やはり俺がビッグになるのは間違っている?   作:レンス

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ノリと勢いで書いた。後悔はしていない。そして続くかもわからない。


プロローグ

 俺の人生の転機となった高3の夏休み。

 例年なら家に引きこもりだらだらと過ごして終わるはずだった最後の夏休みは、中盤にして人生始まって以来の最大のイベントが待ち受けていた。

 

「八幡、あんたお爺ちゃんと一緒に海外に住んでもらうから」

 

 母親から告げられたその一週間後には、爺ちゃんと一緒にアメリカに移住していた。

 

 断るという選択肢は最初からなし。

 

 なんせ、行く理由が爺ちゃんの昔の恩人との約束であるからだ。

 

 詳しいことは聞いていないが、爺ちゃんには昔から世話になっていたし、初めて祖父から頭を下げてお願いされたのだから、断るなんてありえない。

 

 それに、自慢ではないが、英語を喋れるとカッコいいという話を小耳に挟んで、中学生の時必死に努力したから英語なら余裕で話せたりする。

 

 覚えてから結局腕前を披露することはなかったが、まさかここで活かせるとは、人生はわからないものである。

 

 

 世話になった平塚先生や戸塚、それに雪ノ下達なんかにもお別れを言えなかったのは、心残りだが、突然だったんだから仕方ないと思うしかない。

 

 それに、俺のことなんてすぐ忘れられてしまうかもしれないしな……自分で言ってて悲しいが。

 

 それに、最近妹の小町は、兄妹のものとは明らかに違う感情を持ってきていた節があるから、一度距離を置くのにもいいタイミングだったと思う。俺はシスコンではあるが、性的興奮は一切ないのだ。どっかの千葉の兄妹とは違う。

 

 

 そんなわけで唐突に始まったアメリカンハイスクール生活は、日本の時とは真逆の日常であった。

 

 

 俺が転入することになった学校は、爺ちゃんの恩人が経営している高校で、生徒数が少ないというのが特徴。俺は最初、廃校を免れるため、その経営者が何人かの学生を転入させて生徒数を稼ぐために爺ちゃんに話をもってきたのかとも思ったが、そんなドラマ的なことはなかった。

 普通に爺ちゃんと昔自分の作った学校に親族を通わせるという約束をしていたからだそうだ。まあ、これもある意味ドラマ的と言ったらドラマ的か。

 

 俺からすれば、海外留学なんて考えてもいなかった出来事だった。今思えば、俺はこの時柄にもなく浮かれていたのだろう。

 

 何を思ったか、専業主夫希望であったやる気のない俺が、海外でビッグになるという、なんとも漠然としすぎた目標をかかげてしまった。あの時の俺はハイな気分だったのだろう。

 

 当然、当座の資金なんてあるはずもないので、俺はまずバイトを始めることにした。

 同時に今までの自分ではビッグになるなんて不可能だと思ったため、勉強と肉体改造も同時並行で行なった。

 

 俺は元々自分はやらないだけで、かなりの高スペックだと認識していたが、どうやらそれは妄想ではなかったらしい。

 異世界行ってから本気を出した、某泥沼さんよろしく、俺もアメリカ来たから本気出した結果、想像以上の成果となって俺の頑張りは身を結んだ。

 

 まず、身体能力が圧倒的に向上した。

 毎日適度な筋トレや格闘技を学び、体力をつけるための走り込みや、柔軟運動をこなしたりして、着実と成長していき、高校生活が終わる頃には、通っているジムから総合格闘技のプロでチャンピオンを目指さないかと誘われるレベルになった。

 あれが、おべっかの可能性は限りなく低いだろう。なんせ、俺のスパーリングパートナーは、アメリカ総合格闘技界で名を馳せた元二階級王者の化物であるのだから。そんな男に天才と揶揄されるのだから、やはり俺が高スペックなのは間違っていなかったのだ。

 

 勉強面でも、苦手だった数学を克服し、アメリカでもトップクラスの学力を誇る我が校で最終的にはトップを取ることもできた。

 

 それに付随して、目の腐りも取れたり、猫背が治ったり、背が伸びたり、肉体がたくましくなったり、おまけに顔つきもよくなったりと、様々な要因が重なって、他人から好意の視線を向けられるようにまでなった。

 

 そんなわけで俺は高校卒業前にして、己の高スペック体を存分に活かせられるように準備を整えた。

 

 あとは、ビッグになるだけ。

 

 だが、どうやってビッグになろうか……とりあえず資金は五千ドルまで増えたが、これだけではどうしようもない。

 

 そんなとき、俺は何を血迷ったのか、ギャンブルに走った。

 一等一千万ドルを超える宝くじに全額ベットして、少しでも増えればいいな。なんて頭のおかしい思考をしていた。

 

 だが、アメリカにきて変わったのは意識だけではなかったようで……俺は運勢までもを味方につけていたようだ。

 

 とは言っても、一等が当たったわけではない。

 

 だが、流石はビッグなアメリカの宝くじというかなんというか……俺が当てた金額はなんと五十万ドル。

 

 日本円にして約五千万。投資資金の百倍となって返ってきたのだ。

 

 これが、大学入学の三日前の出来事である。

 

 

 それからは進学した世界でもトップレベルに君臨するカリフォルニアの大学に通いながら投資家兼経営者生活で着実に資産を増やしていき、大学を三年経たずに飛び級で卒業した頃には、三百億ドルにまで到達した。

 

 ここまでくれば、かつてアメリカに来たばかりの時に掲げたビッグになるという目標は達成したと言っても過言ではないだろう。

 

 世界でも有数の新進気鋭の資産家として、富豪界隈でも俺はそれなりに有名になったのだ。

 

 日本においてもそれは例外ではなく、経営不振に陥っていた大手企業に資金援助と経営指南なんかもしたりしていたので、日本のトップも無視できないといっても過言ではない。

 

 現在では世界長者番付では二十五位ではあるが、順調にいけば、来年にはトップテン入りするのも夢ではないだろう。

 

 

 そんな日本にいた頃では想像もつかないような激動のアメリカ生活も、もうすぐ終わりを迎える。

 

 

 既に爺ちゃんは、俺の卒業した高校の理事長と一緒にアメリカから旅立ち、俺も大学を飛び級で卒業してしまったから、アメリカにいる理由がないのだ。

 

 今現在も手掛けている投資や経営などのビジネスは、ネットを通じて行えるし、アメリカにきてからなにかと忙しい生活をしていたので、家族との連絡は一切していなかったから、卒業と同時に日本に帰って親孝行でもしようと思い至ったのだ。

 

 ほとんどほったらかされて育った俺ではあるが、可愛げのない自分を見捨てずに育ててくれた両親には感謝している。なんやかんやで俺がだらだらと過ごせていたのは、両親が汗水垂らして働いていてくれたおかげだからな。

 

 

 もしかしたら変わりすぎてて最初は気付かれないかもしれないな。なんてことを考えながら、日本までのフライト時間を優雅に過ごすのであった。

 

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