ふう、満足しました。見てくださっている皆さん、ありがとうございます! 不定期更新は続きますが、頑張って書くのでこれからもよろしくお願いします!
それでは、本編へどうぞ!
no side
ズーネ地区。今此処では女神候補生たちとマジェコンヌによる激闘が繰り広げられていた。
最初こそ、マジェコンヌが優勢だったが、ネプギア、ロムとラム、そしてつい先程ユニが戦いの最中、女神化に成功した。これで勝負はわからなくなってきたが、
ピチョン、ズオオオオオオ!
「あっ!?」
「…な、なんなの!?」
「うわ!?」
「何よ、これ!?」
先程から女神たちの身体から滴り落ちていた黒い水がベールの足元にまでに届く。すると水が手の形になり、四人の身体に絡みついてくる。
「…冷たい」
「私、もう感覚が有りませんわ…」
「ええ!?」
「…そうね。マヒし始めてる」
下側にいた二人は既に身体の感覚がなくなり始めていた。
「全身を絡めとられる前になんとかしないと…!」
「ネプ子!」
「あいちゃん!」
四人が閉じ込められてる結界のすぐそばに、アイエフがいた。ちなみに見張っていたはずのワレチューは、一目惚れしたコンパに大事な話があると言われて(もちろん嘘だが)、まんまと誘いに乗り結界から大分離れた場所にいた。
「イストワール様からのメッセージが有るの!」
「わかった!」
この状況を打開するための策をイストワールが考えてくれてるかもしれないと、わずかな希望にかけることにした。
アイエフは携帯端末を取り出し、そこからホログラムでイストワールの姿が映し出された。
『皆さん、大変なことがわかりました。アンチクリスタルの力はシェアクリスタルと皆さんのリンクを遮断するだけではないようなんです。行き場を失ったシェアエナジーをアンチエナジーというものに変える働きもあるみたいで、密度の濃いアンチエナジーは女神の命を奪うと言われています』
「で、どうすれば良いの!?」
『今のところ対処法はわかりません。せめて、三日あれば――』
「ベール!?」
イストワールが説明している間にも、四人の身体に腕は絡みつき、水嵩も増していた。ベールとブランは半身以上浸かってしまっている。
「ネ、ネプテューヌ…」
ベールは意識が朦朧とする中、なんとかネプテューヌに手を伸ばす。ネプテューヌも必死にベールの手を掴む。
「……っ!…」
ガクッ
「っ!? ダメェ!!」
しかし、ベールはとうとう意識を失ってしまう。
「…ノワール…!」
「ブラン!」
ブランも身体の大半が浸かっている状態で、必死にノワールに手を伸ばす。ノワールはなんとかブランの手を掴むが、
ゴポッ、ゴポッ
「っ!? ブラン!!」
ブランはそのまま水の中に沈んでしまう。
「っ!?」
「えっ!? お姉ちゃん!?」
マジェコンヌと戦っていたネプギアたちも異変に気づき始める。
「この!」
アイエフは銃を連射するが結界はビクともしない。
「私もやるです!」
コンパも特大の注射器で刺すが、
バキンッ!
「あう…」
針はいとも簡単に折れてしまう。
「コンパちゃん。悲しいけど、それ無駄なのよねっチュ。それに、あの男にヒビを入れられた後にあのおばはんが修復と同時に強化もしたっチュからねー」
ワレチューは愛しのコンパに少しだけ申し訳なさそうにそう言った。
「なんなの、あれ!?」
「わ、わかんない!」
ユニとネプギアも現状をうまく把握出来ず、戸惑っていた。マジェコンヌがそんな隙を見逃すはずもない。
「アンチエナジーはああやって女神を殺すのだ。レイニーラトナピュラ!!」
ドドドドドド!
