ようやくネタが思いつきました! ただ、このネタのせいでまたルウィー編が伸びてしまう予感が…。
とにかく、本編へどうぞ!
刀哉side
「雪合戦大会?」
朝食を食べ終わり、ブランに今日の予定を聞いたところ、今日はルウィーで雪合戦大会が有るらしい。
「…ええ。その大会に特別ゲストとして招待されてるの。ロムとラムも連れて行くつもりよ」
「つまり、俺は留守番か?」
「…いえ。流石にそれは申し訳ないから、刀哉も参加してみたらと思ったのだけど」
「俺が?」
正直雪合戦にはあまり良い思い出がない。なんかいつも顔面に当たっていた気がする。
「…少し普通の雪合戦と違うけど、基本ルールは変わらないし、大会開始まで参加者の受付はしてるから刀哉でもすぐに参加出来るわ」
「うーん…。まあ、そう言うことなら出てみるか」
「…それじゃあ、早速街に行きましょうか」
「えっ? もう大会始まるのか?」
「…大会が始まる時間は二時からよ。それまで街を少し案内しようと思って」
「なるほど。わかった。ロムちゃんとラムちゃんも一緒に行くのか?」
「…ええ。そのつもりよ」
「そうか。それじゃ、二人を呼んでくるから、先に出かける準備しといてくれ」
「…わかったわ」
俺はブランの部屋から出て、二人を呼びに行った。
――――――――――
「お姉ちゃん! 刀哉お兄ちゃん! 早く、早く!」
「早く行こう…!」
「わかった! わかったからあまり離れるなよー!」
二人は年相応にと言うか、凄くはしゃいでいた。別に良いんだが、離れ過ぎてはぐれないか心配だ…。
「…ごめんなさい。後で二人に注意しておくから」
「良いよ、そんなことしなくて。二人とも年相応で可愛いじゃないか。別に注意することなんてないだろ?」
「…刀哉。あなたってまさかロリk――」
「それ以上は言わせねぇ」
「じょ、冗談よ」
俺の殺気を感じたのか、ブランはどもりながらも発言を訂正する。
「ったく。俺はノーマルだっつーの」
彼女いない歴=年齢だけども…。
「…? 何泣いてるの?」
「……なんでもない」
いつの間にか心の涙が表に出てきてしまったみたいだ。
「にしても、妹ってのはこんなに可愛いものなんだな」
「…? 急にどうしたの?」
「いや、俺って一人っ子なんだよ。いとこは結構いたけど、全員が年上だったからな。だから、妹がいるブランが少し羨ましくなったんだよ」
「…そうなの。でも、毎日面倒を見てると大変なのよ」
「……確かにな」
昨日だけでかなり疲れたしな。毎日一緒にいるブランの疲労はかなりのものだろう。
「でも、なんやかんや言っても大切なんだろ?」
「…ええ。もちろんよ。二人とも、私の大切な妹たちよ」
ブランは微笑みながらそう言う。普段はあまり表情に変化がないから、俺はついついその微笑みに見入ってしまう。
「…何? 人の顔をジロジロ見て」
「…い、いや、なんでもない」
俺は慌てて視線を前に向ける。だが、その時気づいたことが有った。
「あれ? ロムちゃんとラムちゃんは?」
先程まで視界に(遠いけど)ちゃんと入っていた二人がいなくなっていた。ブランと話している間にどっかにいったのか!?
「早く捜さねぇと!」
俺は走り出して、ブランも続いて走り出す。しかし、すぐに俺に声をかけてきた。
「…待って、刀哉」
「なんだよ! 早く見つけないと!」
「…今通り過ぎた店にいたわよ」
ズザアァァァァ!
俺はその言葉で力が抜けて、バランスを崩してしまい、そのままヘッドスライディングしてしまう。熱っ! 顔、熱っ! 俺は痛みを堪えて立ち上がり、ブランに声をかけられた位置まで戻る。
「「「………」」」
「? おい。どうしたんだ三人とも?」
三人は店のある一点を黙って見ていた。俺も視線を向けてみると、そこには、
「クレープか?」
俺の世界でも有ったクレープが売られてた。(あまり食べたことはないが)
ロムちゃんとラムちゃんはこれが食べたくて見ていたんだろう。…もしかして、ブランも食べたいのか?
