皆さん! 本当にありがとうございます! 凄く嬉しいです! つたない文章ですが、これからも見てくれると幸いです!
では、体験入国編の最後、リーンボックスの二日目をどうぞ!
刀哉side
「ご、ごめんなさい、刀哉くん。勢いでと言いますか、つい…」
「いえ、良いですよ…。ベールさんの部屋で寝た僕が悪いんです」
あの後、しばらくして目を覚まし、今はベールさんと朝食を食べている。頬が腫れててめちゃくちゃ痛いが…。
「お詫びと言ってはなんですが、今日はリーンボックスの街を案内する時、刀哉くんが行きたい場所を優先しますわ」
「え? 良いんですか?」
「はい。もちろんですわ」
いくらお詫びでも、ベールさんが俺に見せたいところも有るはずなのに…。まあ、そういうことならお言葉に甘えさせてもらおう。
「でも、僕自身の要望も今のところないので、案内してもらっている最中に気になるところが有ったら行くという形にしましょう」
「わかりましたわ」
そのまま喋りながら朝食を食べた。ちなみに、アニメの方は好評だったみたいだ。良かった…。
――――――――――
朝食を食べ終ってしばらくして、俺とベールさんはリーンボックスの街中に着いた。やっぱり、今まで見てきた街の中で俺のいた世界に一番似てるかもしれない。
「まず此処が、私が一番利用しているゲームセンターですわ」
「此処に来てもゲームなんですね…」
まあ、ベールさんらしいから良いのかな?
「折角なので、少し遊んで行きませんか? こちらでは私はお得意様なので、ある程度なら無料で出来ますわよ」
「遊びますけど、無料の方は良いです。なんか白い目で見られそうですし、それに…」
「それに?」
「イストワールさんからもらったお金を少しでも消費しませんと…」
「? 無理して使う必要はないんじゃありませんの?」
「いえ。僕の経験上、こういうのはほとんど残ってないくらいまで使わないと、返す時に絶対なんか言われると思います」
「そういうものでしょうか?」
「そういうものです。とりあえず、遊んで行くなら早く入りましょう」
「そうですわね」
俺たちはゲームセンターの中に入って行った。
――――――――――
「………」
ジロジロ
「…………」
ジロジロジロジロ
「……………」
ジロジロジロジロジロジロ(ry
「って、耐えれるかー!!」
「ど、どうしたんですか? 刀哉くん」
俺が急に叫んだせいで、ベールさんが驚いてしまった。
「……いえ、なんでもないです」
嘘だ。なんでもなくはない。さっきから、周りの野郎どもに殺意や嫉妬の視線を向けられている。誰か後ろから刺してくるんじゃないだろうか…。今すぐこの場から逃げ出したい…。
「どのゲームで対戦しましょうか?」
「僕はなんでも良いですよ」
周りの視線で集中出来ないだろうけど…。その予想は的中し、今回はベールさんの全勝だった。
――――――――――
「どうしたんですか? 刀哉くん。昨日と比べて調子が悪くありませんこと?」
「逆に考えるんです。昨日が絶好調過ぎたのだと」
「そ、そうなんですか」
もちろん、嘘に決まっている。でも、少なくともベールさんは今のところ気づいてないみたいだから、わざわざこのことを言って気分を悪くさせるのは申し訳ない。
「それでは、あれはどうですか?」
「ん? あれって、プリクラですか?」
俺の世界のとなんの違いもない形なので、すぐにわかった。
「ええ。息抜きもかねて、記念に撮っておきましょう」
ジロジロジ(ry
プリクラを一緒に撮ると聞いて、周りの殺意の視線が一気に強くなった。……面倒くさいから全員ぶん殴って黙らせるか?
っと、いかんいかん。最近、思考が暴力的になってきてる。気をつけないと…。
「わかりました! それじゃ、早く撮っちゃいましょう!」
「は、はい」
俺は一刻も早く周りの視線から逃げるためにベールさんの背中を押してプリクラの中に入る。
ふぅ…。ひとまず、落ち着けた。
「早速撮りましょう」
ベールさんはお金を入れて、画面をタッチし、撮影準備を終える。
「それでは、撮りますわよ」
ギュッ
「ちょ!? ベールさん!?」
ベールさんは俺の腕に密着してくる。胸は当たらないようにしてるみたいだが、手袋越しとはいえ細くて温かい手が当たって心臓がバクバクになってしまう。
「こうしないと二人とも写れませんわ」
とか言いつつ、ベールさんはほくそ笑んでいる。この人楽しんでるな!?
