川山出版社 日本史B・改訂版 第14章「日本大震災と復興」 作:神山甚六
『太陽の黙示録』(たいようのもくしろく)は、日本の漫画作品。平成14年(2002年)日本大震災により、日本政府が南北に分裂したという設定に基づく仮想戦史である。ファンの間では「日本三国志」と呼ばれている。
海外一時避難民や大震災経験者からの聞き取り取材に基づく、圧倒的なリアリティは、海外の文芸評論家や、大震災を経験していないアフター2002世代から、高い評価を受けた。一方、実在の人物や宗教団体をモデルとしたキャラクター描写をめぐり、複数の裁判を起こされるなど、批判も根強い(→太陽の黙示録に関する名誉棄損裁判一覧を参照)。
概要【編集】
中学館の日本大震災50年追悼企画として、週刊漫画雑誌「スモールコミック」に読み切り版として掲載された。読み切り版の表題は『5分後の世界』。読者アンケートで好評だったことから、連載が決定。8月10日の「スモールコミック」(中学館)2052年16号から、第1部「群雄編」連載が開始。2058年2号の第124話で終了した。翌3号からは、第2部「建国編」の連載が開始され、2060年21号の第63話が最終話となった。
第50回文化省メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞するが、実在の政党や政治家が実名で登場する点や、皇室の描写に対する批判がネットを中心に盛り上がり、国会において問題となった。(→表現規制問題のページへ)
あらすじ【編集】
2002年に発生した日本大震災により、本州は新たに誕生した日本海峡によって、東西に分断された。天文学的な経済損失とインフラの消失に加え、2500万人の死者・行方不明者、1000万人の国内避難民という未曾有の大災害に、日本政府は独自復興を断念。米中両国が参加した復興委員会の下で、国家再建を進める決断を下した。
2003年8月。札幌の日本臨時政府では、親米派の
ここに、アメリカの支援する
南日本は、アメリカ主導の復興が進むが、経済格差の深刻化と移民の流入による多民族化が進み、事実上の共和国となる。北日本では中国の影響力が強まり、人民解放軍を背景にした汚職と腐敗が蔓延。柳拓磨が病気により引退すると、後任の
長引く復興の停滞は、南北の分断を決定的なものとした。一時避難民として海外に渡った700万人は、復興事業の停滞と南北対立の激化により、そのまま難民や棄国者として見捨てられた。避難長期化は、現地社会と邦人社会の亀裂を生じさせた。
2017年4月。アジア最大の日本避難民を受け入れていた台湾において、日本人排斥運動に伴うクーデター未遂事件が発生(台湾危機)。親日感情の強いとされていた台湾で発生した反日暴動は、南北日本世論に衝撃を与えた。台湾危機を契機に、在外邦人社会の窮状が日本国内で報道されると、日本民族主義が台頭。現状に対する不満を背景に、南北統一機運が高まった。
2017年12月。北日本において、南北統一に消極的な
2018年1月。
あわや全面戦争の危機かと思われたが、
南日本政府の首席補佐官
北日本における政争に敗北した旧琢磨派は、既望の会と共に、
2020年。独自のバイオ技術開発により、グレイ・エリアでの食糧自給体制と農地開拓に目途をつけた北日本民主化グループは、欧州諸国からの資金援助を受け、欧州避難民500万人の日本帰還計画を発表。南北対立により、帰国事業が凍結されていた欧州避難民社会は、帰還計画を熱狂的に支持した。
北日本民主グループは、巧みなメディア戦術により国際社会の関心を集めながら、第1陣である希望者10万人の帰国を開始。
グレイ・エリアの主権を主張する南北両政府は、北日本民主化グループの行動を「テロリスト」「分離独立主義者」として激しく非難。グレイ・エリアの不法占拠者を取り締まる姿勢を示したが、双方ともにグレイ・エリアの管轄権を主張して譲らなかった。
グレイ・エリアを巡る南北日本の対立が、米中の軍事衝突に波及することを恐れた米中両政府は、国際安全保障理事会の特別委員会を、旧東京で開催(東京会議)。南北両日本政府と、グレイ・エリアの代表も交えた委員会において、アメリカ国連大使ロドリゲスは「南北両政府の承認を条件として、暫定統治としての自治政府の設置」「国連平和委維持軍のグレイ・エリア派遣」を提案する。南北両政府がロドリゲス調停を受け入れたことで、武力衝突は回避された。
