【1500PV突破】チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。   作:IZーARIA-

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ARIA家家系図

(姉)↙三つ子↘(弟)
     (妹)
      ↓
イア → ロク → イオ
長女   次女   長男

↓↑歳の離れた双子同士↓↑

オネ → ワン → オニ
三女   四女   次男
     ↑
    (妹)
(姉)↖三つ子↗(弟)

< < 実 質 六 つ 子 > >



蒼の章第2節:異世界でのオネは遠足前の小学生

 翌朝街の外、どこまでも広がる広野の一本道を歩くイオとオネ。

 イオの背中には身長と同じくらい伸びた長い髪をポニーテールにまとめたイアが気持ちよさそうな寝息を立てておぶられている。その前方にはバックパックを背負って地図を広げながら先頭を行くオネ、昨日イオから討伐クエストの許可をもらい、さらにはお気に入りの日本刀ムラサメまで手に入れたことにより子供の様にはしゃいでいたオネの足取りは…………ものすごくふらついていた。

 

「……お&#ちゃ~ん、そろ*+限か$~……」

 

「あとどれくらいだ?」

 

「&$半分……」

 

「あと半分んじゃん、頑張れ~」

 

「眠い of the デイズ」

 

「自業自得だろ小学生」

 

「しょう%L$せい'&`+ない」

 

 呂律が回らず眠そうに目をこすり、さらには大きな欠伸を連発するオネ。昨日までの元気はどこへ行ったのかと思えるほど差が激しい。その原因は朝、イオが目を覚ますところまでさかのぼる。

 

 ──早朝

 

 いつも通り同じ時間に睡眠から意識が戻ってくる。ゆっくり目を開け窓の方に目を向けると雲一つない青空が目に入ってくる。朝はまだ少し冷えるのか冷えた空気が頬を撫でる。

 こんなに長い睡眠をとれたのはいつぶりだろうか……。そんなことを考えながら視線を正面にすと視界の下の方にナニカが映り込む。

 

「お兄ちゃあああああああああああああああああああああああん!!!」

 

 ──ドスンッ!!! 

 

「ごぶっ」

 

 そのナニかを確認するため視線を落とすと同時にイオのお腹めがけてオネがダイナミックに飛び乗ってくる。

 血反吐を履くように喉にあった空気の塊を吐き出し、内臓に響くような衝撃に悶え苦しむ。

 

「お兄ちゃん朝だよ! 早く起きて! クエスト行くよ!」

 

「……お……オネ…………お、おり……てっ…………」

 

「あっ、ごめん」

 

 ぺちぺちとオネの太ももを叩いていてギブアップを伝えるイオ。オネもようやく状況に気付いたようですぐさまイオの上から降りる。

 

「……とりあえ、ず……そこ……座れ」

 

 お腹を押さえながら上体を起こしオネを正座させる。

 

「あ"あ"あ"……お前な……」

 

「すみませんマジで反省してます」

 

「間違ってもイアにだけはするなよ」

 

「善処します」

 

 ──それにしてもなんで避けれなかったんだか……相手がオネだって分かったからか? それとも…………。

 

 普段ならロクが縛ってきたときのように体が勝手に反応して回避なり反撃なりするのだが、今回は指先一つピクリとも動かなかった。

 自分の体の違和感に疑問を持ち少し考えこむイオだったが、ちらっとオネの方に顔を向けた瞬間もっと気になる変化が視界に入ってくる。

 

「…………オネ?」

 

「なに? お兄ちゃん」

 

「お前、寝たか?」

 

「……寝たよ」

 

「……そっか、ならいいけど」

 

「急にどうしたの?」

 

「いやな、オネの事だから遠足前の小学生みたいに興奮して寝れなかったんじゃないかと思って」

 

 イオが気付いた変化とはオネの目。いつもはきれいな水色の瞳を際立たせるような白目が今朝は真っ赤に充血しており、さらに寝不足であることを強調するかのように目元にはハッキリとクマが出来ていた。