とりあえず、この状態を早めに終わらせるために、俺は恥ずかしさを堪えて写真を撮った。
――――――――――
「ふふっ。良い写真が撮れましたわね」
「……僕からすれば、かなり恥ずかしい写真なんですが…」
写真に写っている俺の顔は恥ずかしさで赤くなっていた。ああ…。恥ずかしい記録が一つ増えた…。
ちなみに、落書きはベールさんが周りに☆を描いて、俺は適当に顔文字で(・ω・)というのを描いた。意味? 特にない。
「少しそこら辺のゲーム見てきますね」
「私もご一緒しますわよ?」
「良いですよ。ベールさんもやりたいゲーム有るんでしょう?」
「うっ…」
図星のようだ。実際、さっきからチラチラ向こうを見ていたから気づいた。
「ということで、少しだけ別行動しましょう。一時間後にまたこの場所で落ち合いましょう」
「わかりましたわ。ごめんなさい、刀哉くん。気を使わせてしまって…」
「別に良いですよ。それじゃあ、また後で」
俺はそう言ってベールさんから離れる。しばらくしてから、ベールさんがもう行ったか確認するために後ろを向く。どうやら、行ってくれたみたいだな。
「それで? 何か俺に用が有るんじゃないのか?」
すると、周りにいた野郎どもがぞろぞろと出てくる。おお、結構な人数だな。ざっと三十人はいるか?
「おい、てめぇ! グリーンハート様とどういう関係だ!」
「こんな昼間から女神様とデートとは…。良いご身分だな!」
「なんでお前みたいな奴がグリーンハート様とデートなんてしてるんだ!」
「うるせぇな。俺は聖徳太子じゃないんだから、一斉に話しかけないでくれよ」
「あ? 聖徳太子? 誰だそれ?」
あ、そういえばこっちには聖徳太子いないんだよな。
「なんでもない。要するに、一人一人順番に喋れバカども、ってことだ」
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
俺の言葉に全員が怒りに顔を歪める。正面にいた奴が俺の胸ぐらを掴み、殴りかかろうとしてくる。
「このやろ――」
「待った!」
「ああ!?」
俺はそれに待ったをかける。相手は一応拳を途中で止めてくれた。
「此処じゃ、店に迷惑がかかる。場所を変えないか?」
実際、俺たちのこの状況を見て変に思ってる人たちが周りにたくさんいる。
「……わかった」
流石にこんな状況で喧嘩を始めたくないのか、俺の提案に乗ってきた。
俺たちはそのまま店の外に出る。
刀哉side out
ベールside
「もうそろそろですわね」
私は刀哉くんと別れて、充分ゲームを楽しんだので待ち合わせ場所に早めに戻ってきた。
「おい! 向こうの公園で喧嘩やってるらしいぜ!」
「喧嘩? なんだってこんな昼間から?」
「それが、一人が集団相手に喧嘩ふっかけたらしいんだ」
「はあ? なんだってそんな無謀なことを?」
「ところがどっこい! その一人が集団に張り合ってるらしいぜ」
「マジか!?」
「ああ! だから見に行こうぜ!」
「お、おう!」
喧嘩ですか…。こんなに明るい内から穏やかじゃありませんわね。刀哉くんが来たら、そっちの方は避けて行った方が良いのかしら?
――――――――――
「……遅いですわね」
約束の時間を十分過ぎても刀哉くんはまだ来ない。どうしたんでしょうか? 刀哉くんはこういう時間はしっかり守るタイプだと思うのですけど…。
「まさか…」
さっきの喧嘩を見に行ったとか? 私は嫌な予感がして、先程の男性が喧嘩をしていると言っていた公園へ向かうことにしました。
――――――――――
「あれですか」
そこには人だかりによって円が出来ていた。私はそこにいる男性に尋ねる。
「少々よろしいでしょうか?」
「ん? なんだよ――って、グリーンハート様!?」
男性は私を見て、驚きの声を上げる。その声を聞いた周りの人たちも私の方を見て驚く。
「この騒ぎは一体なんですか?」
「は、はい! 男が一人で集団と喧嘩してるんです。しかも、始めから見てた奴の話だと、もう一時間近く経ってるとか」
「っ!? ちょっと失礼しますわ!」
私は人だかりをかき分けて、中央が見えるところまで行く。すると、
「刀哉くん!?」
私と別れた刀哉くんが痣だらけの顔で立っていた。
ベールside out
刀哉side
「うらぁ!」
バキッ!
「っ!? おらぁ!」
ドゴッ!
