待っててください!我が主様!   作:あざみ野瑠奈

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別名:裏1話

綾小路sideになります。


第3話

東雲水樹という女子はあまり世間一般の常識を知らない俺から見ても変わった奴だ。

だが、俺のここでの初めての友人である。

最初の出会いはバス。と、言っても彼女は入学試験で俺の事を1度見ていたらしいが。

そんなあいつはバスでの騒ぎの中心人物と言っても過言ではなかった。あいつの隣に座っていた男子高生…高円寺が拒否をした優先席の譲渡。その後にすぐ譲ったのがあいつだった。

聞こえた会話からしてテンションが高いのだろうかと思った彼女。様子を見るに彼女は高校女子の平均身長より低いらしく(余談だが、俺は高校男子の平均よりは高い。)恐らく身長差が20㎝以上ある俺とあいつが会話する機会があれば必ず見下ろすことになるのだろう。制服同じということは俺と同じ学校の新入生だ。

閑話休題。

その時からテンションは結構謎と言っても過言ではなかった。俺の隣の席の奴とは真逆と言ってもいいだろう。バスで老人女性の為に声を掛けていた女子高生…櫛田と会話している様子もなんというか…説明し難い、下手したら変人扱いを受けそうなタイプと言ってしまいたいような、不思議な感覚を覚えた。

だが、会話の途中、バス車内を見渡した時。

 

「…?」

 

あいつは俺を認識した途端、フリーズしたかのように固まった。

勿論…というか、述べるまでもなく、あいつは俺を見ていたらしいけど、俺としてはバスが初対面だ。見られる覚えがない。

1度目を反らした先の女子高生…現在は隣の席の奴だが…が何故自分の方を見たのかわからなかったの同様、何故自分を見て固まったのかがわからなかった。

しかも、固まり過ぎて櫛田に大丈夫かと聞かれる始末。

だが、俺はそいつの目を見て更に動揺した。

闇―あいつの目を一言で言い表すのに最適な言葉はこれだと断言出来る。まぁ、影と言い換えてもいい気はするが。

髪の色と同じ灰色の左目とそれよりも濃度が高い黒い右目、世間一般に言われるオッドアイの両目には光は感じられなかった。

まるで光に当たることを拒否しているような、光とは真反対の位置にいるかのような。

俺も世間一般的には死んだような目と例えられても可笑しくはない目をしている自覚はあるが、あれは俺と似て非なるものだ。

境界が曖昧な瞳孔、瞳に反射して映る映像すらも真っ暗にしてしまう黒とグレーのグラデーション。もしにらめっこなんかをしたらあいつは絶対勝つだろう。もしかしたら俺ですら勝つのは怪しいかもしれない。

目は口ほどに物を言うという諺に全く合わない目を持っている。―そんな、瞳。

ホワイトルームでの同期で、最後まで残ったのは俺だけ。もしかしたら脱落者という可能性も捨てきれない。用心に越したことはないのかもしれない。

そんな不安は自己紹介の時、一瞬だけではあるが、消えかけていた。

まぁ―なんというか…警戒すべき人間がテンション高めでドジな、何処にでもいそう…とは思えないが元ホワイトルームにいた脱落者とは到底思えないような人間に見えてしまったのだ。

 

「え、えーっと、入試の日にね、貴方の事をちらっと見えて、かっこよくて…かにゃ痛っ!」

 

バスの隣に座っていた奴が同じクラスの隣の席というなんとも奇妙な偶然で少し会話していたときに櫛田と一緒にやって来たあいつはまさかの前の席。

これまた奇妙な偶然と共に途切れた隣の奴との会話。

少しでも情報を得ようと話し掛けた時の返答がこれだ。しかも、様子を見るに演技等ではなく、素。つまり、俺に対して何か企んでいるという意思はない、と言うことだ。まぁ、何か隠しているというのは最初の吃り方を見るに確実だが。

そんな会話で可能性は低いのかと思いきや

 

「私の名前は東雲水樹です!前はよくきーちゃんって呼ばれてたからきーちゃんって呼んでほしいな!目下の悩みはたまに一人称がバラバラになることで、好きなことと得意なことはかくれんぼ!家の事情で中学時代は離島で過ごしていたから最近の流行りとかには疎いかもしれないけど、それでも仲良くしてくれたらいいなぁーなぁんて。スポーツはあまり出来ないかもだけど、離島暮らしがあった分、運動神経は自信あり!これからよろしくなのです!」

 

確かに方の人と比べてあまり変わらない。強いて言うのであれば情報量が多いということ。

だが、この自己紹介には疑問点が多々ある。

先ず1つ目。情報量の多さ。

確かに自分のことを知ってほしいという自己顕示欲からくる願いに直結して多めの情報を出しているという言葉でこれは簡単に片付けられる。―普通なら。

最初の会話で俺に対して何かを隠していることはバレバレだ。更に、先程は特に記述しなかったが、あいつは櫛田に対してもあまり情報を開示していなかった。声こそ普通に周囲に配慮していたが、生憎俺は耳がいい。会話が聞こえてしまうのは仕方ない事だ。