「「「「キャアアアア!?」」」」
マジェコンヌはベールの技で四人を地面に叩き落す。マジェコンヌは元々他人をコピーする能力が有り、女神の技も自分のものにしてしまったのだ。
そして、とうとうネプテューヌとノワールの身体の大半も水に浸かり、意識が薄れ始める。
「っ…! ネプ…テューヌ…」
ノワールはネプテューヌに手を伸ばそうとするが、気絶してしまう。
「ノワー……ル…」
ネプテューヌも力が抜け、意識が薄れる。
(刀、哉…)
ネプテューヌは、捕まってた時も安否を心配していた刀哉のことが頭によぎっていた。
「――皆!!」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
突然ネプテューヌを呼ぶ声が聞こえ、全員がそちらに目を向ける。ネプテューヌも残った力でなんとか目を向ける。そこには、
「「「「「「刀哉(さん)(お兄ちゃん)!?」」」」」」
此処にいないはずの刀哉の姿があった。
(無事…だったんだね。良かっ……た…)
ネプテューヌは安堵したせいか、それとも限界だったのか、そのまま気絶してしまう。
そして、結界の中が黒い水で満たされ、中が全く見えなくなった。
「っ!? ネプテューヌゥゥゥゥゥ!!」
刀哉の叫びがその場に響いた。
刀哉side
間に合わなかったのか!? 俺が到着してすぐにネプテューヌは気を失い、アンチクリスタルの結界が黒い水のようなもので満たされてしまった。息が出来ないというのもあるが、それ以上にあの水からは嫌な気配を感じる。そう…まるで怨念のような気配が。
「…まさか生きていたとはな。――だが、一足遅かったな! 女神たちはもう全員死んだのだ!」
「……あいつらが死んだ? 寝言は墓の中で言えよ、このクソババア!!」
俺はババアに突っ込むが、
「ふん。貴様にも見せてやろう! ――クロスコンビネーション!!」
「なっ!?」
見覚えの有る技が繰り出され、俺は慌てて急停止してなんとか避けた。
というか見覚えが有るってレベルじゃねぇ! 今の技は…!
「驚いたか? 私は他人をコピーする能力を持っているのだ」
「それでネプテューヌの技を…!」
「今度こそ死んでもらうぞ! レイニーラトナピュラ!!」
ババアの持っている剣が姿を変え、槍になる。そして凄いスピードで連続の突きを繰り出してくる。武器からして、ベールさんの技か!
俺はそれを避けたり手で軌道をずらしたりするが、手数が多すぎる!
しばらくすると、バランスを崩して胸が無防備になってしまった。ヤバイ!?
「そこだ!」
……いや、待てよ!
「がっ――!?」
胸に槍が突き刺さり激痛が走るが、歯を食い縛って堪える。
「っ!? 刀哉さん!!」
ネプギアが俺が刺されたのを見て悲鳴を上げる。今の精神状態だと、俺も死んでしまうと思ったんだろう。
「あーはははは!! どうだ、痛かろう? 再び胸を刺されて恐怖が込み上げてくるだろう?」
「……ああ。超痛ぇし、超怖ぇよ。正直言うと、今すぐ此処から逃げ出したいね」
「何?」
あっさり怖いと言ったことにババアは怪訝そうにする。俺は構わず言葉を続ける。
「第一、俺は本来ならこんなこととは無縁の一般庶民だったんだ。そんな奴が戦うのが怖くない訳ないだろ」
「何、恥じることではない。それが普通の――何も出来ない無力な人間の姿だ!」
向こうは槍を抜こうとする。だが、
「話は変わるけど、俺って特撮映画、特に怪獣ものが大好きなんだよ」
俺は槍を掴み抜けないようにする。刃が手を切り、痛みが走るが気にしない。
「くっ、死にぞこないが! 放せ!」
「それで、見てる中でも特に好きな言葉が有ったんだよ」
ババアが抜こうと抵抗するのを無視し、
「――辛かったり、怖かったりする時こそ…逃げるな、戦え!」
「なっ!?」
槍を握力で無理やり砕く。ババアは抜こうと後ろに引っ張ってたせいで、よろけて倒れそうになる。
「痛いのは辛いし、戦うのも怖ぇよ! だけどな、それでも守りたいものが……守りたい人たちがいるんだよ!」
コオオォォォォォ!
「何!?」
「「「「「「「!?」」」」」」」
突然俺の身体から紅いオーラが出始める。良し! このまま一気にいくぜ!
「それに、それを傷つける奴がこの上なくムカつくんだよ! だから、俺の大切な人たちを傷つけるなら、どんな奴だろうと…!」
俺はそこで大きく力を溜める。そして、
「――俺が全部ぶっ潰してやる!!」
怒りの雄叫びとともに解放する!