自治政府は日本再生特区と名称を改め、非武装中立を宣言。北日本、南日本と合わせて3つの勢力が対峙する構造が生じた。
東京会議の後、北日本融和派の復興委員長が更迭されると、北京は札幌政府の締め付けを強めた。国際社会から独裁体制を批判された北日本政府は、外交的孤立を深めた。一方、民主体制を維持する南日本政府は、フランスの支援によって、国際会議にオブザーバー参加を果たすなど、国際社会の承認に向けて先んじた。日本再生特区は、欧州避難民の200万人の帰還を実現。国連平和維持軍の存在を背景に、南北両政府に余剰穀物を輸出することで、特区の独立を維持した。
2026年。気候変動を原因とする世界的な食糧危機を背景に、南日本政府は穀倉地帯として再生しつつあったグレイ・エリアへの進駐を計画。国連平和維持軍の撤退と同時に、再生特区と連携していた武装勢力の海峡同盟取り締まりを名目に、グレイ・エリアへ軍事侵攻を開始。また日本海峡における北日本海上自衛隊の護衛艦爆発事件を契機に、北日本軍と本格的な軍事衝突に入った(第2次海峡危機)。
南日本国防軍は日本海峡海戦で勝利したが、直後に再生特区指導者の指導者
第2次海峡危機の終結後、北日本は日本再生特区に行政権の返還を求めたが、再生特区側はこれを拒否。再び武力衝突が発生する(北関東戦争)。駐留人民解放軍の協力を得られなかった北日本自衛隊は、またもやゲリラ作戦を展開した特区自治警備隊に敗北し、再生特区の自治権を改めて承認した。南北日本との戦闘によって再生特区が受けた被害は大きく、耕作地の3分の1が焼失。5万人以上の死傷者が出た。
再生特区の法務委員会は、
2032年。軍事費拡大による民間経済への圧迫が深刻化した北日本では、民主化運動が再燃。第3次天安門事件により人民解放軍が撤退したことで、政権は崩壊。旧民主化グループによる臨時政権が樹立された。札幌臨時政府は、南日本政府を正統政府として承認。海峡区を首都とする統一日本政府が発足した。初代首相には
政治的に孤立化した日本再生特区の
内容をめぐる論争【議論】
フィクション漫画であるにもかかわらず、仮想戦記としての完成度の高さから、同作品は論争の対象となった。歴史学会からも「明らかな事実誤認と脚色が認められる」として、度々批判された。
大震災復興期の実在の人物や政党が多数登場する華やかさと、モデルの人物とは異なる描写に、遺族や関係者からは不満が噴出。特に既望の会の教祖と同一人物として描かれた故
2055年3月。同作品のアニメ制作が中止された経緯をめぐり、関係者から「民自党からの圧力があった」という匿名の内部告発が新聞によせられた。民自党はこれを否定したものの、日本ペンクラブが抗議声明を発表。表現の自由をめぐる論争に一石を投じた。
二次創作に関する論争【議論】
連載中から、多数の同人小説や作品が発表されていた太陽の黙示録は、最も成功した二次創作の原作とされる(誰?)。
2060年末の各務原ビックサイト(新東京ビックサイト)において、男性漫画家が、第2部建国編の「太陽の黙示録・新訳」を発表する。あらすじは「柳絃一郎暗殺が失敗していた」というものであり、再生特区主導の日本統一を迎えるという結末であった。
中学館のコミックのデザインを模倣した表紙に、作風や絵柄まで告示した同作品は、同人作品ながら異例の話題となり、3万部を超えるヒットとなった。出版権と著作権を管理する中学館は、これを問題視。著作権侵害にあたるとして、2062年4月に内容証明郵便を送り、販売中止と回収、ネット公表の中止を要請した。最終的には弁護士の協議により、同人誌の売上金の一部を中学館に支払うと同時に、保有在庫の破棄と再発防止の確約、謝罪により決着した(→「太陽の黙示録・新訳同人誌問題」を参照)
和解成立後、中学館は二次利用に関する規約を策定。同社が著作権と出版権を有する作家と作品の著作物の二次的著作物に関する規定を細かく定めた。
・この世界観を前提とした、歴史教科書風小説です。