 

「あははまさか~、この歳でそんな小学生みたいなことするわけないじゃ~ん」

 

「そうだよな。俺とイアには九時に寝るように強制しておいて、まさか自分が寝不足なんてことはないよな」

 

「ないない」

 

「だよな」

 

「「あはははははははは」」

 

「「………………」」

 

「「……………………」」

 

「「…………………………」」

 

「…………さて、そろそろ起こすか」

 

 長い沈黙の後イオはベッドから立ち上がると腕を十字に組んで左右交互に肩を伸ばしながら前方のイアのベッドへ向かう。そしていつものようにやさしく起こしてあげるのかと思いきや、ガシッと布団を鷲掴みして勢いよくひっぺがす。

 

「……ん”ん”んっ」

 

 布団を引き剥がしたときに発生した風によりイアの周りから一気にぬくもりが消え、それと同時に肌寒さが全身を襲う。その肌寒さに勢いよくブルっと体を震わせたあと、なるべく外気との接触面を減らそうと極限まで丸まろうとするイア。そんなイアの鼻と口にイオはそっと手を伸ばすと真顔で容赦なく塞ぐ。

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「……!? ぷはぁあああっ!!!」

 

 さすがのイアも呼吸を止められた状態では寝続けられないようで一気に目が覚めるとイオの手を振り払い不足した酸素を補うべく大きく息を吸う。

 

「……はぁ……はぁ……イオ!」

 

「うん、悪いとは思ってる。けど時間だ」

 

 そう言って指さした先ではオネがムラサメを持って準備満タンやる気満々、ウキウキわくわくした顔でイアを見ている。

 

「今なん時?」

 

「六時」

 

「……おやすみ~」

 

「イア、せめて着替えてから寝てくれ」

 

「……んんっ…………Zzz」

 

 寝てていい条件として着替えを済ませるよう言うと早着替えの如く一瞬で私服に着替えそのまま二度寝を決め込むイア。

 ワンがバックパックをイオはイアを背負い酒場へと向かう。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 いつもの酒場に入ると、朝早い時間ということもあって多くの冒険者で賑わっていた。ソロプレイヤーは数えるほどしかおらず、遠征クエストや高難易度ダンジョンに挑むパーティ冒険者やギルドがほとんどを占めている。

 イアは相変わらず寝ていて起きる気配が無いのでイオオネの二人だけでパパッと軽く朝食を済ませてから昼食のテイクアウトをオネに頼む。イオはその間に掲示板の中から今回オネに挑ませるクエストを探し受付に持っていく。

 受付嬢のお姉さんはなんで背中の少女を降ろさないんだろう……と出も言いたそうな顔でイオイアを見つめたまま手元を一切見ることなくすごい速さで手続きを進める。最後に挑戦者の著名を書き目的地を読み込んでもらった地図を買ったら受付終了。

 

「終わったぞオネ~」

 

「こっちはもうち少しかかりそう。そう言えば今日はどんなモンスター討伐するの?」

 

「着いてから教える」

 

 挑むクエストのモンスターは本当に初心者向けなのでオネのモチベーションが下がらないよう名前と特性は伏せる。

 

「えぇ~今じゃダメ?」

 

「こいうのは分からない方が楽しみがあっていいだろ」

 

「そう……かな?」

 

「そんなことより今のうちに地図の見方と目的地の場所の確認するぞ」

 

 イアをテーブルに突っ伏させて先ほど購入した一枚の地図を取り出しテーブルに広げる。地図は緑色をベースとした巻物の様なデザインで紐の先には黒い四角すいのアクセサリーが付いている。

 あえて一番安いヤツにしたので地図上で名前が表示されるのは主要都市や巨大な山脈くらいだ。現在地は地図中央に赤い逆四角すいで表示されており、イオが指さす目的地はこの街を中心に北西の方角、巨大な樹海と街の間に広がる広野内にポツンと不自然に存在している小さな湖を囲っている森。