「三人とも。それ食べたいのか?」
「うん!」
「食べたい…!」
ロムちゃんとラムちゃんは素直に答える。しかし、
「…そ、そんな訳ないわ。早く行きましょう」
少し焦った様子で先に行こうとするブラン。俺はその背中に声をかけて止める。
「まあ待てよ、ブラン。そんなに急いでる訳でもないんだし、少し寄り道しても良いだろ?」
「…ダメよ。それに私は食べたいなんて言ってない」
「はあ、仕方ない。それじゃ、俺たちだけで買うからな。二人とも、何が良い?」
「私はシナモンアップル!」
「私も同じの…」
「わかった。今買ってくる」
そう言って俺は店に入り、三人分のクレープを注文する。
少しして、三人のところに戻った俺は持っていた内の二つをロムちゃんとラムちゃんに渡す。
「ほら。二人の分だ」
「わあ! ありがとう、刀哉お兄ちゃん!」
「刀哉お兄ちゃん、ありがとう…!」
「どういたしまして」
「………」
自分だけもらえないのが不満なのか、ブランは俺を睨んでくる。
「わかってるよ。ほら、受け取れ」
俺は最後のクレープをブランに差し出す。ブランは目を見開いて驚いた。
「…えっ? い、良いわよ。私は食べたいと言った覚えはないわ」
「あっ、そう。じゃあなんでクレープ受け取ってるんだ?」
ブランは口ではいらないと言いつつ、クレープをちゃっかり受け取っていた。
「っ! ち、違う! 私はそんなつもりじゃ――」
「もう少し素直になれよ。別に食べたからって誰かが責める訳でもないんだからよ」
「…でも――」
「それに、お前が食べてくれねぇと食べる人がいなくなるだろ。言っておくが、俺は腹減ってないから食べるのは無理だぞ」
「………ありがとう、刀哉。お金は今度返すわ」
「別に良いよ。イストワールさんからもらったお金だけど、自分で使いたい時が全然ないからこういう時ぐらいしか使い道がないんだよ。だから返されても困る。奢ってもらう時はその人の好意に甘えるもんだぜ」
「…わかったわ」
ようやく納得してくれたようだ。クレープをおいしそうに食べてくれている。ロムちゃんとラムちゃんもおいしそうに食べている。喜んでくれたようで何よりだ。
しばらく三人が食べ終わるのを待ち、再び歩き出す。
――――――――――
「…此処が大会の会場よ」
「……マジか」
「凄ーい! 皆ムキムキだ!」
「皆怖い…」
街の中を大体見回り、昼食も食べ終わったので、雪合戦大会の会場に着いたのだが、パッと見た感じでもかなり屈強な男たちが大多数を占めていた。どんだけ本気なんだよ…。
「なんでこんなにマッチョな奴らがこの大会に出るんだよ…」
「…優勝者には豪華賞品が渡されるのよ。毎年賞品の内容も違うから、その年によっては大当たりと言っても良い程の賞品が出ることが有るのよ」
「今年はなんなんだ?」
「…それは私もわからないわ。大会が始まるまでは賞品の内容は秘密にしてるのよ。万が一にも口を滑らせた場合はその人は社会的な死を迎えることになるわ」
「怖すぎるだろ!?」
どんだけこの大会に力入れてるんだよ…。
「とりあえず、優勝とまでは行かなくても良い成績は残すように頑張るよ」
「…ええ。応援してるわ」
「刀哉お兄ちゃん! 絶対勝ってね!」
「優勝して…!」
「いや、だから優勝するとは言ってないぞ」
まあ、それなりの結果を残せるように頑張りますか!
