剣と本の保育士   作:クレナイハルハ

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六冊目,正義の在り方

 

 

翔太side

 

 

「それじゃ、また明日ね」

 

「はーい!」

 

「せんせーさよーなら!」

 

そう言って最後の園児達が帰っていくのを手を振って見送る

 

今日もみんな笑顔で過ごせていた、みたいでよかった

 

明日は何の話を読みにきかせて上げようかな

 

そんな事を考えながら園の入り口の扉を閉めて鍵をかける

 

「さて、今日の晩御飯は何かな~」

 

そんな事を呟きながら廊下を歩いているとちょうど片付けが終わったのかアタランテと合流した

 

「アタランテも終わった?」

 

「あぁ。そう言えば翔太、今日体験入園してたアビゲイルちゃんなのだが、入園する事が決まったぞ!」

 

「本当に!やったね、子供達の笑顔が増えるよアタランテ!」

 

「あぁ、このままどんどん入園してもらって園も大きく出来たらいいな!」

 

「そうだね!」

 

話しながら廊下を歩いていると向こうからトタトタと走る音が聞こえてくる

 

「おかーさーん!」

 

みると、ジャックが走ってきていたのでナーサリーの時と同様にしゃがんで受け止める

 

「どうしたの、ジャック?」

 

「何かあったのか?」

 

「セイバーが寝てた人が起きたってー!」

 

そうか、彼が起きたのか

 

「わかった、ありがとうジャック。アタランテ、ジャックと先にご飯食べててくれ」

 

「わかった、行こうかな」

 

そう言って手を繋いで行くアタランテとジャックを見送り僕は家側の客間へ向かい扉を開く

 

そこにはベットで上半身を起こした状態の少年がいた

 

「やぁ、体は大丈夫かい?」

 

「あなたは?」

 

「僕は剣 翔太、君が倒れてた保育園の園長さ」

 

取り敢えずそう言って笑顔を向けてからベットの近くの椅子に座る

 

「いや、驚いたよ。君は園の前に身体中にまるで斬られたかのような傷だらけの状態で倒れてたからさ」

 

そう言うと、少年は困惑した表情を浮かべる

 

「保育園の前に、ですか?」

 

「うん、所で一つ質問をさせて貰ってもいいかい?」

 

「はい?質問ですか?」

 

「なぜ君は園の前に傷だらけで倒れていた?そして何故()()()()君と同じ顔なのかな?」

 

そう言うと、少年

 

衛宮士郎の姿をした少年は驚愕の表情を浮かべる

 

園に運ぶときは急いでいて気付かなかったけど、治療しているとき気付いた

 

少年は衛宮君とうり二つだったのだ

 

顔だけではなく体格までもが

 

唯一違うとすれば、肌の所々が褐色になっている事のみ

 

「…………」

 

「何か、理由があるのかい?」

 

そう言うと彼はなにか決意したかのように頷くと言った

 

「こんなこと言っても、きっと信じて貰えないと思うんですが─────」

 

そう言って彼が話したのはとても、驚く内容だった

 

彼は、この世界と並行して存在する世界の衛宮君らしい

 

このままだと紛らわしいから、イリヤスフィールちゃんの兄の方は衛宮君

 

こっちは士郎君と呼ぶことにしよう

 

なんでも並行世界ではイリヤスフィールちゃんではなく、朔月美遊と言う子の兄らしい

 

そしてその子は完成された聖杯、らしい

 

なんでも人の願いを無差別に叶えてしまうとか

 

その子を連れ去られた士郎君は

 

美遊ちゃんを救うため、たった一人で立ち向かった

 

更には受け継いだ理想すら捨て、妹を別世界に転移させるため

 

英雄王の力を宿した者と戦った

 

聖杯に願った

 

それを聞いて僕は涙を流してしまっていた

 

思わず士郎君を抱き締める

 

「しょ、翔太さん!?」

 

「よく頑張ったね、士郎君。君は本当に、本当に……………良く頑張った」

 

そう言って彼を離して頭を撫でる

 

「君は凄い………君は悪なんかじゃない、本当の正義の味方だ」

 

「止めてください、俺は正義の味方を名乗る資格なんてない」

 

そう言う彼の目には少し迷いと後悔があった

 

「あのね士郎君、ある本の主人公が言ったんだ」

 

「え?」

 

「『たとえ、世界を敵にまわしても守るべきものがある』ってさ。その主人公は妹を守るために、世界を敵に回したんだ」

 

「世界を敵に………」

 

「もう一つ、ある物語の主人公が言った『誰かの正義は、誰かの悪ってこともある。おまえたちの正義と、オレの正義が同じとは限らない』これは君に会う言葉だと思うよ」

 

「そうか、俺は間違ってなんて……いなかったんだ。答えは得た、ありがとう翔太さん」

 

そう言って憑き物が落ちたかの様に笑う士郎君は、僕の知るちゃんとした笑顔だった

 

「うんうん、やっぱり子供は笑顔が一番だな」

 

すると、扉がガチャと空いて二人分の食事を持ってきた紅閻魔入ってきた

 

「ご飯が出来たでち………取り込み中だったでちか?」

 

「いや、ちょうど良かったよ。ありがとうセイバー」

 

「残さず食べるでちよ、貴方もでち」

 

そう言って紅閻魔ちゃんが退室していく

 

「取り敢えず、食べようか」

 

「すいません、治療だけじゃなくて飯まで」

 

「いいんだよ、士郎君はまだ子供なんだから大人を頼りなさいって」

 

そう言って二人でご飯を食べる

 

そう言えば、あのルヴィアって子があのこの事をミユって呼んでたような?