「ごはぁ!?」
殴りかかってきた奴の拳を受けたがカウンターでぶっ飛ばしてやる。
最初こそ避けていたが、相手は大人数なので全ては避け切れずにいくつか受けてしまい、それによって蓄積したダメージで動きが鈍り、受ける拳の数がドンドン増えた。もう途中から面倒くさくなり、さっきのように受けてから確実にぶっ飛ばすようにしている。そのせいで、顔と上半身が凄く痛い。
もう一人一回は確実に殴っているのだが、よっぽど妬ましいのか、新しい奴を殴っている内に復活して殴りかかってくる。そのため、かれこれ一時間近くこの喧嘩は続いている。
休む暇もなく、次の奴が殴りかかってくる。俺は迎撃するために拳に力を入れる。
「――刀哉くん!?」
「っ!?」
ベールさんの声が聞こえてきたので、俺はそちらを見る。ベールさんはこっちを驚いた顔で見ていた。ヤバい…。
周りの奴らもベールさんに気づいて動きどころか話すのも止めていた。
ベールさんはこっちに近づいてくる。そして、怒りの形相でこっちを見る。
「何をしているんですの!?」
「……喧嘩です」
「なんでこんなことを!?」
「大した理由じゃないですよ。こいつらがムカついたから喧嘩を売った。それだけです。…もう止めますから、とりあえずこの場を離れましょう」
「ちょ!?刀哉くん!?」
まだ怒っているベールさんの手を無理やり引いて、俺たちはその場を後にした。
――――――――――
しばらく歩いたところで、俺はベールさんの腕を放して向き合った。そして、
「ベールさん。すいませんでした!」
俺はベールさんに頭を下げて謝る。
「えっ!? あ、いえ。そうなんですが、そうではなくて…」
ん? どういうことだ?
「私が聞いているのは、なんで喧嘩をしたのかということですわ。刀哉くんは先程から全然答えてくれてませんわ」
「えっと、それは……」
本人の前で言うのは、ちょっと勘弁してもらいたいんですが…。
「答えてください」
ええい! どうにでもなれ!
「その、あいつらが僕とベールさんが付き合っていると勘違いして、その誤解を解こうとして、喧嘩をするというのを口実に公園に誘い出したんです。でも、全く話を聞かなかったんです。それどころか向こうで勝手に話を進めて、勝った方がベールさんを自分のものに出来ると決めてしまいまして…」
「……はい?」
「それで、本人の同意もなしに勝手に決めたことと、ベールさんを所有物のように言ってる奴が大半だったので、ついキレてしまって本当の喧嘩になっちゃいました…」
「………」
ベールさんは目を点にしている。
ああ、もう! だから言いたくなかったんだよ! 俺は思わず頭を抱える。
「……優しいのですね。刀哉くん」
「え?」
だが、ベールさんのそんな言葉が聞こえてきたので、顔を向ける。ベールさんは優しく微笑んでいた。
「刀哉くんは、私のために戦っていたのですわよね? 私のために怒ってくれたのは、正直嬉しいことですわ」
ベールさんはまっすぐ俺の目を見て、そう言ってくる。しかし「ですが」と言って俺の顔に触ってきたと思うと、
ギュウゥゥゥゥ!
「いててててて!?」
頬を思いっ切りつねられる。腫れてるせいで凄く痛い!
「こんな怪我をするまでやる必要はなかったのではありませんの?」
「す、すいません! 僕が悪かったですから、いてててて!? は、放してくださ、いててて!?」
「もう二度とこんな無茶をしないと約束するのなら、放してあげますわ」
「………」
「約束出来ないのですね。わかりましたわ」
「いだだだだだ!? わ、わかりました! します! 約束しますから! 更に力を入れないで!」
ベールさんはようやくつねるのを止めてくれた。ああ…。凄いヒリヒリする…。
「とりあえず、その怪我を治療しましょう。病院に行きますわよ」
「……ラジャー」
この後、病院に行って簡単な治療をしてもらった。……まあ、顔中に湿布を貼られまくり、包帯で巻かれたから見た目が凄いことになったが。
――――――――――
「ん? なんですか、これ?」
昼食を適当に食べ終わり、歩いていると、壁に貼り紙がしてあった。可愛い女の子が歌っている姿が写っている。
「それは5pb.ちゃんのライブの宣伝ですわね。二時にライブが始まりますわ」
「へえ…。人気なんですか?」
「ええ、それはもう。リーンボックスはもちろん、他国でも人気を得ているゲイムギョウ界のスターですわ!」
俺自身は、こういったアイドル的なものにはあまり興味がないけど、そこまで人気なら見てみたいな。
「せっかくですから、見に行っても良いですか?」
「もちろんですわ。ですが、少々お待ちください」
そう言うとベールさんは通信端末を取り出し、誰かと話をする。少しして話は終わったようで、通信端末をしまった。
「お待たせしました。それでは、行きましょう」
ベールさんが歩き出し、俺もその後ろに付いて行く。
――――――――――
しばらく歩くと、大きなドームに着いた。あ…、今更だけど、入場券ないのにどうやって入るんだ?