――――――――――
俺はエントリーを済ませて、会場の広場にいた。その時に機械的なリストバンドを取り付けられた。ちなみに会場はコロシアムドームのような形をしてる。
しばらくすると、上空に巨大なモニターが現れた。それには実況者らしき人が映し出されていた。
『さあ! 今年もこの日がやって来ましたー! 第50回、雪合戦大会ー!!』
「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」」」
観客席と俺の周りにいる選手たちから、空気を震わせる程の歓声が上がる。思わず耳を手で閉じるが全く効果がない。
『実況はお馴染み、私ソルディアが務めさせていただきます!そして、今年は記念すべき50回目ということで、ホワイトハート様とその妹君たちにスペシャルゲストとしてお越しいただきました!』
「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」」」
モニターにブランとロムちゃんとラムちゃんが映し出され、再び歓声が上がる。ブランは軽く会釈したが、ロムちゃんは歓声に怯えてラムちゃんの後ろに隠れてしまう。
『さーて! それでは、今年の優勝賞品を発表致しましょう! 今年はなんと――』
そこで一旦、ソルディアさんは机の下で何かを漁っていた。少しして、立ち上がるとその手には、
『我らの守護女神、ホワイトハート様との一日同棲の権利を与えられます!』
<ホワイトハート様とのウキウキ同棲生活>と書かれた看板があった。
「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」」」
「はあ!?」
俺は周りの歓声に紛れて、思わず叫んでしまった。さっきの話だとブランも賞品については知らなかった。つまり、この優勝賞品はブランの許可も取らずに勝手に決めたことになる。
『おい! てめぇ! 何勝手なこと――』
『さあ、まずは第一回戦! コロシアム内でのサバイバル! 総勢三百人の内、残った六人だけが第二回戦に出場出来ます! それでは、始めぇぇぇぇ!!』
ブランの意見も聞かずに半ば無理やり大会はスタートされた。
刀哉side out
ブランside
「てめぇ! どういうつもりだ!?」
私はソルディアに思い切り掴みかかっていた。こんな話聞かされてないし、許可した覚えもない!
「お、落ち着いてください! ホワイトハート様! 我々も悪いとは思っているのですが、今年は賞品が何も用意出来なかったので、このようなことに…」
「だったら、大会を中止にすれば良い話だろうが!」
「この大会は我々の国でも三番目に入る大きな行事なんです! この大会がルウィーの年収の一割を担っているのはホワイトハート様もご存じのはず! それを中止したらどうなるかおわかりでしょう!」
「ぐっ…!」
ソルディアの言っていることは本当だ。この行事だけでかなりの収入を得ることが出来る。もし中止してしまったら、年収の一割を、最悪それ以降の行事にも支障をきたして、それ以上の年収を失うことになるかもしれない。
でも、だからって見ず知らずの男といきなり一日同棲なんて――
「…あっ」
私はそこまで考えてあることに気づいた。見ず知らずの人だからダメなんだから、刀哉に優勝してもらえば全て解決出来る!
「おい! マイク貸せ!」
私はソルディアが持っていたマイクを奪い、この中にいる刀哉に向けてメッセージを送る。
ブランside out
刀哉side
「無理やりなスタートだな…」
ブランが文句言ってたのに無視して…。キレてなければ良いんだけど…
「おらっ!」
「おっと!」
後ろの男が殴りかかってきたので、俺は横にかわす。
この大会のルールは雪玉をぶつけられたらアウト。それだけだ。いくつか禁止事項も有るが、大体はアウトになった人に対することなので、実質なんでもあり。ただし、雪玉は直径七センチはないと雪玉として認められないので、当てても相手はアウトにならない。
今殴ってきた男は殴り飛ばした後で雪玉をぶつけようとしたんだろう。そっちからやってくるなら、
「俺がやっても文句ねぇよな!」
「おぶぅ!?」
男の腹に拳を叩き込むと男はその場に倒れる。その隙に俺は足元の雪を掴んで雪玉を作り、男の上に落とす。
『163、アウト』
すると、その男のリストバンドから音声が出る。そして、球のような物体が男を包み、コロシアムの場外に飛んで行く。なるほど。アウトになったらあんな風になるのか。その場に放置されてるということはなさそうだ。実は一番心配だったことだ。
「なんでもありなら、武器も良いんだよな?」
俺は大剣をコールして、後ろの床に突き立てる。
すると、大剣に雪玉が三つ当たる。俺は後ろに振り向きながら雪をすくい取り、雪玉を作って今投げてきた三人に投げる。
「うわっ!?」
『037、アウト』
三人の内の一人に当たり、コロシアムの場外に飛んで行く。…当たってくれて助かった。俺は投げるのはうまくないから外す可能性は充分ある(というかそっちの方が可能性高い)
「くそっ!」
「やりやがったな!」
いや、そっちからやってきたんだろ…。二人は再び雪玉を投げてきたので、正面から掴んで止める。言い忘れてたが、手のひらで受け止める場合は当たったことにはならない。
少し砕けてしまった雪玉に下の雪を付けて、確実に当てるために二人に突っ込み雪玉を投げる。二人は雪玉の準備をしていたせいで、当たってしまう。
『036、アウト』
『038、アウト』
そのまま飛んで行く二人。…一々見守ってたらキリがねぇな。次からはアウトの音声を聞いたら次のターゲットを探すようにしよう。
そして、一旦大剣を回収するために戻ろうとすると、
『刀哉ああぁぁぁぁぁ!!』
「うおっ!?」
突然ブランが俺に怒鳴ってきたので、足を止めてモニターを見る。
『絶対に優勝しろ! 他の奴らに勝たせるな! 良いな!?』
「いや、いきなりどうし――」
『わかったら返事しやがれ!!』
「了解しましたー!!」
俺はブチギレたブランの迫力に圧され、敬礼しながら返事をする。それを確認して、ブランはソルディアさんから奪ったと思われるマイクをソルディアさんに返した。…なんなんだよ、一体。
――っ!? 殺気!