 小さな森と湖なので地図上に名前は表示されていない。見た目巻物なのにカーナビのような機能を搭載した地図にオネは何回も表裏を交互に確認したり、回してみたり、天井の電球に照らしてみたりする。しかしどの角度から見てもカーナビ機能以外はただの地図。仕組みは魔術らしいがどんな回路を組んだらこんな科学技術と同等のものが完成するのか不思議でならない。

 

「やっぱり異世界の技術って面白いね」

 

「そうだな。ちなみに目的地方面は商業ルートじゃないから歩いていくことになるぞ」

 

「えっ?」

 

「え?」

 

「馬車とかないの?」

 

「ない」

 

「他の移動手段は?」

 

「ない」

 

 目的地は森、それまではずっと広野だが距離がそれなりに離れており、最短距離の一直線で進んだとしてもおそらく一時間以上はかかだろう。

 

「お兄ちゃんおぶって」

 

「無茶言いなさんな」

 

「大丈夫いける」

 

「やめろ定員オーバーだ」

 

 そんなこんな話していると注文していた昼食がピクニックバスケットで届く。それをそのままバックパックにしまいクエストに出発する。

 

 ──そして現在:小休憩中

 

 そよ風に揺れる草原の中でスヤスヤと眠るイア。立ったまま休息をとりつつ周辺を警戒し続けるイオ。イオイアの周りをうろちょろ歩き回りながら手の甲を抓って眠気と戦うオネ。

 

「お兄ちゃんヤバい超眠い、足止めた瞬間寝る」

 

「知るか、オールした自分のせいだろ」

 

「だってしょうがないじゃん、寝れなかったんだから」

 

「イアと言いまだまだ子供だな」

 

 眠気が増しているのか徐々に歩くスピードが速くなるオネ。体動かしたら余計眠たくなるんじゃ? というツッコミは一旦置いておいて引き続き周囲の警戒に当たる。

 

「お兄ちゃん、一回、一回でいいから」

 

「俺、嘘つきはおぶらない主義だから」

 

「けちぃ~~~」

 

 歩くのに疲れたのかオネがイオの肩にぶら下がってくる。なんでこう自分から疲れる体勢になるのか、眠すぎて思考回路が停止しているのかさっきから矛盾した行動ばかりとるオネ。

 

「そもそもあの場面で嘘つく必要なかっただろ」

 

「だって寝てないって言ったら絶対怒るもん」

 

「バーカその程度で怒るかよ」

 

 優しい笑みを浮かべ頬を膨らませ拗ねるオネの頭をわしゃわしゃと撫でるイオ。オネも嫌がるそぶりは見せず犬の様に頭をこすりつけてくる。

 

「ん"ん"っほんと? 怒らない?」

 

「あぁ怒らない、ぶっ飛ばす」

 

「ほら怒るじゃん」

 

「いやほらだって、俺とイアは強制的に寝かされたのに一番体調が万全じゃないといけない本人がオールしたうえに寝不足……ねっ」

 

 容赦なくたたみかけ弾圧してくるイオにオネは耳を塞ぎその場に蹲ると即降参する。

 

「オネもまさか一睡もできないとは思わなかったのっ!」

 

「……何時間寝れれば満足なんだ?」

 

「三……いや、四時間」

 

「今から四時間だと…………昼頃か……四時間経ったら起こすk」

 

「おやすみ!」

 

 イオが言い切る前にごろんっとイアの隣に寝転がると爆速で寝てしまうオネ。

 イオ的には夜遅くさえならなければ何時に挑んでくれても構わないので、ここでの仮眠自体はさほど問題ではない。一番厄介なことは、このまま睡眠不足でモンスターと戦いイオのシナリオ通りの結末を迎えた場合、クエストが終わってから「眠くて全力が出せてなかった」とかなんとか言い訳を言われることだ。

