【1500PV突破】チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。   作:IZーARIA-

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ARIA家家系図

(姉)↙三つ子↘(弟)
     (妹)
      ↓
イア → ロク → イオ
長女   次女   長男

↓↑歳の離れた双子同士↓↑

オネ → ワン → オニ
三女   四女   次男
     ↑
    (妹)
(姉)↖三つ子↗(弟)

< < 実 質 六 つ 子 > >



蒼の章第3節:倒せない最弱モンスター

 深い森の中、周囲を警戒しつつオネはどんどん奥へと進んで歩いていく。

 木々の隙間から射す光がオネの髪をオレンジ色に照らす。

 

 ──たった一種類しかいないモンスター…………いったいどんなのが…………

 

 ムラサメをいつでも抜刀できる体制に構えながら目的のモンスターを探す。

 昼間とはいえ森の中はあまり太陽の光が届か無い影響で薄暗く、雑草がオネと同じくらいの高さに伸びて密集しているところもあったり、砕け散った岩石が転がっていたりと人の手が加えられている様子は一切なかった。

 道に迷わないようまっすぐ進んでいくと一本道に出てくる。

 人の手によって切り開かれたようなその道には短い雑草しか生えておらず岩も端の方に寄せてある。

 入口探せばよかったと思いながら今度は道に沿って森の奥へと進んでいく。

 森の中央にある湖まで来ると湖の周りはある程度開けており、お昼寝したくなるような芝生の生えた地面と青くて丸い球体がたくさん転がっている。

 不思議に思いよくよく観察するとその青い球体はうねうねと動いており、中には時折ころころ転がる者や、ぴょんぴょん飛び跳ねたりしている。

 生き物だと分かった瞬間オネは反射的に道横の草むらに身を隠し中からそっと様子をうかがう。

 

 ──あれは…………

 

 ゲーム脳のオネには目の前の物体がとあるモンスターにしか見えない。というより頭ファンタジーじゃなくてもあの見た目でモンスターとなれば大体予想できる。

 

 ──スライム!? 

 

 つまりこの森に生息している唯一のモンスターとはゲームなどで最弱扱いされることの多いのスライム。

 確かに最初のモンスターとしては適任かもしれないが、こうなってくるとイオの発言が気になってくる。

 あれだけ討伐クエストを禁止していたイオがクエスト解禁条件にスライムの討伐なんて選ぶだろうか? そう思うオネの脳裏に一つの仮説がよぎる。

 

 ──もしかしてスライムが最強の世界? 

 

 最弱モンスターが最強の作品だってあるのだから可能性としては十分あり得る。

 しかしその可能性はオネの記憶によりあっさり崩壊する。

 それもそのはず、酒場でイオはこのクエストを初心者用の掲示板から取った。仮にスライムが最強の世界ならそんなクエストが初心者用になるはずがない。

 これによりスライム最強説は秒で除外された。

 

「他に何か可能性は…………」

 

 クエスト解禁条件がスライムの討伐である必要性を模索する。

 

 ──たまたま対象がスライムだった? 

 

 イオの性格でたまたまということは絶対にないだろう。今回はスライムでなければいけない理由がどこかにあるはず。

 

 ──ではスライムである必要性は? 

 

 最強でもないスライムをなぜ条件に使ったのか。

 本当に勝たせたくないなら今のオネでは絶対に勝てない上級クエストのモンスターを選ぶのが普通だが、その場合こちらが一方的にダメージを受けてしまう。イオに限ってそんな初歩的なミスをするはずがないし、そもそも家族が傷つくことは絶対に避けるしやらせない。

 つまりあのスライムによる攻撃でこちらが身体的ダメージを負うことはないと予想できる。

 オネはこれまでの経験やイオの性格から、このスライム相手ならこちらが一方的に勝てる相手だということを確信する。

 そして勝てる相手ということは……

 

 ──お兄ちゃんは最初からクリアさせる気でいた? 

 

 それだと今日の今日までクエストに行かせてくれなかった理由は? 

 手首が捻じ切れんばかりの見事な手のひら返し。気が変わった? その理由、原因は? 