「喰らうかっ!」
俺はその場から跳び、ほぼ全方向から投げられた雪玉を避ける。周りに目を向けると、投げつけてきたであろう奴らは身体から殺気がオーラのようににじみ出ていた。怖っ! 超怖っ!
「貴様…! 我らのホワイトハート様とどんな関係だ!」
「あのホワイトハート様に名指しで呼ばれているなんて…!」
「更には、自分が賞品の大会で、絶対に勝て、だと…!」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
「ホワイトハート様の純潔をよくも…!」
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ !!!!」
「ルールなんてもうどうでも良い! 此処で貴様の人生を終わらせてやる!」
弁解の余地もないまま、勝手に向こうで話を進められている。どんだけキレてるんだよお前ら!? というか、何人か完全に狂気に支配されてる奴がいるんだけど!?
「へへっ。強そうな剣じゃねぇか」
どうやって逃げるか周りを見て考えていたが、俺の大剣を抜こうとしているデブを見つけた。俺は何も考えずにそいつに突っ込む。
「ぜ、全員投げろ!」
俺が突然動き出したのに反応し、全員が雪玉を投げてくる。俺は最小限の動きで雪玉を避けながら男に近づく。
「な、なんだこの剣!? 全然動か――」
「それに――触るんじゃねぇ!」
剣を掴んでいたバカに拳を叩き込み、力が抜けたのを確認して飛んできた雪玉を防ぐ壁にする。そして、全ての雪玉がデブに直撃する。
『216、アウト』
お馴染みになった音声が聞こえ、飛んで行く。俺は突き刺さった大剣を引き抜き、周りの奴らに突きつける。
「そっちからやってくる以上、何倍にもして返すからな。その覚悟は出来てるか?」
「ふんっ! この人数差で何を言ってる!全員やれ!」
その言葉で、半分以上は雪玉の弾幕を投げてくる。残りは集団に入ってない奴か、俺を物理的に殴ろうとしてるバカだけだ。
いい機会だ。試してみるか!
俺は大剣を両手で持ち、渾身の力を込める。そして、
「おらああぁぁぁぁぁ!!」
そのまま薙ぎ払う。すると、衝撃波のようなものが大剣から発生し、バカどもと雪玉を吹き飛ばす。ある奴は吹き飛ばされた雪玉が当たってアウトに、ある奴はあらかじめ雪玉を作って溜めていたところに吹き飛んで雪玉を潰してアウトになった。
良し。うまくいったな。今のでバカどものほとんどがアウトになった。あとは残りものと参加しなかった奴らだけだ。
「うらあぁぁぁぁ!」
「そいっ!」
「くたばれ!」
「お前がな!」
残りものが次々突っ込んでくる。雪玉を当ててる時間がないな。まあ、あのまま放置してれば誰かが当ててくれるだろう。
俺はしばらく残りのバカを蹴散らす作業を続けた。
――――――――――
『そこまでえぇぇぇぇ!!』
しばらくして、ようやく終了した。十分近く蹴散らし続けたから疲れたぜ…。
まあ、二回戦に進む前の休憩で回復すれば良いか…。
<第二回戦に出場する六人が、今決まりました! では、早速第二回戦に入ります!>
え? これってぶっ通し?
はい。またしても中途半端になってしまいました。
書いてて思ったのですが、私は食べ物ネタを入れないと気が済まないのでしょうかね…。
あと、雪合戦に良い思い出があまりないのは作者も同じです。他の人がやってることに気づかずに近づいて何回も顔面に当たってました。しかも、そういう時に限って雪が湿っていてめちゃくちゃ硬いという…。神様は私のことが嫌いなのでしょうか?
さて、そんな話は置いといて、次回でルウィー編は終わらせたいのですが、下手したら更に一話伸びるかもしれません…。期待せずにお待ちください。
それでは、さようなら。