超次元偶像二宮飛鳥のセカイ   作:関ち出張所

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≪Observation by P≫

 

 飛鳥が帰宅して一息ついたところを狙ってメッセージを送信する。

 すぐに『OKだ。楽しみにしておくよ』と返ってきた。騙しているようで、ほんの少し心が痛む。

 全ての予定は計画通りに進んでいる。何のイレギュラーも起こっていない。起こってくれていいのに全く起こらない。というか、イレギュラーになってしまう前に俺が潰してしまっているんだけどな。やはりしばらくは台本通りの進行らしい。

 しかし、約二か月後に何があるというのか……? そこから急に台本が読めなくなってしまっている。それが本当であれば諸手を上げてカーニバルするところだが、何か違う気がする。窮屈さは依然としてある。

 

「やっぱコレが関係してんのか……?」

 

 胸ポケットから取り出した()()を見てみる。面毎に色が異なる小さな立方体。目の振られていないサイコロみたいなもの。

 これを手にして間もなく、台本が変わっていることに気が付いた。明らかに無関係じゃない。

 これが俺の思う通りの物ならすぐにでも使ってみたい気持ちはある。だが、今は使う理由がない。台本通りはムカつくが、現状これが最善手であることは間違いないんだから。それは結果的には岡崎ちゃんにとっても同じ。

 使う理由あるとすれば俺の好奇心だけ。自己満足に飛鳥を付き合わせるのは流石に忍びない。

 

「それと……アイツか………」

 

 向かいの部屋のちょっとよくわからないプロデューサー。いやマジでなんなんだろうアイツ……?

 面白いっちゃ面白い。でも俺の求める面白さとはまた別なんだよなぁ……。

 

「まぁとりあえず」

 

 台本が途切れるところまではこのままでいこう。

 

 それから俺は青木の明ちゃんに、明日以降のレッスンについて送信した。

 

 

 

 

 

 

≪Observation by 蜈?ココ蠖「≫

 

 セカイ線の内側――3+1次元の空間――に受肉を果たしてからおよそ一か月半が経った。

 これは以前の私にとっては瞬き以下の短い時間のはずだが、今の私には決して短いとは感じられなくなっている。認識能力と価値基準が肉体の影響を受けているらしい。

 そういえば()()などという尺度で時間を捉えようとしたこと自体が、肉体の影響を受けている証左だ。

 受肉前には肉体と呼ぶべきモノは無く、したがって瞬きをするという概念さえなかったのだから。

 

 認識能力が肉体の制約を受けている所為で、受肉前の一部の情報については思い浮かべることさえ非常に困難になっている。

 上の次元に居た時には総てが感覚的、同時的、有機的に認識できていたのに、今記憶として保持できているのは()()()()()()という文字情報だけ。大部分の情報は文字化けのような状態になっていて、言語化不能になっている。

 

 受肉後にいくつかの想定外はあったが大勢に影響はない。

 今はまだ、あの子に力の使い方を教えることに専念しよう。

 

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