 

「…………って、なに無駄なこと考えてるんだろう」

 

 ようやく自分が『イオの思考を読み取る』という無謀な行為をしていることに気が付く。

 イオと心理戦をして勝てた存在なんて一人しかいないというのに…………。

 どんなに考えても結果が変わらないのならこれ以上は時間の無駄。

 一旦大きく深呼吸をし、本来の目的に集中する。

 イオは言葉巧みにはぐらかすことはしても、こちらが()()()()()()()()約束は絶対に守ってくれる。

 つまり、たとえこのクエストをクリアすることでこちらが不利になるような策を練っていたとしても約束である好きなクエストへの挑戦権は必ず貰える。

 

 スライムたちもイオレベルの危機管理能力は持ち合わせていないのか、まだこちらには気づいていない。

 

 ──ちょっと数は多いけど、スライムだし問題ないでしょ。問題はこの体が正常(イメージ通り)に動くかどうか……

 

 不意打ちを狙うため気づかれないように息をひそめ抜刀の体制で初撃を放つタイミングを伺う。

 

 ──…………今ッ!!! 

 

 一匹のスライムが目の前真正面に来た瞬間…………ッンっと息を止め、ダンッと地面を強く踏み込みその反動を前進する運動量へと変換する。

 草むらから飛び出すと同時に一瞬で間合いを詰めスッと流れるような動きでムラサメを鞘から抜く──、

 ことが出来なかった。

 

「…………あれ~~~?」

 

 何故か抜けきらないムラサメに視線を落としそのままフリーズする。

 原因は明確、刀身に対して腕の長さが足りていなかったこと。

 それもそのはず、オネの身長の三分の二以上もあるムラサメが居合で抜けるはずがない。意味のない背伸びをしながら腕を限界まで伸ばすが刀身が鞘から抜けきることはなかった。

 見つけたときから分かっていたはずなのに、どうしても居合でかっこよく決めたかったオネはついつい調子に乗って格好つけてしまった。

 

「………………」

 

 抜刀は諦め、今度は完全に刀身を抜いてから鞘を足元に放り投げると霞の構えをとり改めて狙いを定める。

 一方スライムはというと、突然草むらから飛び出してきたオネには一切反応せずそのままぴょんぴょんと跳ねて通り過ぎていく。周りにいる他のスライムも同余にオネには全く反応を示さずのんびりしている。

 

 ──もしかして気づいていない? 

 

 どんなに近づいても逃げることはなく、そのへんに落ちている木の枝で突っついても全くの無反応。進行方向立ちふさがっても足にぶつかったあとは向きを変えて進むだけでこちらに興味は示さない。

 見たところ目や口といった顔のパーツは存在せず鳴き声も発さない、若干透けた青い体は柔らかくぷにぷにしていてまさにスライムそのもの。

 

「これなら余裕かな」

 

 とりあえずいつもゲームで使っているお気に入りのモーションを真似て次に手前を通りかかったスライムに斬り掛かる。

 ビュンッと空を斬る音と共に、スライムの体を上から下へ一刀両断する。切られたスライムの体はボトンッ、ボトンッと地面に転がり落ち、ムラサメの切っ先から露が弧を描きながら飛び散る。

 

「よしっ、まずは一匹!」

 

 仲間が真っ二つに斬られたというのにスライムたちは逃げもしなければ反撃もしてこない。

 こっちの世界のスライムはそういう性格? 生体? なのだろうか? 

 変わらずマイペースにのんびりしているスライムたちに少し疑問を持ちつつも二匹目を横薙ぎで斬り伏せる。

 続けざまに三匹、四匹、五匹…………調子に乗って次から次へと斬り伏せていくオネ。

 

「これでっ、十 体 目 ! ! ! 」 

 

 あっという間にクリア条件である十匹を無双し、投げ捨てた鞘を拾うとピュッと刀に流れる露を払い納刀する…………と同時に異変に気づく。

 一番最初に斬り捨てたスライムの体が二つともうねうねと動いているではないか。

 

「…………うっそ~」

 

 驚きと混乱、そして絶望の混ざった声が自然と口に出る。

 悪い予感のしたオネはすぐさま今まで倒した残り九体のスライムたちも確認する。

 振り返った先には斬り捨てたスライムたちの体がバラバラに転がっていた…………がっ! それらすべてがうにうに、うねうねと動き出しそれぞれが新しい一個体のスライムとして元通り飛び跳ねたり転がったりして動き出す。

 

「…………プラナリ……ア?」

 

 オネの脳裏に最強再生能力を持つ生命の姿が真っ先に思い浮かぶ。

 斬ってもそれぞれが新しい一個体として再生する様はまさにプラナリアそのもの。

 とはいえスライムがそんなチートレベルの能力を持っているなんてありえない…………と思いたいオネだが、ついさっき目の前で起きた光景のせいで認めざる負えない状況になっている。

