余裕はないはずだ」

「いや、だからこそ遮二無二攻撃を仕掛けてくる可能性もあるぞ。弾薬や燃料があるのならそれらが無くなる前にこちらを落としてしまえばいいと考えてしまえば厄介だ」

 

 政治家や軍人たちは様々な事を想定していく。しかし、全員が自分たちではグラ・バルカス帝国に抵抗するのは難しい事、シーランド帝国の軍隊の早急なる派遣を要請しないといけないという事は誰もが理解していた。それゆえに、列強二位と言う地位についていながら自国すら自分たちの力で守れないという事実にどうしようもない悔しさが押し寄せてくる。

 

「……文明圏外国のような力を持たぬ国家ならともかく、我らが国防を他国を頼みにしないといけない事になろうとはな……」

 

 ムーの国王ラ・ムーは現状に悲しみを表す。国政に参加する事は出来ず、象徴として慕われるムーの王族であるがだからと言って国政を全く知らないのは問題があった為にこうして会議に出席しているがその結果としてムーと言う国家がどれだけ危うい立ち位置にいるのかを突き付けられている。

 

「ムーがシーランド帝国にとってなくてはならない存在となればムーは安泰だがそれは難しいか……」

「陛下、それはまだわかりませんよ。シーランド帝国は公表していませんがイルネティア王国の王子を配下としています。つまりイルネティア王国はシーランド帝国の属国乃至勢力圏となるのです。その隣国である我らを蔑ろにする程彼らが戦略的、戦術的価値観を理解できないとは思えません。イルネティア王国がシーランド帝国の勢力圏となっている間はムーは少なくとも中継地点として栄える事が出来ます」

 

 ラ・ムーの呟きを拾ったのはマイラスだった。マイラスとしてもシーランド帝国がムーをどのように扱うのかは分からない。いずれ勢力圏に組み込まれる可能性もあるがそれは遠い未来で起こるだろうことであり、直ぐに起きる事ではないと予測していた。

 

「とは言え我々も行動しないといけない事に変わりはありません。シーランド帝国が訪れやすい様に港の整備をするべきでしょう。他にも大小さまざまな所で改革をするべきです」

 

 マイラスの言葉に誰もが頷く。その後も会議は続き、ムーはグラ・バルカス帝国に対する備えを行いつつシーランド帝国との関係強化を推し進めていく事になる。そして、そんなムーを更に追い込む事となるヒノマワリ王国のグラ・バルカス帝国に恭順を示したという一報が入り、第二文明圏を取り巻く状況は更に悪化していく事となる。

 

未だ本編に出て来ない魔法帝国に関して

  • 原作での登場まで待つ
  • 作者が想像して書いて
  • 別のオリジナル国家とかに変更する
  • 魔法帝国ではなくグラ・バルカス編で終了
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