すると、身体から出てたオーラが更に多くなり、爆風が起きる。
「な――ぐわああぁぁぁぁぁ!?」
それによりババアが結構な距離を吹き飛ばされる。少し距離を空けてたネプギアたちも、吹き飛ばされないようにその場で踏ん張る。
俺は先程グランが話した力についての説明を思い出す。
――――――――――
『――僕の力は、所有者の感情を力に変換することだ――』
『感情? 喜怒哀楽とかか?』
『――そうだ。特に怒りに関しては他の感情とは比べものにならないくらいの力に変換出来るよ――』
『ありきたりだな…』
『――文句を言わない。ただ、俺の力はかなり強いからね。所有者が何かしら人並み外れた感情を持っていないと使用することすら出来ない。実際、君にすら少なからず怒りっぽくなるみたいな変化が有っただろ?――』
『確かにな。けど、一つ聞きたい。今の言い方だと、俺が人並み外れた感情を持ってるみたいじゃねぇか』
『――心当たりくらい有るでしょ? お前がブチギレた時の怒りは人並み外れたレベルだ。うん。もう引くレベル――』
『ほっとけ!』
『――言い忘れてたけど、僕は相手の感情の一部分でも認識出来れば、そいつの喜怒哀楽とかのレベルがどれくらいなのかすぐにわかるぞ――』
『へえ』
『――僕はあの遺跡で何千何万年と所有者に相応しい人材を探してたが、全く見つからなかった。でも、ある時奇跡的に異世界の君の感情を読み取れたんだ――』
『どうやってだよ?』
『――君が今世話になってる女神がいるだろう? 彼女はそれなりに感情のレベルが高い方だったからマークしてた。そして、退屈だと呟いたのさ。その時、丁度お前も全く関わりのない世界でそう言ってたんだ。すると、奇跡が起きたのさ――』
『…まさか』
『――そのまさかだ。世界の次元を越えて、君の感情が伝わってきたんだ。そして俺はこの機会を逃すまいと、君をこの世界に呼んだんだ。いやー、彼女が言ってた主人公補正とやらのお陰かな?――』
『……ようするに、お前が元凶か…!』
『――まあまあ、落ち着いて。話を戻すけど、今お前が使える力はまだフルパワーじゃないんだぜ――』
『そうなのか? あとさ、炎を吸収する能力もお前のか?』
『――ああ、そうだよ。怒りといえば燃えるような熱い感情…。だから炎を吸収して自分の力に変換出来るのさ――』
『…関連性が無理やりな気がするが、この際どうでも良いや。それより、そのフルパワーを出すためにはどうすればいいんだ?』
『――怒ればいいのさ。もちろん、単純にブチギレただけじゃダメだ。心の底から怒り、そして、自分の中の恐怖に打ち勝たなきゃダメだよ――』
『恐怖に打ち勝つ?』
『――そうだ。さっきも言った通り、感情を力に変換するから、そのためにはマイナスな感情はなくさなきゃいけないんだ。そうしなければ、到底フルパワーは出せない――』
『…なるほど』
『――でも、恐怖に打ち勝って怒りを解放出来たなら、あとは簡単だ。紅いオーラが身体から出るから、その時にこう言うんだ――』
俺は大剣の柄を両手で持ちグランが言っていた言葉を唱える!
「
すると、紅いオーラと炎が俺の身体を包み込む。身体が少しずつ変化していく。大剣の刃も表面だけが鞘のように外れ、中から文字通り深紅に輝く刃が出てくる。
そして、オーラと炎が止まり、視界が晴れる。ババアはもちろん、ネプギアたちも驚いた様子でこっちを見ている。
「き、貴様! 何者だ!?」
「何者……ねぇ」
俺は自分の身体を見る。身体は薄い鎧のようなものに覆われている。
背中を見てみると、女神たちのようにプロセッサユニットが出ていた。形はドラゴンの翼をモチーフにしてるみたいだ。
その時に視界の隅に入った自分の髪を掴む。若干伸びて紅くなっている。
「そうだな……。ネプテューヌたちに倣って、クリムゾンハートとでも呼んでくれ」
俺は挑発するように笑いながらそう言う。
「だ、だが! 今更何をしようと、もう女神たちは死んだ! そこの小娘どもも戦意を失っている! 貴様らに勝ち目はない!」
「悪いが、今回俺は主役じゃない。…それに、言っただろ? 寝言は墓の中で言えって。後ろ見てみろよ」
俺の言葉を聞いて、ババアだけでなく、ネプギアたちも俺の言った方を見る。そこには、黒くなったアンチクリスタルの結界が有る。だが、
「な、何!?」
その黒い結界の中に四つの光が輝いていた。それが誰のものなのか、言うまでもない。
俺はネプギアたちの方を向き大声を出す。
「ネプギア! ユニ! ロム! ラム! お前たちの姉が、この程度で死ぬ訳がないだろ! あいつらはあんな状況でも諦めてないんだぞ! そんなあいつらを助けることが出来るのは、妹であるお前たち以外にはいない! わかったら立ち上がれ! お前たちの姉を取り戻すために―――奴を倒すぞ!!」
「「「「……はい(うん)!!」」」」
すると、ネプギアたちの身体からシェアエナジーが溢れ出し、それはそのまま光となって周りに広がっていく。それは先程まで有った黒い霧を打ち消していく。
「これは…シェアエナジーの共鳴!?」
ババアもこの現象に――というより、霧が消されたことに動揺しているみたいだ。
「私の奇跡が! アンチエナジーが打ち消されていく!? くっ!」
形勢不利と見たのか、ババアは先程までの余裕も消え、慌てて飛んで逃げようとする。
だが、それをネプギアたちが許すはずがない。ネプギアたちもババアの後を追って飛ぶ。
「逃がさない!!」
「ぐあっ!?」
ユニの撃ったデカいレーザーがババアのプロセッサユニットの片方を撃ち抜く。ババアはそれによりバランスを崩し、回転してしまう。
「「えぇぇぇいっ!!」」
そこにロムとラムが力を合わせて特大の星の形をした氷を作り、
「うあ!?」
ババアにぶつける。圧倒的質量で、ババアはアンチクリスタルの結界に叩き付けられる。
「がっ!? くっ!」
結構なダメージは入ったはずだが、まだ飛ぼうとしてる。俺はババアに一気に近づき、
「――刺された借りだ!!」
全力の拳を振り下ろす!