 今回のクエストによって得られることは絶好調で万全な状態に近いほど効果があるので好きなだけ眠らせてあげることに。

 

「…………さてと、結構たくさんいるな」

 

 イアが最初から寝ててくれて助かったと思うイオ、寝ている二人を守るように臨戦態勢へと入る。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 太陽の高さからしてオネが寝てからだいたい四時間後、イオはイアをお姫様抱っこしながらバックパックを背負ったオネを背中に背負い目的地の前まで歩いて来ていた。

 鍛えているとはいえイアオネと大して変わらない細い体つきのイオ。二人とも四十キロ台と体重が軽いとはいえ大して身長の変わらない女の子二人を運んでも汗ひとつ掻かずに平然としている。

 目的地である森の前までくるといったん二人を下ろし、念のため自分の体が汚れていないか確認する。どこも汚れていないことを確認した後オネを起こそうとすると向こうから勝手に目を覚ましてくれる。

 

「ふわ~~~~ぁっ……良く寝た~~~」

 

「おはよオネ、気分はどうだ?」

 

「うん、超元気。ってあれ? こんな森あったっけ?」

 

 目の前に広がる見覚えのない森に首を傾げ少し混乱するオネ。寝起きで錯覚を見ていると思い込んだらしく、いったん目を閉じてぺちぺちと自分の両頬を叩いて意識をはっきりさせる。十秒ほど叩いてから再び目を開けるも変わらず目の前には森がありもう一度首を傾ける。

 

「こんな森あったけ?」

 

「暇だったから運んできたんだよ」

 

「…………お兄ちゃん」

 

 ちょっと事実を改変してそれっぽく伝えるとじっとこちらの目を見つめて小さく呟く。

 さすがにちょっと不自然過ぎたかと思い、万が一勘付かれた時のために言い訳を頭の隅に用意するイオ。

 

「もしかしてオネが起きらすぐクエスト始められるようにしてくれたの!?」

 

「あぁうん、そんな感じ」

 

 しかし現実のオネはそこまで勘が鋭くないようでイオの不安には掠りもせず、むしろ変な方向へ勝手に解釈してくれる。

 イオもかなり都合よく解釈してるなぁっと思いつつ、勘付かれてないならいいかと適当に話を合わせる。

 

「……なんか今日お兄ちゃんが優しい!」

 

「はい? いつも優しいだろ」

 

「イアお姉ちゃん中心にね」

 

「そんなことないぞ、オニに代わりを頼まれてるからな、たまにはオネ基準にもなる」

 

「ホント?」

 

「まぁオニとの約束だからな」

 

 イオは今度は事実を述べる。今まで基本的にイアを甘やかすのはイオ、オネを甘やかすのはオニという風に甘やかし対象が決まっているのだが、オニをロクワンに付いて行かせる際、オニからオネの面倒を頼まれたイオ。

 一応オネの方を優先して甘やかそうとはしているのだが、本能なのかどうしても無意識にイアの方を甘やかしてしまう。

 ちゃんとオネの方にも構っておかないと後でオニに怒られるかもな……とオニとの約束を思い出しながら頑張って善処することを決意するイオ。

 

「ふ~~~ん、()()()()()()のレベルで期待しとく」

 

「普通に期待してないって言えよ」

 

 遠まわしに期待していないと伝えてくるオネだったが、その顔は小さく笑っており本心を全然隠しきれていなかった。

 めんどくさいことになるだろうからあえてそのことは指摘しないが、写真に撮ってオニに送りたいくらい可愛らしい表情だった。

 

「そんなことよりお兄ちゃん。気になったんだけど、オネとイアお姉ちゃんいっしょに運んできたの?」

 

「もちろん。片方ずつ運んでたらどっちかが危ない目に合うかもしれないだろ」

 

「だったら最初からオネも一緒に運んでくれても良かったんじゃ……」

 

「その辺はほら、気まぐれだから」

 

