やはり俺がビッグになるのは間違っている? 作:レンス
三年ぶりに我が家に帰ってきてから一日が経過し、俺は一年前に購入していた日本での俺の持ち家にやってきていた。
場所は実家から徒歩十分の近場で、新築で五億した豪邸といっても遜色ない……というか普通に豪邸だ。
俺が学生時代にかなりの投資をした新進気鋭の天才建築デザイナーに任せた家であり、この豪邸が建った当時は、誰の家なんだと騒ぎになっていたという。
一番有力なのは、超一流スポーツ選手の別荘という説だったらしいが、残念。元目腐りぼっちの持ち家でした。
これはきっと身体は子供で頭脳は大人のエロガキ探偵でも解けない謎だっただろう。
別に解かれるような謎じゃないとか言う悲しいツッコミはいらない、八幡傷ついちゃうからね。
と、冗談はこの辺にしておいて、早速我が家に入る。
『おかえりなさいませ、八幡様』
出迎えてくれたのは、可愛らしいメイドさん……ではなく、できる男っぽい老齢の執事……でもなく、AIのエインである。
大学在学中に共同開発した人工知能で、世間に出回っているAIの数世代先をいっている俺の最高の相棒だ。
一年経って初めて来たのに埃一つ存在しないのもハウスキーパーとして、お掃除ロボットを操作してくれて居たエインのおかげである。
順調にいけば、来年には現行のエインをモデルとしたAIを世界に発表し更なる資産を獲得する予定だ。
最も共同で開発したため、俺だけの手柄ではないし、その後の研究は他の人間に任せているから費用も同時にかかっているんだがな。それを差し引いても莫大と言える資産が舞い込んでくるし、そもそもエイン自体が掛け替えの無い俺の資産であることはいうまでもない。
それからエインに案内を任せて自宅内を一通り見回った感想は、感動の一言につきる。
豪邸を建てて住んでみたいという子供の頃の夢が叶い感無量だ。
アメリカに住んでいた時は自己所有とはいえマンション住まいだったので、ここまでの感動はなかった。
やはり俺は生粋の日本人であり千葉県民だからだろう。
地元で一際目立つ夢のような豪邸を所有しているというだけで、心がぴょんぴょんする! こんな時は一度落ち着くためにチノちゃん……じゃなくてカプチーノを飲まなければいけない、絶対にだ。
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初めての豪邸ということで、少し変なテンションになってしまったが、カプチーノを飲んで落ち着くと、久々に帰ってきた千葉の町を軽く見回るためにドライブをすることにした。というわけで……
「エイン、表に車を頼む」
『かしこまりました』
エインに指示を出し、地下に収納されているマイカーを出してもらう。
現状世界に一台しかないとっておきの車。
ランボルギーニに人工知能を搭載し、全自動操縦を可能にした夢の車。
値段にすると百億はくだらないが、現状俺のチームが作ったエインでしか操縦ができないため、エインの所有権を持つ俺しか持てないオンリーワンカーだ。
エインの後続AIを発表した時に台数を限定して販売する予定があり、いずれはオンリーワンではなくなるんだけどな。
車に近づくと自動でドアが開く、勿論男の夢開きであるガルウィングだ。
うん、めちゃくちゃカッコいい。
正に男の夢を詰め込んだ車といえよう。
男ではないが、きっと平塚先生が見たら喜びそうだ。
なんだかんだと世話になった恩師は、小町曰く今でも総武高校で教鞭をとっているとのことだ。
まだ独身らしいし、今度ドライブにでも誘ってみてもいいかもしれない。
きっと今の俺を見れば、家族同様間違いなく俺だと認識してくれないだろうけどな。
てか、そもそも別れの挨拶すらまともにしてないし、俺だとわかったら懐かしの鉄拳制裁が飛んでくる可能性大だ。
最も鍛えた俺に素人の拳が被弾する可能性は皆無だから心配する必要はないが。
平塚先生ならお詫びという名目でこの車に乗せてラーメンでも食いにいけば許してくれるだろう。
『八幡様、妹の小町様から連絡が来ております』
そんなことを考えながら感慨に耽っていると、小町から電話が来た。
「つないでくれ」
『かしこまりました』
『あっ出た出た! お兄ちゃーん、今何してるの?』
「おう、暇だからドライブでもいこうかと思って車に乗ったところだ。それで、なんか用事か?」
時刻は既に午後三時を周り、その日の授業が終わった直後だろうし、要件は検討ついている。昨日車を持ってて自己所有している家に置いていると家族に説明した時から、小町も乗りたいと騒いでいたからな。
流石にアメリカ帰りということで朝送ってもらいたいなどと言うことはなかったのだが、迎えにはきて欲しいということだろう。
『そっかそっか。それだったらさ、ドライブがてらに小町のこと迎えに来てくれたりしないかなーって』
案の定俺の予想が当たる。
特に断る理由はないので、俺はすぐに出ることを伝えて電話をきった。
「エイン、総武高校に向かってくれ」
『かしこまりました』
さて、当初の目的とは違うが、総武高校までの懐かしの道のりを楽しむか。