そう。俺だけではなく、櫛田にさえも情報を開示させない。それによって自己顕示欲という線は排除できる。

さて、この問いに対する俺の推測は『敢えて偽、又は開示しても構わない情報を多く開示することで本当に重要な情報を隠しているのではないか。』ということ。

あくまでもこれは推測なのでこればかりは追及が出来ないというのがあれだが。

そして2つ目。中学時代は(・・・・・)離島で過ごしていた。ということ。

そのままに情報を鵜呑みにすることは可能だ。

だが、考えてみてほしい。もし、転勤族と世間一般的に言われる存在である家族の都合で引っ越しをする場合、離島、しかも流行りがわからない程田舎の土地に引っ越すか、答えは、否だ。

だいたい転勤族は大概第三次産業と呼ばれるタイプの職に多く見られる。離島で目立つ職業はだいたい第一次産業だ。つまり、一致しない。さらに…ここからは俺自身も外の世界に疎いので一部矛盾や情報不足があるかもしれないが、基本的に離島であろうがある程度の情報を得ることは可能である筈だ。でなければここの存在を知ることは出来ない。…まぁ、もし、小学時代は(・・・・・)街、離島よりも都会と思える土地で過ごしていてそこで情報を得ることが出来たというのであれば例外なのだが。だが、俺は今までの知識の中に流行を知ることが出来ないが人が住む事が出来る土地という物は殆ど(・・)ない。

更にだ。先程と少し被るが、中学時代は離島で過ごしていたが(・・・・・・・・・・・・・・・)小学時代は離島で過ごしていない(・・・・・・・・・・・・・・・)つまり、小学時代、街に住んでいたとは言っていない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

確かに、あの言い方は暗に小学時代は街に住んでいたという意を含ませる事が可能…というかほぼその意を込めるのが一般的だろう。だが、その世間一般を利用して他の意…小学時代から街に住んでいない(・・・・・・・・・・・・・・)という事を嘘を吐かずに言うことが出来る。

俺は最後まで残ったが為にリタイアした者がどうなるかなんて知らないし、どうでもいいが、もし、リタイア後も普通の日常生活を送ることが許されずに何処か隔離していたら…。先程の推測も間違っていないことになる。

あいつは手段を選ばない人間であるということは息子として、あいつに教わった一実験体として重々承知しているつもりだ。もしかしたら俺をここに通わせようとした松雄も今どうなっていることやら…もしかしたら自害等で死んだかもしれない。

それほど俺に執着している。生徒の1人や2人、送ることは難儀でもない…否、流石に国の教育機関だから2人は難しいか。だが、1人位は余裕だろう。

そんな考えと共に警戒していたら自己紹介後も驚かされた。

 

「それよりもそれよりも!綾小路くん、私と友達になってくれませんか?あ、友達という対等な関係が嫌なら上下関係付けていいよ!勿論綾小路くんが上で私が下。奴隷になるよ?」

 

突拍子もないというのはこの事かと深く実感した。

俺に関わる為に友人関係を結ぼうとするのはわかる。だが、なんだ奴隷とは。

しかも、辞書の記述や先人達の歴史で存在していた奴隷と同じ意。俺に尽くすということだ。

俺は自由の為に事なかれ主義を貫くつもりだ。もし、俺を引き戻すのであれば、平穏を壊すというのが普通であろう。…まぁ確かに俺に変な印象を与えてクラスから孤立させようというならある意味最高のやり方とも言えるが。

まぁ、俺自身もあいつの情報は得たかった。流石に奴隷は断ったが、俺としては仮初めの友人関係を結ぶことにした。

 

…さて、何故こうも長々とあいつ…東雲のことを述べているかと言うと、

 

「綾小路くん!入学式も終わりましたし、買い物行きません?荷物持ちとして同行しますよ?寧ろ、他人に自分の所有物を持たせるということが嫌でしたら構いませんし、なんなら財布代わりでも!」

 

…どうやらまだ奴隷になることを諦めていないようで。

 

「お前、やっぱり俺に変な印象を与えたいのか?別に買い物行くのはいいが、流石に女子に荷物持ちはさせられないぞ。」

「じゃあ、私が財布g…」

「にもしない。」

 

言葉の途中で反論する。どうやらショックを受けて…は?

何故ショックを受けているんだ?

…本気で奴隷になりたいとか…変わっているんだな…。

 

俺は先の行動で流石に疑いを晴らすことにした。

流石に刺客の者が奴隷になりたいというのは本心から思うなんて無理がある。そして彼女の感情表現には嘘は見られない。感情ということを知識でしか知らない俺でも流石にわかってしまう。

…彼女は心から俺の奴隷になりたいという事を。そこに余計な感情や事情は含まれていないという事を。

 

「せめて友人として、一緒に行くぞ。」

「…っ!はい!」

 

だがまぁ、退屈はしなさそうだ。それに奴隷云々を抜いてもどうやら東雲は俺と買い物に行きたいらしい為、それさえも断るのはお門違いだろう。

だから、友人として、対等な関係として買い物への同行を許可した。




綾小路くんのような文面って書くの難しいな…。

他のよう実作者を本当に尊敬します。

生憎私は学校でも成績優秀者ではないので天才の思考には再現限度がありますが…。

そして、最初刺客と間違えられる水樹。違います。闇口兼零崎です。ただの奴隷になりたい奴なのです。

…本来でしたら綾小路くんの一人称は『オレ』らしいけど、ここでは俺とさせていただきます。ご了承ください。

事情があり、変更が出来ないので、後日事情の解決後、訂正します。
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