 あまり疲れないとはいえ二人も担ぐのはやはりめんどくさいし、オネに背中でぐっすり寝られるのは何か納得いかない。幸いイオは日頃の行いが良いおかげでこういう時に気まぐれと適当に答えても疑われることは無い。

 

「じゃあその気まぐれで帰りはおぶってくれたり?」

 

 オネの油断による余計な一言を聞き逃さなかったイオによる茶番が始まる。

 

「あぁ~あっ、そんな事言わなければやってあげたのになぁ~、言わなければなぁ~」

 

「待って! 待って! なし、今のなし!」

 

「えぇ~~~」

 

「キャンセル! キャンセル!! キャンセル!!! キャンセル!!!!」

 

「申し訳ございません。当運搬業ではそのような対応は行っておりませんので、ご要望にお答えすることは出来ません」

 

 イアもオネも帰りはどうせ疲れて寝るだろうから運んで帰ることはほぼほぼ確定なのだが、本気で焦っているオネが面白いのでまだまだ止める気は無い。

 

「じゃあ忘れて」

 

「無茶言うな」

 

「聞かなかったことにして、お願い!」

 

「えぇ~~~どうしよっかな~~」

 

 何を言っても拒否ってくるイオに対しオネは最終手段を使うことに。

 

「おねがい、ダーリン」

 

「あぁ~っもう駄目、なにがあっても乗せないわ」

 

 ▶しかしイオには効果がないようだ。

 

 ▶イオオネは目的を忘れている。

 

「あああああごめんなさいごめんなさい」

 

「ダメダメ、もうこれは決定事項、終わり、はい終了~」

 

「お兄ちゃあああああああああああああああああああん」

 

「あぁうるさいうるさい」

 

「おおおおお! にぃぃぃぃぃ! いいいいい! ちゃあああああん!」

 

「そんなことよりほら、とっとと行ってこい」

 

 ここでようやく当初の目的を思い出したイオはバックパックからムラサメを取りだしオネに差し出す。

 イオのこの一言でオネもここに来た理由を思い出したようで「あっ」と呟くがこのまま言い負かされたままでは引き下がれないと意地を張った負けず嫌いが発動し受け取りを拒否する。

 

「やだ」

 

「いや、ヤダじゃなくて」

 

「帰りおぶってくれないと行かない」

 

「目的変わってるじゃねぇか」

 

「さ~どうするお兄ちゃん」

 

 ──どうするもこうするも賭けになってないんだよな……。

 

「そうだな~……じゃあ、俺の手助け無しでクエストクリアできたらおぶってやるよ」

 

 今回のクエストはあくまでオネをここのモンスターと戦わせることが目的なので何もしないでリタイアというのは論外、必然的におぶる一択となる。とはいえ無償でおぶるのはなんか嫌なので超簡単そうな条件を付けてオネを挑発する。

 

「もしかしてオネの事バカにしてる?」

 

「おう、かなりな」

 

 事実ここのモンスターはイアオネには()()()倒せないし、本人は未だに脳内がファンタジーなのか挑発しているのに対して何か裏があるとかの疑いも持たないくらいに思考が単細胞化している。

 それよりもひどいのは未だに自分がモンスターを倒せないことに気づいていないことだ。仮に分かってて挑んでいるならそれはもう何かしらの病気か地球での生活に汚染されすぎた証拠だろう。

 

「そう言ってられるのも今のうちだよ、T◯Sさんもビックリの最速討伐で終わらせるから」

 

 超ドヤ顔で無謀な宣言をしながらイオを指さすオネ。とりあえずモチベーションが下がってない事()()は確認できたので「ガンバ~」と適当に応援する。

 

「それで? 何を倒せばいいの?」

 

「この森にモンスターは一種類しか生息していないから入ればすぐ分かる。そいつを十体討伐できればクエストはクリアだ」

 

「十体とか超簡単じゃん、これならすぐ終わりそう」

 