 

 ──スライムには斬撃は効かない

 

 しかしそれだとオネにスライムを倒す手段はない。

 ↓

 そうなるとこのクエストのクリアは絶対に不可能。

 ↓

 つまりオネがクエスト挑戦権を貰うことも無い。

 

「そんなのヤダッ!」

 

 どうしても認めたくないオネは確認の意も込めて十一匹目に斬りかかる。

 しかし結果は変わらず、どんなに小さく斬り刻んでも小さいスライムが量産されるだけで一向に倒すことはできない。一応打撃の有効を確かめるためグーパンも試してみたが破壊力がスライムボディにすべて吸収されこちらもダメージにはならない。

 

「絶っっっ対ありえないっ!!!!! …………ありえない……」

 

 現実を嫌というほど突き付けられ、ついに心が折れてしまったオネ。

 潔く諦め一本道をダッシュで戻っていく。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「お兄ちゃあああああん!!! お兄ちゃあああああん!!!!!」

 

 森を出て迂回し、イオイアと別れた場所まで戻ってくると二人はバックパックを枕にしてカップルの様に二人並んでお昼寝をしていた。

 スライムについてイオに聞きたいことがあるオネだったが、こうも幸せそうに寝ている姿を見ると起こしにくい。とはいえ自然に起きるまで待っていると日が暮れそうなので、イアを起こさないように慎重にイオだけを揺すって起こす。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、起きて~ねぇお兄ちゃ~ん」

 

 オネが騒がしい声とは裏腹にゆさゆさと小さく揺するとイオは直ぐに起きて体を起こす。

 

「おっ、終わった?」

 

「終わったじゃないよ、なにあのスライム!」

 

 イオはワンと違いイアを起こさないようになるべく小声で話す。

 

「なにって……スライム?」

 

「オネの知ってるスライムと違いすぎるんだけどっ!」

 

「そんなことは無いと思うぞ、ここにいるの普通のスライムだけだし」

 

 なに言ってんだコイツとでも言いたげな顔でバックパクからクエストの紙を取り出し見せてくる。

 たしかにクエストにはスライムとしか書かれておらずアドバイス欄にも『クソ雑魚ナメクジ』としか書かれていない。いったいあれのどこがクソ雑魚なのだろうか? 紙に記載されている情報は全て実際に戦ったオネには理解不能だった。

 そしてクソどうでもいい事だが、こっちの世界にもクソ雑魚ナメクジという概念があることに少しだけ驚いた。

 

「斬っても分裂するスライムなんて聞いたことないんですけど!!!」

 

「まぁそれがスライムの特性だからな」

 

「……特性?」

 

 ──特性:スライムボディ

 あらゆる物理攻撃を無効化する。(ただし魔力を含む攻撃は例外)

 またその物理攻撃が斬撃の場合、無効ではなく分裂し、肉片ひとつひとつが新しいスライムとなって復活する。

 

「…………なにそのチート能力」

 

 イオの説明によりようやく斬っても斬っても倒せない原因が分かった。

 そういう事ならあの理不尽的状況にも一応納得がいく。しかもこうして説明されるとますます初見殺しのチート能力にしか聞こえない。

 

「なに言ってんだ、こんなの常識だろ」

 

 ──…………オッケ~脳内検索、常識とは? 

 

 こんなことも知らないのかとちょっと引いているイオに、なに言ってるんだコイツはという視線を返す。

 ただでさえこの世界のモンスターには無知なのに、詳細すら教えてもらえなかったら物理攻撃無効のスライムが常識なんてぶっ飛んだ答えに普通はたどり着けるはずがない。

 そう不満に思う一方でこんなに凄い特性を持ってるのにクソ雑魚ナメクジといわれてしまうスライムが少し可哀想に思えてきた。

 

 ──…………あれ? 最弱のスライムがこのレベルってことは…………いやっ、考えないでおこう。

 

 今の精神状態でこれ以上深く考えると立ち直れる気がしないと判断したオネはスライムについてもう一つ気になっていたことを尋ねる。

 

「じゃあどうやって倒すの?」

 

「スライムは純粋な物理攻撃以外なら何しても倒せるぞ」

 

 再びイアの横に寝転がると目を閉じて一つアドバイスをするイオ。

 

「物理以外…………魔法……とか?」

 

「魔法とか」

 

「もしかしてお兄ちゃん魔法使えるの!?」

 