 

もしかして、士郎君の妹はこの世界に?

 

でも、こんな奇跡ってあるのか?

 

食べながら、僕は考え取り敢えず士郎君に話してみることにした

 

「士郎君、実は君の言っていた美遊ちゃんだけどね少し心辺りがあるんだ」

 

「っ!?本当、ですか?」

 

僕の言葉に思わず食べていた箸を止める

 

「うん、いま冬木市にはクラスカードと言う物が会ってね。それを回収するために、イリヤスフィールちゃんとミユと呼ばれてた子が戦ってるんだ」

 

「イリヤと美遊が………」

 

「そして僕はそれを手伝っている。よかったら美遊ちゃんに時間を作って貰おうか?」

 

「美遊とは、まずは会ってみます。あの、さっき言っていたクラスカードの回収って、俺も手伝えませんか?」

 

「悪いけど、士郎君は戦える体じゃないんじゃ無いのか?」

 

「だ、だけど剣一つぐらいなら」

 

「相手はサーヴァントだ。それに君がさっき言っていた通りなら投影魔術を使うことすら難しいんじゃ無いのかい?」

 

そう言うと、士郎君は黙り込む

 

「君が能力を使わないで戦う一つ方法がある」

 

前の世界で妹を守るために戦ったかれなら

 

子供に、戦わせたくないけど彼の決めたことなら

 

そう思い、僕はそう口を開いた

 

「本当ですか!?」

 

「だけどその前にご飯を食べよう。残すと起こられるしね」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからご飯を食べ終えた僕らはアリスちゃんの元に来ていた

 

「あら先生、どうしたの?それにその人は、目が覚めたのね!」

 

「あぁ、お陰様でね」

 

「アリスちゃん、悪いんだけど前に言った僕の記憶にあるもう一人の青い剣を使う方のドライバーと本を投影してくれないかな?」

 

「もしかして戦うの?その人も」

 

「あぁ、妹を守るためならなんだってするさ、俺はそうしてきた。だから頼む、妹を守るためにどうか力を貸してくれ」

 

「むぅ、そこまで言われたらやるしかないわ」

 

そう言ってナーサリーライムは一冊の本を取り出して広げる

 

「いくわ『誰かの為の物語』」

 

アリスちゃんが宝具を解放すると、本のページが光を放ちながら開き

 

止まると聖剣ドライバーと一冊のワンダーライドブックが現れる

 

「出来たわ先生、それとお兄さん」

 

「ありがとうアリスちゃん」

 

そう言って頭を撫でてから、僕は青い柄のついた剣が納刀されたベルト

 

そしてワンダーライドブックを受け取り士郎君に指しだす

 

「士郎君、これは僕も戦いで使っている力。聖剣ソードライバーだ、これがあれば君は魔術を使わず戦う事ができる」

 

「聖剣………」

 

「そしてその剣の名前は水聖剣流水(すいせいけん ながれ)

 

「水聖剣流水、それに聖剣ソードライバーか。聞いたこと無い魔術礼装だ」

 

それはそうだ、僕の前世の記憶から投影した

 

なんて言えないので剣の説明に入る

 

「そして聖剣ソードライバーの力を使うにはこのワンダーライドブックがいる」

 

そう言って僕は先程ナーサリーが投影してくれた青いワンダーライドブック

 

ライオン戦記のページを開く

 

ライオン戦記!

 

『──この蒼き鬣が新たに記す

       気高き王者の戦いの歴史──』

 

「な、なんか特撮のヒーローみたいだな」

 

「まぁ、そうだね。さて、これの使い方は外に出て説明するから着い来てね。アリスちゃん、投影ありがとう、あとでケーキ買ってあげるよ」

 

「まぁ!嬉しいわ嬉しいわ、凄く嬉しいわ!絶対よ?楽しみにしてるわ!」

 

そう言って僕は士郎君に変身や戦闘の仕方を教えるため部屋を出て円の外に出た

 

 

 

 

 

 




次回、士郎君変身!?

この世界の衛宮士郎と美遊兄の見分け方
衛宮士郎→衛宮君
美遊兄→士郎君



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仮面ライダー聖刃の強化フォームついて

  • 初期形態を貫く
  • ワンダーライドブック追加

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