「じゃあ行ってら~」

 

 やる気満々でムラサメを天高くつき上げながら森に入ろうとするオネを胡坐をかいたまま見送る。しかしこの反応がオネには予想外だったそうでピタリと歩みを止めこちらに振り返る。

 

「えっ?」

 

「なに」

 

「一緒に来てくれないの?」

 

 オネは森には全員で入ると思っていたらしく、一人で行かせようとするイオを目を見開いて見つめる。

 

「なんで?」

 

「えっ?」

 

「えぇっ?」

 

「えっ? えっ?」

 

「えぇ? ……えぇっ?」

 

「えっ? えぇ~? ……えっ?」

 

「いい加減飽きないか?」

 

 ARIA家でよく見られる展開に発展しオネはどこか楽しそうに乗ってくるが、くだらない茶番の無限ループで時間を食わせたくは無いので早めに流れを断ち切る。

 

「えへへ~なんかちょっと楽しくなっちゃって」

 

「いいから行って来いよ。どうせ俺は手伝えないし、イアとここで待ってるから」

 

「あぁそっか……じゃあ行ってくる」

 

 ここのモンスターに遭遇すればクエスト自体は早く終わるので手伝うことの無いイオはわざわざイアを連れて一緒に入る必要はない。

 オネもそれは理解したようでクエストには一人で行くことにする。

 

「クリアできた時の約束も忘れないでね」

 

「約束? なんだっけ?」

 

 そんな約束してたっけ? とわざとらしく聞き返す。

 

「このクエストクリアしたら好きなクエスト挑んでいいって話し! 忘れたとは言わせないよ」

 

「あぁ~はいはい、分かった分かった」

 

 ここに来た目的は忘れてもイオから提示さてたクリア報酬は忘れておらず最後に入念に確認してから今度はスキップで森に入っていく。

 

「さ~て、何秒で帰って来るかな?」

 

 そよ風に吹かれ気持ちよさそうに寝るイアの頭を撫でながらイオはオネの期間を待ちつつ同時にどうやって元来た道を避けて帰るかを考え始める。




はじめましての方は初めまして、ご存じの方はおはARIA。IZです。

チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。通称「チカ異世」。
『蒼の章』第2節ちょっと遅れましたが投稿完了です。

さてさて後書きですが、『紅の章』と『蒼の章』が始まったという事でしばらくはチカ異世の世界観についてアイテムやモンスターの詳細を書いていきたいと思います。

今回は作中でも登場した【地図】について詳しく書いていきたいと思います。
※さらに詳細を知りたい方はコメントしてくれれば追記します。

≪チカ異世の世界の地図≫

≪特徴≫
・一見ただの巻物だが紙と紙の間に魔術回路又は魔法が施してあり立体的に地図を投影する。
・値段が高い物ほど地図がより精密かつ鮮明で地名などの詳細も表示してくれる。
・クエストの受付で希望があればダンジョンや受けるクエストの目的地を読み込んで青い逆三角すいで表示してくれる。

≪素材≫
一般的な巻物と同じ紙でできている。紐の先についている四角すいの飾りはレーダーの機能を持っており地図上に現在地として表示される。

≪入手方法≫
クエストの受付やアイテム屋など冒険関係のものが置かれている店には大抵置いてある。

≪値段≫
100ゴールドから1万ゴールドと幅が広く、特殊なものやオリジナルの機能が付いている物は100万を超える物もある。

≪色≫
3色+αでそれぞれ値段の桁で分かれている。
3桁=緑、4桁=青、5桁=赤、特殊地図=白または黒、オリジナル=製作者が決められる。



この作品はあくまで二次創作ですのでこれを機に本家さんを好きになってくれる人がいたらうれしく思います。

それでは次回
【チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。】
蒼の章第3節:倒せない最弱モンスター
紅の章第3節:真逆の二人と入団試験
それぞれの後書きでお会いしましょう。

布団の誘惑
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