やはり俺がビッグになるのは間違っている?   作:レンス

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やはり俺が連絡を怠ったのは間違っていた?

 家族との三年ぶりの感動の再会……とはいかず、やはり俺が変わり過ぎた結果全員が俺を俺だと認識出来ずにへんな空気になってしまった。まあ、予測していた事態だったので、俺は動揺することなく三人に説明をすることに。

 

「どちら様はひでぇな。親父と母ちゃんの息子で小町の兄ちゃんの比企谷八幡だよ」

 

『うそだ!』

 

 某ひぐらしが泣く作品みたいな台詞を三人が投げかけてきたが、俺は折れずに自分が八幡であることを証明するため、家族間でしか知らない事を話していき、数分かけてようやく納得させることができた。

 

「お義父さんから八幡は変わったと聞いてたけど、まさかここまで変わってるとは思わなかったわね」

「いまだにこのイケメンが我が息子だとは思えないぞ……」

「お、お兄ちゃんがそこらのイケメンよりイケメンさんになって帰ってくるなんて……うへへ、お兄ちゃんカッコいいよぉー……」

 

 リビングに移動し、いまだ俺の変わりように驚き続けている三人。

 三年離れれば、小町も俺への感情が元の兄妹のものに戻ると思っていたんだが、どうも余計に酷くなった感がしないでもない。この様子だと彼氏はできていないようだな。

 

 変な男にひっかかって酷い目にあわないことを喜ぶべきか、いまだ彼氏の一人も作らない妹の恋愛事情を嘆くべきか……ここはポジティブ思考で前者を重点に考えておこう。決して問題の先送りなんかではない。

 

 

 

「あー、それで俺の部屋ってまだ残ってたりするか? 残ってなかったらこっちでの家決まるまでホテルにでも泊まるけど」

 

「いつあんたが帰ってきてもいいように部屋は残してあるわよ。まったく連絡してこなかったのなんて気にしてないわよ」

 

 うん、そういう台詞は大抵気にしている人が言うやつですよね、八幡わかってる。

 

「悪かったよ、スマホぶっ壊れて連絡先なくしたり、そもそも生活が忙しかったりして、そのまま忘れてたわ。まあ、なんだ……これから楽させてやるから許してくれ」

 

 これまでろくすっぽ親孝行なんてしてこなかったし、それどころかスカラシップをとっているのを黙って半ば騙して小遣いを稼ぐような馬鹿息子だったからな。

 

「ふっ、まだ社会人でもないくせに中々言うじゃないか八幡。それで、こっちにはどれくらいいれるんだ? 今はまだ大学三年だよな? てか、お前そもそもどこの大学通ってるんだ?」

「何言ってんのお父さん、どうせアメリカの大学の名前なんて聞いてもわからないよ?」

 

 親父から矢継ぎ早に質問されて、そういえば進学先すら伝えていなかったと思いだす。

 

「あー、小町。多分、親父でも流石にわかると思うぞ? 俺の行ってた大学ならな」

 

「そうなのか? と言っても俺が知ってるのなんてハーバード大学、カリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学の世界的にも超有名な大学くらいだぞ?」

「小町もそのくらいしか知らないよ!」

「お母さんも同じね。でも、いくら総武高に通ってたとはいえ、八幡の学力じゃ、そこら辺の大学にはいけないでしょ? だって、東大よりも凄いところばかりじゃない」

 

 日本にいた頃の俺しか知らない三人からすれば当然の感想ではあるが、この反応から察するに、俺が大学名を答えたらまた信じてもらえないだろうな……。

 そうなったらなったで、卒業証書を見せればいいだけだし、さっさと教えるか。

 

「まっ、自分で言うのもなんだが見た目同様に、頭脳面でもあっちに行ってから大分変わってな、親父達でも知ってる中の一つ、カリフォルニア工科大学に通ってたよ」

 

「はははっ、面白い冗談だな!」

「いくら見た目が変わったとはいえ、流石にそれはねえ?」

「お兄ちゃん、見た目は変わったけど相変わらず嘘は下手くそだねー」

 

 案の定誰も信じてくれなかったので、俺は卒業証書をトランクの中から出して見せ、真実を突きつけてやる。だが、それが更なる混乱を招く原因となった。

 

「……どうしよう、息子がガチで世界トップクラスの大学に通ってるんだが?」

「う……そ? 将来の夢を専業主夫とか言ってたあの八幡が、まさかこんなことになるなんてね……」

 

 そもそも英語が読めなかったようで、面倒だが翻訳アプリを使うことにもなったりしたが、ようやく二人は認めたようだ。まったく、通ってた大学を証明するだけでここまで大変な事態になるとは思いもしなかったぞ。

 

「あれ? でも、おかしくない? お兄ちゃんまだニ年生だよね? それなのになんで卒業証書あるの?」

 

「あぁ、それは飛び級で卒業してきたからだ」

 

 小町の一言に何気なく返すと、再度同じようなやりとりをすることになり、俺は帰ってきて早々に軽い目眩を覚えるほどの疲労感を味わうことになるのであった。

 ここからさらに富豪になったことを含めた、アメリカに行ってからの充実した生活ぶりを一から十まで説明することになり、更に疲れを感じたのは言うまでもない事実である。

 

 

 

 

 やはり俺が連絡を怠ったのは間違っていた。

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