「使えない」

 

「じゃあイアお姉ちゃんが使えるの?」

 

「使えない」

 

「だれが使えるの?」

 

「誰も使えない」

 

「じゃあどうやって倒すの?」

 

「倒せない」

 

「クエストどうするの?」

 

「諦める」

 

「お兄ちゃんはなんでこのクエストを選んだの?」

 

「討伐対象がスライムだったから」

 

 表情一つ変えずに即答するイオの意図が全く読めず頭の中が『?』で埋め尽くされるオネ。

 なぜ倒す手段が無いと分かっていてこのクエストを選んだのか。しかも対策や奥の手は一切なし、既に諦めモードに入っている…………というのは一旦置いておいて、オネにはそれよりも気になることがさっきの一連の会話にあったことにかなり遅れて気づく。

 

「…………待って、お兄ちゃんなんでスライムの特性知ってるの?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「………………」

 

「………………」

 

 オネに質問されたイオはその質問には答えず閉じていた目を開けジッとオネの方を見つめる。そして数秒見つめたあと無言のまま満面の笑みをオネに向ける。

 言葉は無くても返答としては十分、静かにムラサメに手をかてもう一度質問する。

 

「お兄ちゃ~~~んっ♪」

 

「おう、なんだ~オネ?」

 

「お兄ちゃんはスライムの特性知ってたの?」

 

「of course」

 

 こちらを煽っているのか? いやイオが流ちょうな「of course」を使ってくるときは大抵煽っている時。つまりこれは完全に煽っている証拠。

 全く反省の色を見せないイオに今度はオネが満面の笑みでムラサメを抜きイオの喉元に突き付ける。

 対してイオはいつも通りすました顔で両手を上げるだけで抵抗は見せない。そしてそのまま二人ともフリーズする。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 ──ぐぅ~~~っ

 

 こんな緊迫感のある状況でもオネの腹時計は正常に機能しているようで十二時を知らせる空腹が襲ってくる。

 

「ふやぁ~~~うにゅ~……ごは……ん」

 

 オネの腹時計が鳴ると同時にイアが猫語のような可愛らしい声を出して目を覚ます。

 

「おっ、起きたか」

 

「おはようイアお姉ちゃん」

 

「う~ん、おはよ~…………」

 

「よく寝れたか?」

 

「んん~、いま……にゃんじ~?」

 

「ちょうどお昼だ」

 

 イアが起きたとたんオネを完全無視してバックパックからレジャーシートとピクニックバスケットを取り出し昼食のセッティングを始めるイオ。

 バスケットの中身はサンドイッチで、パンはサンドイッチ用の耳無しとバゲットの二種類。具材は卵や野菜、肉、フルーツなど定番のものから変わり種までいろんな種類がある。

 

「おいしそう…………じゃなかった。お兄ちゃん! まだスライムの件が終わってないんだけど!!!」

 

「どうしたのオネちゃん? そんな大きなこ…………えっ!? オネちゃん何やってるの!?」

 

 一瞬超おいしそうなサンドイッチに意識が持っていかれかけたがなんとか自力で戻ってくるオネ。

 それと同時にようやくこちらの現状に気づいたイアが慌ててイオオネの間に止めに入る。

 ついさっきまで数ミリ開けるのがやっとだった瞼はぱっちりと開いておりピントの合っていたなかった目には混乱が見て取れる。

 

「聞いてよイアお姉ちゃん、お兄ちゃんがね──、」

 

「オネちゃんその前にそれ下ろして、怒っててもそんなことしちゃダメ」

 

 オネの言葉を遮りイアが超珍しくお姉ちゃんらしい注意をする。

 

「だって、お兄ちゃんスライムに斬撃効かないの知ってて黙ってたんだよ!」

 

「正確には魔力のこもっていない純粋な物理攻撃全てな」

 

「ほらあああああ!!!」

 

「え~~~っと…………イオ? そういう事はちゃんと伝えておかないとダメでしょ」

 

 おそらく……いや、絶対話の九割以上が理解できていないイア、さっきまで焦り散らかしていた顔はアホ顔に変わっており、ぽけぇ~っとしながらフリーズしているので今の会話を全く処理できていないことが一目で分かる。

 しかしイオが意地悪していることだけはなんとなく理解できたのだろう、イアがイオに注意するという珍しい絵図らが完成する。

 

「でもイア、どっちにしろA()R()I()A()を持ってるオネはスライム倒せないんだぞ。教えても教えなくても一緒だろ」

 