「刀哉くーん! こっちですわよー!」
「え? あ、待ってくださいよ!」
ベールさんがいつの間にか先に進んでいたので慌てて追いかける。すると、明らかにスタッフ以外は入ってはいけないドアの前に着いた。なんか、ドアの横に黒服の大男が二人いるんですけど…。
「あの、ベールさん。まさか此処から入る訳じゃないですよね?」
「そうですわ。此処から入りますわよ」
いやいやいや!? あの男たちが見えないんですか!? 入ろうものなら問答無用で締め出されそうなんですけど!?
そんな俺の気も知らず、ベールさんはドアに近づく。
「「お待ちしてました。グリーンハート様」」
「見張りご苦労様です。後ろの彼は私の客人ですから、入れてあげてください」
「「わかりました」」
あれ? なんかあっさり通れそうな空気じゃね?
「ほら、刀哉くん。早く来てください」
「あ、はい! ど、どうも」
通る時に軽く会釈すると向こうも返してきてくれた。。
「ベールさん。さっきの電話って、このためにしてたんですか?」
「ええ、そうですわ。でないと、私たちは入場券を持ってませんから入れませんもの」
そういうことなら先に言っておいてほしかった…。無駄に緊張した。
しばらく歩いてると一つの部屋に着いた。
「此処がVIPルームですわ」
「無縁のはずの部屋に来てしまった…」
VIPルームは、これから5pb.さんが歌うであろうステージが丸々見える位置にあった。なんというか、わざわざ入場券を買った人と買えなくて来れなかった人に対して凄い罪悪感が…。
「そろそろ始まりますわよ」
ステージを見ると、さっきの女の子―5pb.さんがステージに出てきたところだった。
『皆ー! 今日は来てくれてありがとう! 盛り上がっていってねー!』
「「「「「「「「わああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」
「凄い歓声だな…」
この部屋にまで客の歓声が聞こえてくる。
そして、早速一曲目を歌い始める。へえ…。綺麗な歌声だ…。聴いているこっちの心が満たされるような感じがする。
そのまま、俺はその歌声を夢中になって聴いていた。
――――――――――
「いやー、楽しかったです。ありがとうございました、ベールさん」
「いえ、楽しめてもらえたのなら良かったですわ」
5pb.さんのライブを見終わって、今は教会に帰っているところだ。
「ですが、その怪我を明日までに直さないといけませんわね…。ネプテューヌに何を言われるかわかりませんし」
「うっ…。すいません」
「今更どう言っても変わる訳ではないですし、今日は帰ったら安静にしていてください」
「えっ!? でも仕事は?」
「私がやっておきますわ。刀哉くんは回復に専念してください」
「……わかりました。すいません」
「別に良いですわ。ですが、今後は無茶しないでください。でないと、……わかってますわね?」
「りょ、了解です」
この後、教会に帰った俺は申し訳ないと思いつつも、さっさと怪我を治すために休憩していた。
こうして、俺の体験入国は終わった。
皆さん。最近の刀哉くんを見ていて、何か変なところに気づきませんか? あ、気づきましたか。そうです、やせ気味―嘘です! すいませんでした!
気を取り直して、刀哉は普通の身体じゃなくなったのはもう皆さんもわかってると思います。ですが、最近の彼はやたらとキレやすくなっています。これは、後の覚醒にも関わってくることなので、頭の片隅にでも置いていてください。
ベールさんですが、刀哉の中では大人の女性というイメージになってるので、他の女神のように呼び捨てにはしません。彼の場合は、年上に対してタメ口になるのはよっぽどのことがないと、呼び捨てにはなりません。まあ、今後の展開次第です。
次回は、ようやくプラネテューヌに帰ります。やっとネプテューヌとのコントを書ける! これならいくらでも浮かんできます!
それと、前に書いたヒナの容姿の紹介が中途半端だったので、髪型と目についても書いておきました。十五話の後書きでご確認ください。
それでは、この辺で。シュワッチ!
バタンッ!←そのまま床に落ちる音