「があ…!?」
衝撃は結界にも伝わり、全体にヒビが入る。フィナーレは…!
「ネプギア!」
俺はその場から素早く飛んで退避する。
「はあぁぁぁぁ!!」
そこにネプギアが来て、ガンブレードを構え、
「消えて!!」
最大出力のレーザーを放つ!
「ぐああぁぁぁぁぁ!!」
結界も耐え切れずにとうとう砕けた。そして、攻撃で起きた爆発がこっちにも――って!?
「危ね!」
俺は慌てて距離を取る。その時にネプギアも回収する。
爆発が起きた跡には小さなクレーターが出来ていた。いやはや、凄い威力だったな。
俺はネプギアをその場から降ろす。後ろを見てみるとユニたちもアイエフたちをなんとか連れて避難してたようだ。
「……お姉ちゃん? 何処なの?」
ネプギアは弱々しく声を出す。確かに、結界が有った場所には何もない。もちろん、ネプテューヌたちの姿も…。
「ねえ…! お姉ちゃん…」
「――此処よ。ネプギア」
「「「「「「「っ!」」」」」」」
だが、突然上空から声が聞こえてくる。…この声、聞き間違えるはずがない。
俺たちが空に目を向けると、そこには女神化した姿で浮いているネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベールの四人がいた。
「「お姉ちゃん!!」」
まずはロムとラムの二人がブランに向かって飛びつく。その次にユニがノワールのところに向かう。それに続いて、ネプギアもネプテューヌのところに飛んで行く。
すると、ベールがこっちに下りてきた。
「ありがとうございました。何処のどなたか存じませんが、感謝致しますわ」
ベールは俺に頭を下げてくる。……どうやら、俺が誰かわかってないみたいだな。
「頭を上げてくれ。というか、何処のどなたって命がけで救おうとして、無様に負けた男を覚えてないのか?」
「え?」
ベールは驚いて顔を上げて、こっちを見る。
「……もしかして、刀哉くん…?」
「イエス! まあ、この姿については後で皆に説明するから待ってくれ。それより、向こうでは感動の再会をしるが、混ざらなくて良いのか?」
「…ええ。私には妹はいませんから…」
…あちゃー。こりゃ聞くの間違えたな。ベールは少し寂しそうにネプテューヌたちの方を見る。…俺が弟の代わりに―――いやいや誰得だよ!
そんな風に試行錯誤してると、ネプギアがこっちに飛んできた。
「ベールさん」
「!?」
すると、ネプギアはベールに抱きつく。
「お疲れ様でした」
「っ! ――ありがとう」
……ネプギアは本当に気配りが出来てるな。脱帽するぜ。
「…全く。今日だけだからね、ベール」
すると、今度はネプテューヌがこっちに来た。
「ところで、あなたは…?」
やっぱりわかってないみたいだ。
「……女が一日以上無断で家に帰ってこない上に朝帰りとは、あまり感心出来ないな」
「…まさか、刀哉!?」
「そうだよ。ったく、心配させやがって。まあ、今は良いさ。とにかく――」
ギュッ…
「!?」
俺はネプテューヌを抱きしめる。
「――おかえり、ネプテューヌ」
「……ええ。ただいま、刀哉」
それに応えてネプテューヌも俺の背中に腕を回す。…温かい。救えて良かった、本当に…。
俺たちはそのまま、皆から指摘されるまでお互いに抱きしめ合っていた。
主人公のクリムゾンハートの姿の時のステータスです。
クリムゾンハート
身長:185cm
体重:78kg
性格:若干好戦的
解説:刀哉がグランの力をフルに解放したことにより、女神たちのように変身した姿。髪は肩に少しかかるくらいの長さに伸びている。色は黒から紅くなっている。変身前と比べると、口調はあまり変わってないが、敬語が完全に抜けて、名前も呼び捨てになる。素でも充分な力を持っているが、怒りを力に変換すれば、その力は圧倒的になる。
と、こんな感じです。
覚醒する時に言った言葉は一種の通過儀礼のようなものなので、今後は一々言わなくても変身出来ます。
次回からは少しオリジナルを続ける予定です。いつ投稿出来るかわかりませんが、気長に待ってください。
それでは、さらばっ!