「そっか」

 

「イアお姉ちゃん!?」

 

 ムラサメを放り捨て、スライムと戦ってる間に催眠でもかけられたのかイオの言葉に秒で納得するイアの肩を勢いよく揺すって目を覚まさせる。

 

「お姉ちゃん騙されないで! お兄ちゃんはスライムに危険性がないのをいい事に、何も知らないオネの反応を見て楽しむつもりだったんだよきっと。そうでしょお兄ちゃん!」

 

「そうなのイオ?」

 

「いやっ、全然っ」

 

「違うって」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛もう! イアお姉ちゃん!! 少しはお兄ちゃんを疑ってよ!!!」

 

 イアにイオを疑うという選択肢は存在しない。いや、存在はしているのかもしれないが最終的には必ず上手い具合に丸め込まれてしまう。

 イオ本人はイア第一主義のだからそれを利用してイアに何か変な事をする……ということはないだろうが、今回の様にイアを半強制的に味方につけてこちらに数的有利をとってくるなんてことはよくある。

 なぜイアを味方につけるのかと言うと、イオとの口論に勝てる可能性があるのはイアだけなのでイアがイオ側に着いた時点でこちらの負けが確定するのだ。だから何としてもイアをこちら側に引き込む必要があるのだ。

 個人的に今回は負けたくないので絶対にイアを味方に付けてやろうと必死になるオネ。

 

「…………イオ、嘘ついてるの?」

 

「俺がイアに嘘ついたことなんてあったか?」

 

「ない」

 

「つまりはそういう事だ」

 

「オネちゃん、イオは嘘ついてないよ」

 

「はあああああぁぁぁぁぁ……もういい……うん、もうそれでいい」

 

 イオへの信頼が異次元すぎるせいで下手な小細工なしでも全く疑うことなく言葉を鵜呑みにしてしまうイア。

 こうなってはもう埒が明かない、なにをしても無意味だと思い知らされたオネは、本日二度目、心が折れる。

 先ほど放り捨てたムラサメを納刀しレジャーシート目掛けて脱力しながら崩れるようにうつ伏せで倒れ込む。

 

「あああ……ダンジョン行きたかったなぁ~…………ダンジョン…………ダンジョン……モンスター……冒険…………ダンジョン…………ダンジョン…………」

 

「さて、食べますか」

 

 搾り取るような声で無念と嘆くワンを放置し、イオイアは手を合わせいただきますの挨拶をする。

 

「イオ、オネちゃんが推しキャラ当てられなかった時の十倍くらい落ち込んでる」

 

「なに? それは重症だな。オネ、食べないのか?」

 

「…………食べる」

 

 飯でも食って忘れようぜとイオがサンドイッチを差し出すとオネは体を起こし落ち込みながらハムスターの様にどんどん食べていく。

 そして今ままでの落ち込みレベルを大幅更新したオネのブルーモードは一週間以上続いた。




はじめましての方は初めまして、ご存じの方はおはARIA。IZです。

チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。通称「チカ異世」。
『蒼の章』第3節お待たせいたしました。

さてさて後書きの世界観についてですが今回は――、

今回は作中でも登場した【バックパック】について詳しく書いていきたいと思います。
※さらに詳細を知りたい方はコメントしてくれれば追記します。

≪チカ異世の世界のバックパック≫

≪特徴≫
・ポーチから巨大リュックサイズと大きさがいろいろある。
・性能が高い物ほど大きくいろんなものを入れられる。
・中は五次元構造になっていて四次元空間一つに付き一種類入れることが出来る。
・バックパックには入り口にさえ通ればどんなに大きくて長い物でも入れることが出来る。

≪素材≫
革製がほとんど。技術が発達した国とかでは合成繊維が使われているとの噂。

≪入手方法≫
クエストの受付やアイテム屋など冒険関係のものが置かれている店には大抵置いてある。

≪値段≫
1000ゴールドから10万ゴールド。基本的にサイズが小さいものが安い。

≪色≫
購入時好きなカラーリングにしてくれる。
単色だけでなく模様や柄を付けることもできる。



この作品はあくまで二次創作ですのでこれを機に本家さんを好きになってくれる人がいたらうれしく思います。

それでは次回
【チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。】
蒼の章第3節:夢魘
紅の章第3節:ギルド『ユグドラシア』
それぞれの後書きでお会いしましょう。

しゃばっでぃーば
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